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患者の立場から出来る「医療ミスを防ぐための20カ条」


 去る9月1日、「平成14年度医療安全推進者養成講座」の第2回講習会が行われました。その中で「リスクマネジメント概論」の講師である鮎澤純子先生が、英文資料を紹介してくださいました。
 米国厚生省(HHS)の下部組織であるAgency for Healthcare and Quality(AHRQ:医療分野の研究と質向上を支援する部門)が2000年4月に公表した「20Tips to Help Prevent Medical Errors」。医療ミスを防ぐために患者の立場からできることを示したものです。
 日本でそのまま適用できるか難しい部分もありますが、患者だけでなく医療従事者側にも参考になると思われます。
 そこで、これまでにもいろいろな方が翻訳していますが、医療安全推進者ネットワークの事務局でもわかりやすく訳してみました。
 なお、原文は http://www.ahrq.gov/consumer/20tips.htm をご覧下さい。


患者の立場から出来る「医療ミスを防ぐための20カ条」
 
 医療ミスは米国の主要な死傷原因の1つである。アメリカの公的機関であるInstitute of Medicine(IMO:医学研究所)の最近の報告書は、米国の病院で毎年44,000〜98,000人もの人が医療ミスが原因で死亡していると見積もっている。これは、交通事故、乳癌やAIDSで亡くなる人より、医療ミスによる死亡者が多い事を意味する。

 この報告書は、患者の立場から医療ミスを避けるために何ができるか教えてくれるものである。


医療ミスとは?

 治療の一部として計画されたものがうまくいかなかった場合、あるいは計画そのものが間違っていた場合に、医療ミスは起こる。医療ミスは、下記のヘルスケアシステムのいかなる場所でも起こりうる:
  • 病院
  • 診療所
  • 外来手術センター
  • 医院
  • ナーシングホーム
  • 薬局
  • 患者の自宅
ミスには次のものが含まれる:
  • 手術
  • 診断
  • 設備
  • 検査報告

 医療ミスは、例えば、入院患者に減塩食を与えるところを高塩分食を与えてしまう、というようなごく日常的な業務中にも起こりうる。

 多くのミスは、今日の複雑な医療制度によって引き起こされた問題に起因している。
 しかし、医者と患者のコミュニケーションに問題がある場合にも、ミスは起こる。
 例えば、AHRQの最近の研究では、医者は患者の意思決定に必要な情報を十分に与えていないことが分かった。情報を与えられていない患者は医者の治療の選択を受け入れにくい傾向がある。また、治療に必要なことに非協力的な傾向もある。


自身の健康に関して何ができるか?治療に参加せよ。

  1. 事故防止に最も有効な方法は、患者が自分自身のヘルスケアチームの積極的なメンバーであること。
    これは、自身の健康に関するすべての決定に参加することを意味する。治療に積極的に参加する患者の方が、治療結果がよいという研究結果が出ている。

 最新の科学的根拠に基づく有用な助言を以下に挙げる。



  1. 医者には、あなたの摂取しているすべてのものを知っていてもらおう。処方薬および市販薬、およびビタミン剤やハーブのような栄養補助食品も含めて。
    少なくとも年に一度、自身が服用している薬や栄養補助食品をすべて医者に見せること。薬を持ち込むことによって、あなたと医者が薬について話し合うのに役立つし、何か問題があれば見つけ出すことが出来る。さらに、医者があなたのカルテを最新にしておくのにも役立つ。より良質の治療をうけることも可能になる。
  1. あなたの今までの薬に対するアレルギーや副作用について医者に知っていてもらおう。
    あなたに有害な薬を避けるために有用である。
  1. 処方箋をもらったら、読めるかどうか確認しよう。
    あなたが医者の筆跡を読むことができなければ、薬剤師も読めないかもしれない。
  1. 薬を処方された時と受け取った時の双方で、薬に関してわかるように説明してもらおう。
  • 何のための薬か?
  • どのように、期間はいつまでその薬を服用するのか?
  • どのような副作用がありうるか、もし副作用が起きたらどうしたらよいか?
  • 他の薬あるいは栄養補助食品と一緒に服用しても安全か?
  • 服用している間、何を飲食してはいけないか、何を行ってはいけないか?
  1. 薬局で薬をもらう時には、それが自分の医者が処方した薬かどうか尋ねよう。
    マサチューセッツ大学薬学部と関連科学大学による調査で、薬の事故の88パーセントが誤薬又は間違った用量によるものだということが分かった。

  2. 薬のラベルに疑問があったら質問しよう。
    薬の説明書は理解し難い。例えば、「1日に4回服用」というのは1日を4分割した6時間ごとに服用するという意味か、あるいは起きている時間の間を4分割してとるという意味なのか聞いておく。

  3. 水薬の場合は、何を使って計量すればいいか薬剤師に聞こう。使用方法がわからないときはそれも確かめよう。
    調査によると、水薬の正しい計量方法を理解していない人が多い。例えば、多くの人が、正しい量を測れない家庭の小さじを使用している。目盛りのついた注射器などが、正しい量を測定するのに役立つ。用具の使用方法も教えてもらうとさらによいだろう。

  1. あなたの薬にはどんな副作用があるのか書いた文書をもらおう。
    副作用が出現することがわかっていれば、それが起こっても、または予期しないことが起こっても、うまく対応することができる。そして副作用が悪化する前に医師に報告できる。調査によると、薬に関する文書化された情報は、患者が副作用を認識するのに役立ち、医者か薬剤師にその情報を伝えるのにも役立つことが分かっている。


入院
  1. もし選べるのなら、自身の受けようとする処置や手術を、より多くこなしている病院を選ぼう。
    調査によると、その病状に関して多くの臨床経験のある病院で治療を受ける場合に、よりよい結果を得る傾向にある。

  2. 院内では、直接接触のある医療従事者すべてに手を洗ったかどうか尋ねよう。
    手洗いは院内感染の拡大を防ぐ重要な方法である。しかし、それは決して規則的・徹底的に行われているとはいえない。最近の研究では、患者が医療従事者の手洗いをチェックすることで、医療従事者はより頻繁に石鹸をつけて手を洗うようになった、という結果が出ている。
  1. 退院時には、家での療養方法を医師に説明してもらおう。
    これは、薬について知ること、又日常生活にいつ戻れるか知ることを含む。調査によると、退院後家に帰って何をしてよくて何をしてはならないかについて、患者が実際に理解している以上にわかっているものと、医者は思っているようだ。


手術

  1. 手術を受ける場合には、本人、医者、外科医の全てが、これから行われることに対し同意し、明確であるようにしておこう。
    間違った部位(例えば、右の代わりに左の膝)に手術を行うことは稀である。しかしかつてはしばしばあった。幸い、異なる側の手術は100パーセント予防可能だ。米国整形外科学会では、手術前に、手術部位に、メンバーの頭文字を直接署名することを強制している。

さらに

  1. 質問または関心がある場合は、遠慮なく言おう
    治療に関与する人には誰に対してでも質問する権利があなたにはある。

  2. 誰(たとえばかかりつけ医)があなたのケアの責任者なのか明確にしておこう。
    特に、あなたが多くの健康問題を抱えていたり、入院している際には重要だ。

  3. 治療に関わる全ての職種の人に、あなたの健康に関する情報が伝わっているか確認しておこう。
    みんなが、必要なことは全て知っているとは思わないように。

  1. 家族や友達に、一緒にいてくれたり、代理人(もしあなたが出来ない時には、代わりに物事をやり遂げたり、声を上げてくれる人)たるように依頼しておこう。
    今は必要ないと思っていても、今後必要となるかもしれない。

  1. 過ぎたるは及ばざるが如し。
    なぜその検査や治療が必要なのか、どのような効果があるのか知るべし。あれもこれも、とやらないほうがいいこともあるのだ。

  1. 検査を受けたときは、「便りがないのは良い便り」と思わずに。
    結果を聞くこと。

  1. 医者や看護婦に尋ねたり、他の信頼できるものを利用して、自身の状態や治療法について知っておこう。
    例えば、最新の科学的根拠基づいたお勧めの治療方法は、http://www.guideline.govから検索可能。あなたの治療が最新の根拠に基づいているかどうか、医者に聞いてみよう。