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患者の安全に関するWMA宣言


 先般ご報告の通り、日本医師会は「患者の安全に関するWMA宣言案」を提案していました。このほど多少の文言修正を経て、10月2日から開幕した第53回世界医師会総会(WMA総会)にて採択されましたので、採択文をここにご紹介します。

患者の安全に関するWMA宣言

2002年10月 WMAワシントン総会にて採択

序文

  1. 医師は、患者に対して、専門職として最高水準の医療を提供するよう努めている。患者の安全は、保健医療における質の中核的要素のひとつである。
  2. 医学および関連科学技術の進歩によって、現代医学は高度で複雑な医療システムの上に成り立つこととなった。
  3. 臨床医学は本来的にリスクを抱えるものである。現代医学の発展は新たな、そして時にはより大きなリスク―避け得るものやその他不可避的なもの―を生む結果となった。
  4. 医師は、これらのリスクを予見し、患者の治療のなかでそれらを管理するよう努めるべきである。

原則

  1. 医師は、医療上の意思決定にあたっては常に患者の安全を確保しなければならない。
  2. 一個人ないしひとつの過程だけが原因でエラーが起ることはまれである。むしろ、別々の要素が結びつき、それらがいっしょになってハイリスクの状態を作り出すのである。それゆえ、ヘルス・ケアでのエラーを極秘に報告するための非懲罰的な環境が必要であり、これによりシステムの欠陥を予防し改善し、個人や組織の過失にしないようにするべきである。
  3. 現代医療に内在するリスクの現実を踏まえると、医師は、医療専門職という立場を超えて、患者を含むすべての関係者と協力して、患者の安全のために、プロアクティブ・システムズ・アプローチに取り組まなければならない。
  4. 組織的アプローチを構築するためには、医師は、絶えず、一連の最新科学的知識を吸収し、実地医療を恒常的に進化させるよう努力しなければならない。
  5. 患者の安全に関わるすべての情報は、患者を含むすべての関係者と共有しなければならない。同時に、患者の秘密は厳密に保持されなくてはならない。

勧告

  1. それゆえWMAは各国医師会に以下のとおり勧告する。
    1. 各国医師会は、自国のすべての医師に対して患者の安全に関する方策を促進すべきである。
    2. 各国医師会は、個々の医師、その他ヘルスケア専門家、患者およびその他の関連の個人や組織に対し、患者の安全を確保するために必要なシステムを構築するよう協力することを奨励すべきである。
    3. 各国医師会は、生涯教育/専門能力開発によって、患者の安全を促進する効果的なモデルを形成するよう啓発に努めなくてはならない。
    4. 各国医師会は互いに協力して、患者の安全を向上するためにエラーを含む有害事象、その解決方法、そして「学んだ教訓」についての情報を交換するよう努めなければならない。