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「これからの医療訴訟」

〜地域の医師・弁護士・裁判所のよりよいパートナーシップをめざして〜



最高裁判所が、医療過誤訴訟手続きの流れなどをわかりやすく掲載した、表題のパンフレットを作成しました。地方裁判所などを通じて医療関係者への配布を行っています。ただ、部数の関係で希望者全員に配布することは難しいようです。そこで、本ネットワークで入手しましたので、皆様に概略を紹介します。

第1部:医療訴訟と鑑定手続き
  1. 医療訴訟をめぐる問題
  2. 医療訴訟の運営改善に関する取組
鑑定手続きの問題点 裁判所の取組
鑑定人の負担が大きい 負担を軽減する
  • 鑑定手続きを分かりやすく説明したCD-ROM、パンフレットを交付
  • 事件の概要等を分かりやすく説明した資料を交付
  • 電話会議、テレビ会議を活用
  • 争点整理を徹底し、鑑定が必要な事件を絞る
  • 鑑定人の意見を伺って、鑑定事項を絞り込む
鑑定人尋問で不適切な質問を受ける 専門家に尋ねる方法を工夫する
  • 事前に裁判所と当事者間で、鑑定書の内容について協議し、鑑定人に尋ねる項目を絞る
  • 鑑定人尋問に代えて、補充鑑定書や、書面による尋問を活用する
  • 鑑定人尋問について、一問一答方式だけではなく、鑑定人から鑑定の結果を説明する方式や、鑑定人を含めた関係者間で自由にディスカッションをする方法を活用する
  • ラウンドテーブル法廷等、和やかな雰囲気の部屋を利用する
鑑定が裁判にどのように利用されたのか分からない 裁判終了後に結果を鑑定人に知らせる

第2部:地域での交流について〜相互理解のための意見交換の重要性〜
  1. 地域の医療機関等と裁判所の交流に向けた取組
  2. 「平成13年度医療訴訟ガイダンス」の実施状況の概要
    各地方裁判所が、地域医療機関の協力を得て様々な企画を実施。
    (具体例)
    • 医療訴訟に関するフリートーキング
    • 鑑定人の経験がある医師による鑑定体験の講演
    • 弁護士や裁判官等による医療訴訟の現状等に関する講演
    • 手術室等の医療現場見学
    • 裁判傍聴等の裁判所内見学
  3. 「鑑定人等協議会」を振り返って
    鑑定人等協議会は、裁判官や弁護士及び鑑定経験のある専門家が、裁判所において一堂に会し、専門訴訟について自由に協議することを目的に開催されたものである。
    平成13年度鑑定人等協議会についての主な意見
    (医師の意見)
    • 裁判所、弁護士及び医師が話合いの機会を持つだけでも有意義である。
    • 裁判官等に、医療現場の実情や医療制度を知ってもらうことも非常に有益である。
    (弁護士の意見)
    • 各地に委員会を設置して交流関係を構築し、意見交換できるようにすべきである。これまで医療界と法曹界の意思の疎通が従来欠けていたことは事実であり、お互いに反省する必要がある。
第3部:その他の取組
  • 最高裁判所に設置された医事紛争関係訴訟委員会の活動
  • 医療訴訟の事件数の多い裁判所において医療訴訟を集中的に扱う「医療集中部」の取組
  • CD-ROM等の医療訴訟を分かりやすくする設備

 本パンフレットについて、弁護士の甲斐順子先生から頂いたコメントを掲載いたします。


弁護士   甲斐 順子

 裁判所から特定の領域の方を対象にパンフレットを配布して呼びかけをすること自体が、画期的なことだと思います。
 医師の立場からはただでさえ多忙な中で,他の医師の行為について判断を表明して、裁判に「巻き込まれる」ことに対する嫌悪感は強いのかもしれませんが、このパンフレットは,そのような嫌悪感・精神的負担感に配慮した内容・表現になっていると思われます。
 医療訴訟の増加が世の中の流れとして避けられない以上、むしろ鑑定の制度に協力することで,医療紛争の早期解決のシステム構築に関与するという意義が見いだせるのではないでしょうか。
 是非多くの医療関係者の方々にお読みいただき、医療訴訟における鑑定制度についての理解を深めていただきたいと思います。