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米下院が「医療安全情報法案」の審議入り

−医療事故等の任意報告制度創設へ−

日医総研 アメリカ・ドイツ医療研究班
2002年11月19日


 米国下院の運営委員会は9月上旬、「医療安全情報法案」の審議に入った。同法案は医療事故時や、ニアミスなどの任意報告制度を創設し、集まった情報を医療安全対策に反映させていくことが柱。ブッシュ大領領が法案の成立に前向きな姿勢を示していることから、年内に成立する可能性が高いとみられている。
 
 医療事故を巡っては、国立医学研究所・米国医療の質委員会が1999年にレポート「人は誰でも間違える(To err is human)」を発表している。このレポートは医療事故を起こした個人を糾弾する古い体質からの脱却を説き、医療従事者から自発報告を募って医療安全対策に活用することを提案。世界的にも注目を集めた。
 
 今回の医療安全情報法案は同レポートをベースに策定されたもので、医療従事者による任意報告制度の創設と制度を円滑に運用するための環境整備がおもな内容となっている。任意報告制度については、医療事故やニアミスに遭遇した医療従事者に任意でレポートの提出を求める方針を打ち出している。同制度に協力した医療従事者を保護する観点から、個人名や医療機関名が特定できる情報は公開しない規定も設けた。こうして集めた情報を関係者間で共有し同様の事故の防止につなげる。ネットワークを介して情報を交換・共有することができるよう3年以内にカルテをはじめとする医療情報を標準化する目標も盛り込んだ。連邦政府当局者、医療機関関係者、有識者らで構成する「医療情報技術審議会」を新設し、標準化に向けた具体策を検討する。
 
 実は上院でも同様の法案が審議待ちの状態にある。下院の法案との違いは医療情報の標準化をIT企業主導で進める点だ。ブッシュ大統領は法整備に前向きで、「患者や医療従事者の個人情報の保護が制度を設計する際の最重要課題」との認識を示している。