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「都内診療所における医療事故・医事紛争対策について」


 平成15年3月、東京都医師会医療開発委員会の答申書としてとりまとめられた冊子「都内診療所における医療事故・医事紛争対策について」をご紹介します。真っ赤な表紙が目印で、手にした人たちからは通称「赤本」と呼ばれているようです。
 この3月まで東京都医師会の医事紛争担当理事をされており、本答申の作成にも関わった樋口正敏先生に、本書についてのお話を伺いました。

 「今まで、医療事故対策に関するいろいろなマニュアルや参考書が作られていますが、病院や有床診療所など、ある程度の規模以上の医療機関を対象としたものがほとんどでした。しかし、医師国保のデータによると、東京都の1医療機関あたりの平均加入者は3.8人となっています。つまり、現実は、医師1名、看護師1名、家族従業員1.8人といった規模で行っている無床診療所が大多数なのです。そうした、多くの人の役に立つ診療所レベルのものを作りたい、という思いから作成したのが今回の冊子です。
 特に、患者さんが診療所を受診したところから帰宅後までを、時系列的に記載している点は、今までになかった内容だと思います。」
 
 お話を聞いて、事務局でも入手してみました。好評につき問い合わせが多いそうですが、現在、東京都医師会にほとんど残部がないとのこと。また、増刷の予定もないそうです。そこで、皆様にとって参考になると思われる部分を抜粋して以下に掲載いたします。


(受付業務)
紹介患者さんの取扱い
紹介患者さんなどの取り扱いで差別するとトラブルになることがあります。
カルテ作成上の注意
特に注意する項目は、書き写しの間違い・同姓同名のチェックなどですが、ありふれた姓名の場合での患者さん確認の必要のため写真を持ってきてもらいカルテに貼るのも一考です。事務手続きが終了したら、保険証は直ちに返す習慣をつけましょう。
診療の予約
次回受診が予約制か否かをはっきりさせておくことも必要です。
待合室では患者さんの安全に気を配る(門を潜ってから帰るまでの安全確保)
身体不自由者、高齢者、小児などまた症状の重い患者さんなどが自動ドアに挟まれないように注意したり、段差のある入り口で転倒しないように気を配らなければなりません。土足かスリッパかで靴の管理が必要です。靴の間違えや盗難予防のため、靴箱にカギをつけていることもあります。スリッパ使用は足の接触による感染予防のために毎回手入れや定期的消毒が必要となります。
患者さんからの申し立てのシステム化
投書箱の設置や、定期的なアンケート調査等を実施して診療業務の改善見直しを行うのも良いことです。
(その他)

外国の患者さんが来院した場合
 近年、日本に居住されている方々や旅行中の外国の患者さんが受診される機会が多くなりました。その場合、本人の確認が当然必要であると同時に、言語・風習・習慣などの違いまた医療への考え方も異なるために、症状の把握やコミュニケーション不足が起こりがちです。充分な配慮が必要となります。


(資料1)  クレーム事例集
施設・設備
  • 診療所の庭に焼却炉がある。
  • 診療所が汚い。
  • 機械が古い。
  • 医療機関の不衛生。
受付業務
  • 領収書がもらえない。
  • 予約制なのに一時間待たされた。
  • 診療費の明細について窓口で聞いてもよく説明してもらえない。
  • 窓口での応対が悪い。
  • アメニティー料をとられた。
  • 投薬も診療内容も全く同じなのに、一部負担金に差があるのはなぜか。どちらの医療機関が正しいのか。
  • 診断書料が高いと思うが、どの位が標準なのか。なぜ統一できないか。
  • 診療費の一部負担金が高い。
  • 毎日同じ治療なのに治療費が異なる。
  • 証明書料金が医療機関により異なる。
診療関係
(医師に関して)
  • 医師の間の連絡不足。薬の副作用の説明が医師によってあったりなかったり。
  • 医師の対応に不信感。
  • 医師の言葉遣いが悪い。
  • 医師の態度が横柄で診療上の事を聞きたいが聞きにくい。
  • 医師が猥褻行為をする。
  • 医師が大声で病名をいう。
  • 従業員からの告発、医師がいらいらしたり、暴言暴力を振るう。
  • 代診の先生(主治医に診てもらいたい)
(診察に関して)
  • 労災だといって診てもらえない。
  • 無資格診療、技師や看護師。
  • 待合室で待っていたとき用事で外出したら診療時間が終わってしまい診てもらえなかった。
  • 診察の際よく説明もせず長期に通院させられて困っている。
  • 診断書の作成依頼をしても、すぐに書いてもらえず困っている。
  • 長期間治らないので、医療機関を変えたいが医療機関を紹介してほしい。
  • 産婦人科医で女医先生のいる医療機関を紹介してほしい。
  • 各科において上手な医師のいる医療機関を紹介してほしい。
  • 英会話のできる医師を紹介してほしい。
  • 眼科・耳鼻科が木曜日に休診が多いが何故か。
  • 産婦人科に痔核で受診、いきなり診察台にのせられあちこち触診された。
(薬・投薬・処方箋に関して)
  • 処方記入誤りによる誤投与。
  • 処方記入ミスに対する対応の悪さ。院外薬局。
  • 副作用の勉強不足、バイコールが新聞に出ていたのに知らなかった。
  • 薬の大量投与。
(職員に対して)
  • レントゲン技師が検査中他の話をしていた。
  • 入院患者の家族から看護師などのスタッフに対する不備の苦情。
  • 無資格の人がレントゲン検査?
  • 看護師の応対または対応が悪い。
  • 検査技師によっては説明があったり、なかったり、看護師と私語があり受診者は無視。
医師会の役割
(健(検)診について)
  • 胃、大腸内視鏡の事故
  • 基本健診 がん検診 休日診療など区との受託事業で
  • 学校医 保健所 先生の資質? 化粧が派手? 問題発言?
  • 検診で患者取り違え
  • 予防接種 麻疹風疹の取り違え 接取量の間違い

その他
  • テレホン事業での不適切指示についての苦情。



(資料2)  診療所・自己機能評価の手引き

 各医療機関が医療事故を防ぐためどのような工夫をしているかを探る一手段として、自己による評価の手助けとなるようにチェックリストを作ってみました。これを参考にしてそれぞれの医療機関に合った自己機能評価を作成してはいかがでしょうか。

評点(A) 優れている場合
評点(B) (A)ほどではないが、部分的に評価している
評点(C) 改善が望まれる場合
NA(Not Applicable) 評価項目に関連する機能自体が存在しない場合

環境
診療所あるいはビル診療所の周りを見ていますか (A) (B) (C) NA
外回りに破損や汚れはありませんか (A) (B) (C) NA
騒音や悪臭など気になりますか (A) (B) (C) NA
施設・設備
消化器や避難誘導は大丈夫ですか (A) (B) (C) NA
建物の床、壁、スリッパの汚れをみてますか (A) (B) (C) NA
机、椅子の汚れをみてますか (A) (B) (C) NA
器具・機材の汚れ、故障、保管の状態をみてますか (A) (B) (C) NA
薬剤の保管は確かですか (A) (B) (C) NA
医療廃棄物の保管はしっかりしていますか (A) (B) (C) NA
医療廃棄物の委託業者は確かですか (A) (B) (C) NA
カルテの作成
頭書に間違いはないですか (A) (B) (C) NA
同姓同名のチェックは大丈夫ですか (A) (B) (C) NA
診察券に必要事項を忘れずに記入していますか (A) (B) (C) NA
保険証は返しましたか (A) (B) (C) NA
再診の患者のカルテ出しに間違いないですか (A) (B) (C) NA
カルテの保管はどうですか (A) (B) (C) NA
受付・案内
患者さんへの対応、電話の受け答えは丁寧ですか (A) (B) (C) NA
患者さんへの声掛けはしていますか (A) (B) (C) NA
患者さんの呼び出しの順番に間違いはないですか (A) (B) (C) NA
苦情の受付をしていますか (A) (B) (C) NA
月1回の保険証は確認しましたか (A) (B) (C) NA
待合室での患者さんに気を配っていますか (A) (B) (C) NA
会計
自費か保険診療か確認しましたか (A) (B) (C) NA
文書料や診断書料の説明をしていますか (A) (B) (C) NA
処方箋の確認はどうですか (A) (B) (C) NA
領収書を発行していますか (A) (B) (C) NA
診療関係
患者さんをリラックスさせていますか (A) (B) (C) NA
診察で問診表を活用していますか (A) (B) (C) NA
投薬の必要性と危険性の説明は充分ですか (A) (B) (C) NA
治療の必要性と危険性の説明は充分ですか (A) (B) (C) NA
検査の危険性、必要性を説明していますか (A) (B) (C) NA
検査の際は充分注意を払っていますか (A) (B) (C) NA
応急時の対応は充分取れますか (A) (B) (C) NA
注射の際は充分注意を払っていますか (A) (B) (C) NA
手術の必要性と危険性の説明は充分ですか (A) (B) (C) NA
署名入りの同意書を記録していますか (A) (B) (C) NA
帰宅後
病状変化に対しての指示をしましたか (A) (B) (C) NA
連携医はいますか (A) (B) (C) NA
電話番号、携帯も教えていますか (A) (B) (C) NA
コ・メディカル
処方箋をわかるように記載していますか (A) (B) (C) NA
処方箋の確認をしていますか (A) (B) (C) NA
処方箋薬局と連絡を取り合っていますか (A) (B) (C) NA
疑義の照会は少ないですか (A) (B) (C) NA
指示の確認をしあっていますか (A) (B) (C) NA
スタッフの力量を把握していますか (A) (B) (C) NA
最近何か変わったことがありましたか (A) (B) (C) NA
訪問看護師と連絡をとりあっていますか (A) (B) (C) NA
指示書は見直していますか (A) (B) (C) NA
医療連携
診々連携をしていますか (A) (B) (C) NA
病診連携をしている病院がありますか (A) (B) (C) NA
医療相談室などから連絡がありますか (A) (B) (C) NA
検査の依頼は気軽にできますか (A) (B) (C) NA
入院の依頼は気軽にできますか (A) (B) (C) NA
セカンドオピニオンを尊重しますか (A) (B) (C) NA
セカンドオピニオンをしたことがありますか (A) (B) (C) NA