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インシデントレポートの改善と有効活用を考える


 2003年8月21日、「これからの福祉と医療を実践する会」により、東京医科大学の医療情報学教室助手の村越昭男氏を講師とする特別研修会が開催された。テーマは「インシデントレポートの改善と有効活用を考える」。
 インシデントレポートについては、会員の皆様の現場でもいろいろな問題を抱えているのではないだろうか。少しでもその参考になればと思い、当日発表された、東京医科大学病院での取り組みの一部をここに紹介する。



 東京医科大学病院では、インシデントレポートの問題対策の一つとして、書式変更という形をとった。

(記入漏れ対策)

 特に記入漏れの多かった発生・発見時刻に関しては、書式による記入の勘違いで、午前・午後にしかチェックをつけず具体的な時間を記入していないものがあったので、0〜24時の具体的な時間を記入できるようにし、さらに時刻・場所項目を発生・発見とに分けて記入できるようにした(下図参照)。

 



レポートの提出数と記入漏れ数の推移

 これによると、書式変更、またその後の指導・教育により、時刻・場所とも記入漏れの割合が減少したことがわかる。
 
 特に薬剤部門は、「処方ミス」の発見では、発生時刻が不明のため、記入漏れになっていたが、発見時刻を記入できる書式への変更と、教育・指導の結果、顕著に記入漏れが激減し0件になったという。

(職員への周知徹底対策)

 今まで、破損や盗難・紛失は、インシデントレポートとは別の一般報告書を使って提出してもらっていたが、これらの項目もすべてインシデントレポートの中に盛り込んだ(下図参照)。
 まずは、インシデントレポートの存在を認識してもらい、この書式に慣れてもらうためである。
 おかげでレポートの存在は広く認知されたが、本来含まれるべきでない出来事(職員の私物の紛失など)まで提出されていることもあるそうだ。そこで、今後の課題としてはレポートの質の向上があげられた。


 当日はこの他に、レポートの有効活用として、現場へフィードバックさせること、安全管理マニュアル更新に生かすこと、部署間で認識に温度差があることに対しては個別指導も必要、などといった課題も報告された。
 同院では年に2回院内巡視を行い、職員に「安全管理マニュアルの設置場所を知っているか」等と聞いてまわっているそうだ。そして「使っている」と答えた人には、そのとき院内で特に話題になっているホットな事例について、手順を言わせるようにしている。安全管理マニュアルが更新されていることへの注意喚起のためだという。


 村越講師は、研修会のまとめとして「インシデントレポートについては、まず存在を知ってもらい、書く事を習慣付けること。それから質・内容の論議に入ることです。」と結んだ。