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ドイツにおける医療をめぐるトラブルと処理

 「ドイツの医療から学ぶ会」は、5月22日(水)、「ドイツにおける医療をめぐるトラブルと処理」をテーマに講演会を開催した。
講師はドイツ連邦共和国医師である柴田三代治先生。
 当日配布された資料から抜粋して、ドイツの苦情の要因と苦情処理のシステムについて紹介する。

(苦情の要因)
 ドイツの患者の多くが不満としているものとしては、「医師が、身を入れて聞いてくれない」「上っ面ばかりの返事をする」「人を見下した言葉遣いや態度をとる」というものがあり、その他「診断・治療の過失」「技術上のミス」がある。ドイツの医師は、患者を「お客」とみることはなく、患者からは冷たい態度ととられがちである。そのため、ミスが起こる以前のことに対する苦情が多い。
 苦情の申立件数は、1975年は5,000〜6,000件(全ドイツ)であったのが、2000年には約30,000件に上昇している。最もこれは、ミスが多くなったというより、苦情を申し立てる患者が多くなったと、捉えられている。
 件数の半分は健保又は医師会の調停員により解決される。あとの半分は裁判で、その約50%は却下されている。
 従来の統計では、3分の1は料金の問題、次の3分の1は治療ミスで、残りの3分の1は一般的な医者の態度、人間味のない診察、不十分な治療、リハビリの希望無視、長すぎる待ち時間などといった状況である。

(苦情処理の状況)
 患者は、医者の態度・治療ミス・医療費など医療に対する不満、疑問、意見の相違等は、何でも医師会の苦情処理係に直接電話で苦情を言うことができる。場合によっては、苦情処理係は、患者に書類を作成して提出することをすすめることもできる。 
 苦情処理係は、医師会のほかにも、健保、消費者連盟、互助会、市町村の社会福祉事務所、病院等に設置されており、それぞれに扱う内容が異なる。

(立証責任)
 従来、誤診・治療過失の立証責任は患者側にあった。医者のミスであることが確認されなければ、医者は無罪であり、賠償責任も慰謝料支払いもない。裁判が長引くほど経費もかかる。又、因果関係が不明の場合は、法律の原則“In dubio pro reo”(証拠不十分の時は、被告人に有利になるよう判定する)で、やはり無罪になる。
 これを修正するための法律が、昨年(2001年)国会を通過した。その内容は、「重過失の場合は、医者が自らの無罪を立証しなければならない」「慰謝料は、因果関係が50%以上の可能性あり、と判断されれば、支払いの対象となる」というものである。