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医療機関における危機管理のあり方 |
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2004年2月21日(土)、日本医師会館にて田中正博氏(田中危機管理・広報事務所 所長)によるセミナー「医療機関の“危機管理”-クライシス・コミュニケーションを中心として-」が行われました。
危機管理の両輪は予防策と問題が起きた後の対策です。本セミナーでは、起きた直後の対策を中心にお話がありました。そのキーワードは「スピード」のようです。
内容の一部をご紹介します。
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【I.医療機関を襲う危機の原因とその予防策】
(筋論クレーマーの増加)
民間企業では10年ぐらい前から対策がとられていることですが、「筋論クレーマー」と呼ばれる人が増加しています。筋論クレーマーとは、筋の通った疑問、質問、異議、抗議を申し立ててくるお客様のことです。その特徴の中で特に注意すべき点は、最初の対応での「誠意の欠如」が発端になること、納得できないとマスコミにたれこむこと、の2点です。
初期対応で誤らないための「3つの心得」を挙げます。
- 相手の言い分を十分に聞き、途中で話をさえぎらないこと。
- 今やっている仕事を途中で止めてでも、すぐに面談する。
- 対応は迅速に。同じ対応をしても遅いと評価されない。
(従業員の危機管理意識の欠落)
初期対応をするのは現場の人がほとんどです。よって従業員教育が不可欠です。危機管理には知識より「意識」が重要です。意識改革は難しいと思われがちですが、やり方しだいでは実に簡単に瞬時に変えることができます。
「タイシタコトニハナラナイダロウ・・・」
「何トカナルノデハ・・・」
「ヨクアルコトサ・・・」
これらは、実際に事故などを起こして職場を去った人が、その時に感じたことだそうです。こういう甘い思いがよぎったときは本当に危ないです。従業員教育に使ってください。
また、「危機管理意識」という難しい言葉ではなく
「ちょっとへんだな・・・」と思ったら第1報
「本当に大丈夫かな」と疑問に思ったら第1報
「いつも誰かに見られている」
こんなフレーズを合言葉にして、文字ポスターにしてみてはいかがでしょうか。
危機管理は患者のためだけではありません。自分と自分の家族の生活を守るためのものだと、従業員に「当事者意識」を持ってもらいましょう。
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【II.危機発生時のクライシス・コミュニケーションの重要性】
人は起こしたことで非難されるのではなく、起こしたことにどう対応したか、によって非難されます。危機管理については「得策」かどうかが判断のポイントになります。社会からの疑惑や批判がでる前に、とにかく先手、先手を打つのが得策です。5W1H全てがわかってから発表、というのは時代に合わなくなってきました。どんどん発想を変えなければなりません。マスコミはスピード中心の視点で報道します。
そこで、クライシス・コミュニケーションのキーワードは次の3つになります。
- スピード(迅速な意思決定と行動)
- 情報開示(情報の小出しは疑惑を招くだけ)
- 社会的視点からの判断(組織の危機はマスコミや患者、社会が判断するものである)
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【III.緊急事態発生時のマスコミ対応の基本】
事故が起きてしまったら仕方がありません。前向きに取り組むことです。次のポイントをマニュアルとして使っていただければと思います。
(医療事故の場合の基本方針)
- 1.報道されるかな?、と思ったら先に記者会見すること
- 「報道されるかな?」このセンスが大事です。実際、患者からの兆候や、マスコミから打診の電話など何らかのサインがあります。タイミングを逃さず察知することが大事です。これにはリーダーの決断力がものをいいます。NASAのスペースシャトル事故の報道も、旭化成の工場火災の報道も、先に会見したことで客観的な報道になりました。
- 2.原因は何であれ、まずはお詫びの気持ちを示すこと
- お詫びをしたら不利になる、というのは古い考え方です。詫びようと詫びまいと訴訟は起こります。また、法廷では事実関係のみが争われます。因果関係はすぐにはわからないことが多いでしょう。しかし、患者やその家族に何らかのマイナスの影響、不必要な不快感を与えたことは事実です。そのことに対して、「ご心配をおかけしました」この一言が言えるかどうかにかかっています。
- 3.原因の解明について明確に「今後の方針」を説明すること
- 「いついつまでに、○○します」というように、真剣に取り組む姿勢を示すことが大事です。
- 4.「逃げの姿勢」「責任回避の姿勢」を見せないこと
- 記者は「逃げると追う」「隠すと暴く」ものです。また、責任回避の姿勢は感情のもつれをもたらします。
- 5.ポジションペーパーを用意して、記者に説明すること
- ポジションペーパー(立場を明らかにした印刷物)とは、時系列的に対応の一連のプロセスを書いたものです。相手の主張、見解とともに、問題に関する医療機関側の患者への説明状況、対応行動、今後の方針や主張を資料にまとめて配布します。同じ説明をするにしても、口頭のみでは自己弁護ととられがちですが、このペーパーを記者に配布することで統一情報、統一見解をきちんと説明することができます。
(記者会見の心得7か条)
- 逃げの姿勢と姑息な言い逃れを絶対にしないこと
- 挑発質問や意地悪質問にも感情的にならないこと
記者はわざと挑発するような質問をしてきますが、その時は「あ、これが挑発質問だな」と思うことで冷静になれます。
- 質問した記者の社名や名前は聞かないこと
- 「想定問題集」(アンチョコ)をいちいちめくったりしないこと
- 法的立場からの説明にこだわるな。記者会見は法廷に非ず
- 話すときは1テンポゆっくり、そして語尾をはっきり言うこと
「〜でございます」「〜ではございません」を使い分ける。癖はすぐには直せないでしょうが、これだけはできるでしょう。
- 終了時間が来たら直ちに退室すること
(記者会見の手順)
- 1.時間を決める
- ・午前中なら午前11時ごろまで(夕刊締め切りに間に合うように)
・午後なら午後2時〜午後5時までに(朝刊締め切りに間に合うように)
・記者会見の時間は「50分」をメドに置くこと。今までの経験からすると、20〜30分では足りません。また、司会役は予定時間の1分前に「そろそろ予定時間が来ましたのであと1〜2問で終了させていただきます」というメッセージをいれることが重要です。これによってメディアとこちら側に納得感が生まれます。
- 2.スポークスマンを決める
- ・組織のトップが出席のこと(出席しないと「逃げたのでは?」と疑われる)
・ほかに2名程度、陪席する
- 3.会場を決める
- ・少しでも広い会議室を選ぶこと
・狭いと記者からクレームが出る
- 4.ステートメントを作成する
- ・A4版2ページ程度に事故の概略をわかりやすく整理してまとめる
- 5.Q&Aを作成する
- 6.事前のリハーサルを行う
- 7.会見時間の遅くても「2時間前に」電話およびFAXで緊急記者会見の通知をする
- ・あらかじめ、リストを作成しておくことが大事
- 8.記者会見を行う
- ・ステートメントを読み上げた後、質疑応答を行う。
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