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「医療廃棄物研究会 第24回研究講演会」


 医療廃棄物研究会の第24回研究講演会」が、平成17年7月23日(土)、東京慈恵会医科大学中央講堂で開催されました。午前の部は「適正処理への法制度や技術の最新動向」として、本年5月に交付された廃棄物処理法の改正についての解説、環境省補助事業により開発された最新技術(ICタグ活用による適正処理監視)の紹介などが行われました。午後の部は「関係者からみた医療廃棄物の問題とその解決策」と題して、医療機関、処理業者などがそれぞれの立場で現状と問題点を発表しました。
 本ネットワーク会員の皆様にも関連のある内容だと思いますので、一部分ですが、事務局が抜粋してお伝えします。

 


(産業廃棄物の適正処理について−最近の法改正と感染性廃棄物−)
 環境省 廃棄物・リサイクル対策部適正処理・不法投棄対策室  菅 範昭

 先般、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律」が、平成17年法律第42号として交付された。改正内容の中から、排出事業者にとって関連が深いマニフェスト(産業廃棄物管理票)制度の強化について紹介する。

改正のポイント 改正前の問題点 改正後
(1)マニフェスト制度違反に係る勧告に従わない者についての公表・命令措置の導入 勧告に従わない場合の制裁措置がないため、実効性が十分でなかった。 違反行為に対する勧告に従わなかった者に対し、都道府県がその旨を公表できる。さらに、公表後、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらない者に対しては、当該措置を撮るべきことを命じることができることとし、罰則の対象とする。
(2)産業廃棄物の運搬又は処分を受託した者に対するマニフェスト保存の義務付け 産廃処理業者がマニフェストを破棄することなどにより不適切処理事案における排出事業者責任の追及が困難となるケースが生じていた。 運搬受託者及び処分受託者に対し、マニフェスト又はその写しを保存する義務を課すとともに、義務に違反した場合は罰則及び現状回復等の措置命令の対象に追加。
(3)マニフェスト制度違反に係る罪の法定刑の引上げ マニフェスト偽造など、不適正処理を隠蔽する行為が後を絶たない。
(50万円以下の罰金)
罰則強化。
(6月以下の懲役又は50万円以下の罰金)
(4)産業廃棄物の処理を受託した者が処理を終了せずにマニフェストの写しを送付する行為等についての規制の明確化 禁じられていることが不明確との指摘があった。 産業廃棄物の処理を受託した者が、当該処理を終了せず、又は最終処分が終了した旨が記載されたマニフェストの写しの送付等を受けていないにもかかわらず、マニフェストの写しを送付する行為等について、罰則の対象であることを明確にした。


 ※環境省のホームページでは「感染性廃棄物処理マニュアル」も掲載しているので、そちらも参照されたい。


(ICタグ活用による適正処理監視−紙マニフェストから電子マニフェストへ−)

 
(株)コシダテック 宮崎 毅

 現行のマニフェストでは、伝票と廃棄物そのものの流れが一致しないことが生じ、不法投棄等の社会問題につながることがある。そこで、ICタグを利用した、感染性廃棄物の追跡管理(トレーサビリティ)システムを開発した。これは、環境省平成16年度次世代廃棄物処理基盤整備事業に採択されたものである(下図参照)。

 

 本年2月から5月にかけて行われた実証試験の段階では、データを重複して送信してしまうエラー、データが多すぎて送信できないトラブルなどがあったが、現在は、プログラムの修正等により改良されている。これにより、インターネット上の情報管理システム画面で、マニフェストで管理されている容器ごとの重量・作業状態を確認でき、各容器の回収・中間処理場への受入・焼却処理まで一連の流れをその日時により確認するという追跡管理が実現できたという。
 今後の課題としては、排出事業者や収集運搬事業者がこのシステムを利用する際の作業時間の短縮、リーダによるデータの読み取り精度の向上などが挙げられた。
 ちなみに、現時点でのICタグの価格は、少数ロットで購入すると約70円/枚。


(川崎市立井田病院における廃棄物処理の取り組み)
 川崎市立井田病院 廃棄物処理対策委員会 緒方謙太郎

 井田病院の廃棄物処理量は年々上昇傾向にある。これは、事業系一般廃棄物処理量が比較的安定しているのに対して、感染性廃棄物処理量が増加の一途をたどっていることによるという。特に、入院患者に占める高齢者の割合が高く、紙おむつの使用量が慢性的に増加傾向にあるのが原因と見られる。地域により分別の解釈が異なるが、当地域では紙おむつはプラスチックを含む材質であるため、感染性廃棄物として処分している。また、点滴ビンも、一部はガラス屑として処分されているが、プラスチック製点滴ビンは、感染性廃棄物の処理経路に回さざるをえない状況にある。
 
 分別の不徹底から、院内清掃業者の針刺し事故や、内容物を廃棄しないまま、薬品ビンを投棄するなどの事例も認められるという。患者情報を扱った媒体物、機器、書類等の廃棄に際しては、個人情報保護の観点からもこれまで以上に問題意識を持たなければならない。今後の課題として、医療廃棄物処理に関する職員の問題意識を高めるための教育・啓発活動の必要が挙げられた。


(処理業者から見た医療廃棄物の現状と問題)

 
呉羽環境株式会社 福田弘之

 残念ながら、医療廃棄物が不法投棄されているケースは非常に多い。その原因と課題として以下のものが挙げられた。

不法投棄の原因 課題
(1) 医療廃棄物の収集運搬費と処理費は、他の産業廃棄物と比べると、非常に高く、法を無視するグループが関わってくる。 法を無視するグループが関われないシステムにする。
(2) 排出事業者が処理費用の安い業者を選定する傾向が強く、排出事業者に課せられている義務である、自らの責任で適正に処理することが忘れられている。 排出事業者の意識の変化が必要。
(3) 現在のマニフェストはロットごとの管理であり、容器ごとの個別管理をしていない。 個別管理により、排出・運搬・処理個数を一致させ、収集・運搬費用も含めた処理費の請求業務に個別管理データを使い、法を無視するグループが関われないようにする。
(4) 排出時に作成されたマニフェストが中間処理・最終処分後に排出事業者に戻ってくるのに1〜2ヶ月程かかるため、その間の継続的監視・管理が無理。 リアルタイムという概念の導入が必要。
→無線ICタグ(RFID:Radio Frequency Identification )を使ったトレーサビリティシステムの導入。