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「医療安全対策について〜医療の現場から生の声を発信〜」


 (財)医療関連サービス振興会の月例セミナーとして、「医療安全対策について〜医療の現場から生の声を発信〜」が、平成17年9月28日(水)、都内で開催された。講師は医療法人永生会永生病院理事長企画室の山下小百合氏。
 映画「踊る大捜査線」の中のセリフ「事件は会議室で起こっているのではない。現場で起こっているのだ」ではないが、医療安全のための情報も“現場”にある。それをいかに対策に結び付けられるかがリスクマネジメントであるという。山下氏自らの現場での体験談も交えた、臨場感のある講演であった。当日の内容の一部をお伝えする。 

■永生病院の取り組み

 
永生病院(東京都八王子市、667床)では、患者と職員の満足度の向上を目指し、様々なアンケートを行っています。
 
 たとえば、入院患者とその家族に病院の中で重要視しているものについて聞いたところ、患者は看護師、担当医師、食事の順で重視しているのに対し、家族は担当医師、リハビリテーション、看護師の順で重視しているという結果でした。

 また、担当医師別に「応対」「言葉」「説明」「回診」の項目で評価してもらうというアンケートも行っています。項目別に得点化してみると、担当医によるバラツキがありました。
 
 さらに、医師別評価の結果を看護師からの評価と患者様からの評価とで比較してみると、かなり評価得点に差がある医師もいました(図表1参照)。
図表1.医師評価の結果
担当医 看護師からの評価(点) 患者様からの評価(点) 合計(点)
A 44.4 45.5 89.9
B 42.3 46.1 88.4
C 42.3 45.8 88.1
D 41.7 40.0 81.7
E 35.4 45.7 81.1
F 37.5 41.4 78.9
G 37.5 40.7 78.2
H 33.4 44.5 77.9
I 30.4 45.9 76.3
J 29.6 45.1 74.7
K 31.9 42.6 74.5
L 30.4 42.6 73.0
M 28.6 43.4 72.0
N 25.7 40.8 66.5
O 22.3 39.9 62.2
P 19.4 39.7 59.1
Q 14.6 32.4 47.0


■輸液ポンプのボタンを子どもが操作


 ある患者(6〜7歳ぐらいの子ども)の体に持続的に注入している、輸液ポンプの中の麻薬の減り方が異常に早くなっていたことがありました。すぐに、輸液ポンプの流量設定ミスではないか、あるいは麻薬という性質から盗難ではないか、と考えられましたが、どうもそうではないようでした。
 私は、最近の6〜7歳ぐらいのお子さんならゲームなどでボタンなどのタッチ操作にも長けていますから「こども(患者)が押しているのでは?」と言いましたが、まさか!と一蹴されてしまいました。しかし、実際はその予感的中だったのです。まさかというようなことが、現場では実際に起こるのです。
 対策としては、ロック式の輸液ポンプを使う、親を含めて子どもにも機械をさわったらどうなるのかを説明しておく、等が挙げられるでしょう。


■異食患者の飲み込んだものを吸引ノズルで除去

 これは介護老人保健施設での出来事です。異食行動のある患者が、夕食前の目を離した隙に、自分のおむつパッドの中の綿を5cmぐらいちぎって飲み込んでしまいました。このような患者が口にするのはあっという間です。このときには、「吸引ノズル」(市販されている全ての掃除機で使用されている)で異物除去に成功しました。吸引ノズルは、在宅や施設・通所サービス施設などで使用可能です。誤嚥・窒息の時の処置に使えます。インシデント・アクシデント報告では転倒・転落事故の多さが強調されますが、死亡率では転倒・転落より窒息の方が高いのです。病院ではすぐに処置ができますが、老人保健施設では使用機材の使用方法について、教育訓練をしておくことが必要です。


■洗面台について提案

 感染対策に最も効果的な手段は徹底した手洗いです。手洗いに必要な時間(10〜20秒以上)自動的に水が流れるような洗面台があると良いと常々思っています。そして、この洗面台が、水の流れている間、環境音楽が流れるようになっていたり、患者さんの見えるところにあると、なお良いでしょう。「あの先生が入ってくる前には音楽が聞こえなかった」「あの看護師さんは手を最後まで洗っていなかった」など、患者参加型のモニタリングが可能になります。
 洗面台のそばにはよく「節水」と書かれていたりしますが、それでは十分に手が洗いにくくなります。それよりも正しい手洗い方法の絵(図表2参照)などを貼っておく方が効果的でしょう。
 また、手洗いの指導には、机上の指導ではなく、実際に手を洗って見せること。実践訓練が大切です。


図表2.手洗い方法の図示


引用 : 洪愛子;手洗いコンプライアンスを高める,看護技術,47(4),11-16,2001