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脳血管障害における計算バイオメカニクスと可視化計測〜2006「生研公開」〜


 2006年6月1日(木)〜3日(土)、東京大学生産技術研究所の研究と講演が、駒場リサーチキャンパスで一般公開された。
 その中から、今回は、6月3日(土)に行われた大島まり教授の講演「脳血管障害における計算バイオメカニクスと可視化計測」の一部をご紹介する。 


脳血管障害における計算バイオメカニクスと可視化計測
大島まり(東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授/東京大学生産技術研究所 機械・生体系部門教授)

 脳梗塞、くも膜下出血などの脳血管障害は、血行力学といわれる血流による流体力学的な因子が重要な役割を果たすことが知られています。そこで、くも膜下出血の主要因となっている脳動脈瘤を取り上げ、コンピュータ・シミュレーションと生体外モデルを用いた可視化計測のアプローチによる研究を進めています。

 生体に関する実験には、体内での実験(in-vivo)と体外での実験(in-vitro)があります。血流については、現在の計測機器の性能では、体内計測で詳細な情報を得るのが困難です。また、体内実験では生身の生体を用いるため、個体差の影響、あるいは実験条件の制御や再現性の低さにより、実験結果の比較検証が難しいという問題があります。それに対して体外実験では、個体差の影響を受けず、実験の再現性も高く、空間・時間解像度が高いというメリットがあります。そこで、研究では、計測モデルとして実血管形状を再現した生体外モデルを用いています。

 また、血流は複雑な血管網内を流れるマルチスケール、血管壁との相互作用や物質輸送などのマルチフィジックス的な特徴を持ちます。そこで、血液のマクロおよびマイクロスケールの流れを取り上げ、各スケールでの流動の特徴を捉えることのできるPIV(Particle Image Velocimetry;粒子画像流速測定法)を基盤とした可視化計測技術の開発を行いました。

 こうして、脳動脈瘤の発生・成長・破裂の要因が解明されると、破裂の危険度の予測につながり、より安全な治療・予防が可能になると思われます。


大島まり教授

 もともと流体に関心があり、その延長線で血流の研究を始めました。本研究では医師の先生方にもご協力いただいています。

 研究の詳細は大島研究室のホームページ
 (http://www.oshimalab.iis.u-tokyo.ac.jp) でご覧いただけます。



 過去約20年、脳血管疾患は、がん、心疾患に次いで、死因の第3位となっている。このような工学部門の研究が医学・医療分野へ展開され、治療に役立つことが期待される。