情報提供していただいたケース17例を下記にご紹介します(長いものなどについては、一部事務局で編集させていただきましたことをご了承ください)。
それぞれについて、ケース番号をお書き添えの上、ご意見等を掲示板へ投稿してください。会員相互でコメントを加えていただきたいと思います。
多くの事例が寄せられれば統計・分析など行っていくことも予定しておりましたが、提供いただいたのが17例という結果でしたので、今回は事例のご紹介に留めさせていただきます。今後、このようなインターネットを通じた調査のあり方について、事務局として検討したいと考えております。
- ※注意
- 本調査では、具体的な事例を可能な範囲でご報告していただくことをお願いしました。会員の皆様には誠実にご報告していただいたと思っております。ただし、事実関係を事務局で確認したわけではありませんので、取り扱いには十分注意をしていただくようお願い申し上げます。
- (ケース1)
- 具体的内容
配薬トレイの中に患者の薬を間違えて入れた。患者が気付き、訴えた為、確認後取り替えた。
発生要因
フルネームの確認を怠った。ナースコールの為、作業を中断した。
実施した改善策
薬箱から配薬トレイに移す作業を中止し、直接患者へ持参出来る容器を作成した。
- (ケース2)
- 具体的内容
口頭指示による側注の実施漏れ
発生要因
複数業務の同時進行。勤務終了後、確認することを怠った。
実施した改善策
作業を同時に行わない。指示伝達手順のルールを見直しした。
- (ケース3)
- 具体的内容
挿管中の患者のマウスケア中に歯牙2本が脱落し、誤嚥されそうになった。
発生要因
1)挿管中に歯牙を損傷していたことを事前に情報として理解していなかった。
2)マウスケア前の口腔内の観察不足。
実施した改善策
1)入院時の患者の状態観察の励行。
2)挿管患者の初回マウスケアは2人で行うことにする。
- (ケース4)
- 具体的内容
当日4例の白内障手術と1例の緑内障手術が予定されていた。4例目は緑内障のAさん、5例目は白内障のBさんの予定だった。しかし4例目に入室して来たのは白内障のBさんだった。手術室看護師は予定通り緑内障の患者が入室したと思い、手術台に乗せた。手術開始直前に患者の顔を見て予定のAさんではない事に執刀医が気付いた。
発生要因
1)当日病棟の深夜看護師が手術順番を書く用紙に患者名を書く際、AさんとBさんの順番を間違えた。
2)手術室看護師からAさんの入室指示が正確に伝わらなかった(看護師は次に呼ばれるのはBさんだと思い込んでいた)。
3)手術室看護師は入室時カルテと患者自身を識別ベルトで確認しているが、順番が違っている事に気付かなかった(順番通り入室してくると思い込んでいる)。
実施した改善策
1)病棟で作成する手術順番表はコンピュ−タ−の手術予定表を利用し転記しない。
2)手術室入室口に手術予定表を貼り、入室時チェックする。
3)執刀医による患者確認(患者に名乗っていただく)を徹底させる。
- (ケース5;患者としての体験例)
- 具体的内容
某クリニックで、黒子除去後の治療をした。医師に完治診断書を書いてもらった。今回の治療に加えて、去年治癒した分も連記してもらったが、右と左が違っていた。また、診療経過どころか、診療開始日、治癒日なども書かれていなかった。
発生要因
医師の書き間違い
実施した改善策
- 自分自身が、診断書内容を見て、誤記に気づき、それを書いた医師に誤記を指摘した。後日、きちんと、カルテ内容を確認しながら、必要事項を具体的に書いてくれた。
- (ケース6)
- 具体的内容
透析終了時、血圧下降し血管確保の為V側カニューレを挿入したまま酸素吸入をしていた。状態が落ち着いたらカニューレを抜くよう申し送られたが、酸素カニューレと勘違いしV側カニューレを挿入したまま介護施設へ送ってしまった。
発生要因
AナースはBナースにV側カニューレを抜くように申し送ったつもりだったが、Bナースは酸素カニューレの抜去と勘違いする。その後AナースはBナースに確認しなかった。
実施した改善策
- 1)V側カニューレは「抜去」、酸素カニューレは「外す」と表現する事にした。
2)血圧が安定するまでV側カニューレには点滴回路を接続しておく事とした。
- (ケース7)
- 具体的内容
医師はニフレック(下剤)による前処置をすると注腸透視が出来ないことを知らなかった。このため、前日に放射線部の技士から「ニフレックでは注腸が出来ません」と言う忠告を看護師が受け、主治医に報告する。しかし、同じ下剤だからいいだろうと判断し変更をしなかったために、注腸透視が出来ず患者に苦痛を与えた。
発生要因
医師の知識の不足。技士からの注意を信じず自分自身が正しいと判断した。マニュアルの浸透ができていない。
実施した改善策
- 採用時の教育。オーダー画面上にニフレック禁止の表示。
- (ケース8)
- 具体的内容
点滴を違う患者に施行
発生要因
患者確認ミス
実施した改善策
- 1)チームで準備
2)患者のルームナンバーと患者名をフルネームでボトルに記入
3)ベッドネームとボトルの確認
4)患者に声かけ確認して点滴施行
5)施行後再度確認
この手順を徹底した
- (ケース9)
- 具体的内容
平成14年5月28日、AMI,心不全のため救命センタ−に入院していた64歳、女性A氏がスワン・ガンツカテ−テル(以下SGと略す)を自己抜去した事例。主治医は入院と同時にSWを挿入し昇圧剤・強心剤や不整脈の治療を実施した。その後経過が順調であった。5月30日、23時の巡視時、A氏は開眼しており、落ち着かない様子で酸素カニュ−ラを外し起き上がろうとする動作がみられた。看護師BはA氏に抑制の必要性を説明し、上肢を軽く抑制し、頻回に話かけ、観察した。そして、不穏症状が激しくならないうちに主治医に連絡し、不穏時の指示を受けた。A氏はすぐ入眠する気配があったため看護師Bは、病室を退室しょうとすると、急にSGを引っ張り、興奮状態となり暴力的になった。ただちに他の準夜看護師C・Dに応援を依頼し、主治医・当直医に連絡し、来棟した。23時12分、モニタ−上VTとなり、当直医は、胸部叩打、心マッサ−ジを施行した。A氏は顔色不良で呼吸が荒く興奮状態であった。23時14分、血圧70/45mmHg,脈拍80/分にもどった。23時15分、主治医は、メキシチ−ル62.5mgとレペタン0.1mgを静脈内注射し、その後A氏は、入眠した。主治医は、家族にSWが抜けた理由とすぐ対応したので大事に至らなかったことを説明した。その後中心静脈カテ−テルを挿入した。看護師Bは、再度抑制の必要性を説明し、下肢の抑制も施行した。
発生要因
SHELモデルで分析
S:SGを抜去防止という目的に応じた適切な抑制がされていない。重症患者の申し送り事項の確認不足
H:個室のため、患者の状態が把握しにくい。カテ−テルの固定の不備
E:夜勤帯は勤務者が少ない。上席看護師は受け持ち患者の処置中のため、看護師Bは、上席看護師に不穏行動防止についてすぐに指導を受けることができなかった。
L:1.A氏が不穏行動になった原因は、
(1)AMIで入院して2日目であった。個室に収容されているが、救命センタ−という特殊な環境の中で、家族の面会が制限されている。(常時付き添う体制がない)この2日間SGが挿入され、濃厚な治療がなされた。
(2)始終モニタ−音が聞こえ,夜間も照明が点いている。物音ですぐ眼を覚まし熟睡が出来ていない。
(3)抑制の必要性を説明し、抑制に協力的であったが、体動制限によるストレスがある。
(4)A氏は初回入院であり、日ごろのストレス対処法についての情報収集に欠けた。
2.医師・看護師・家族間のコミュニケ−ション不足
実施した改善策
- S:抑制基準の活用。SG患者の看護について再確認する。カテ−テル自己抜去防止チェックシ−トを作成し活用する。
H:不穏行動がある時は、患者の側を離れない。患者に応じた固定の工夫。
E:重症患者は、上席看護師が観察を蜜にし指導する。緊急時にすぐ報告・連絡・相談ができる体制を検討する。
L:1.不穏行動防止対策
(1)病状、安静の必要性と今後の目安について説明する。
(2)落ち着いた環境の提供。
(3)苦痛の軽減に努める。
(4)夜間、十分な睡眠を確保する。
(5)精神的安定への配慮。
(6)患者を拘束しない。
(7)A氏のストレス対処法について本人・家族から情報収集する。
2.受け持ち看護師だけに任せきりにしない。
3.自己抜去防止チェックシ−トの活用状況を確認する。
4.医師・看護師間で患者カンファレンスを実施する。
- (ケース10)
- 具体的内容
輸液ポンプの電源コンセントを(ベッド周囲の整理のため)抜き、差し直したところ、4台のうち3台が「流量設定」が0となり、昇圧剤など注入が停止したままとなって、患者の血圧低下を招いた。
発生要因
下記の院内輸液ポンプ全点検で、50台ほどのうちこの3台のみの(偶然?)のバッテリーが劣化していたとのこと(業者点検)。電源コードの差し直しでリセットとなった。これらのポンプは使用より5〜7年目であった。
実施した改善策
- 全輸液ポンプの点検実施。3台のポンプの更新と更新予定であったポンプ(14台)の選別やり直し実施。今後のメンテナンス方法については検討中(当院ME部門?業者委託?)。
- (ケース11)
- 具体的内容
1) 注入者の薬を注射器で注入しているが、本数が増えてきたために内筒だけに名字を記したものを使っていた所、「森」と「大森」を見間違い、誤注入しそうになった。
2) 硼酸水で硼酸綿を作るつもりが、70%エタノールを注いでいた。他のスタッフがシャーレを開けて臭いで気付いて未然に事故は防げた。
発生要因
1) コップにはフルネームでテープを貼ってあるが、注射器は内筒の狭いところに貼っていたため、確認がしにくい状態であった。
2) うっかりミス、確認不足が主な要因であるが、保管場所の整理不足も一因である。
実施した改善策
- 1) 外筒にもテープでフルネームを貼ること。内筒には直接かかずに、テープに名前を書いたものを貼り付ける。
2) 各ベッドサイドの個人持ちシャーレを回収。その日の必要分を日勤者が各チームごとに作る。硼酸水の保管場所変更、薬品類の在庫定数の見直し、薬品保管棚の整理整頓。
- (ケース12)
- 具体的内容
尿検査の検査報告書に別人の結果を記載して提出してしまった。
発生要因
検査中に異常があった場合に、通常の報告書とは別に緊急報告書を作成し、提出することにしているが、まとめて検査を実施してから、まとめて転記をしていたため名前を書き間違えてしまった。検体の順番が入れ替わっていたため。
実施した改善策
- 緊急報告書をその都度作成する。転記後の氏名の再チェックを行う。
- (ケース13)
- 具体的内容
透析中に使用している抗凝固剤の持続注入を、透析終了30分前に中止するようにしていた。この処置の忘れが多く時間がずれたりしていた(透析終了後の止血の問題などがある患者に採用していた処置であった)。
発生要因
日々、処置の一覧表を作成しているが1:転記漏れ2:伝達忘れ3:業務が多忙でありうっかり忘れるなどが原因であった。
実施した改善策
- 透析中の抗凝固剤使用量を見直すとともに、透析終了時まで持続注入を継続しても患者に大きな影響が出ないよう再検討した。終了30分前に中断するという業務そのものをなくした。
- (ケース14)
- 具体的内容
1)誤投薬 3件 処方入力ミスとチェックミス 3件とも患者が気づき誤服用せず
2)ひと違い診察 1件 類似姓名のカルテ出し間違い 診察中に気づき誤診療せず
発生要因
1)クラーク制のための連携ミス
2)多忙時 思い込みによる事務的処理ミス
実施した改善策
- 1)指示の反復確認の実施
2)複数確認の検討
- (ケース15)
- 具体的内容
検査検体と依頼番号の間違い
発生要因
他の用事の突発で不注意となる
実施した改善策
- 検査検体と依頼番号との照合徹底
- (ケース16)
- 具体的内容
同姓同名の患者が、同日同時刻に受診。患者を診察室に呼び入れ、カルテを開いて話を始めた所、どうも話のつじつまが合わない。「ひょっとして」と思い、番地を尋ねたところ、別人であることが判明。
発生要因
午前中の、混雑する時間帯と重なり、同姓同名の患者を取り違えそうになった。
実施した改善策
- カルテの表紙に同姓同名の判を押すようにしているが、混雑時と重なり取り違えそうになった。以後、同姓同名の判があった場合は、番地や生年月日を尋ねて確認するようにしている。
- (ケース17)
- 具体的内容
インスリンの単位、製剤の指示受け申し送り間違い
発生要因
単位の変更を口頭で受けて、指示受け間違いを起こした。R製剤から30R製剤への変更の申し送りが出来ていなかった。
実施した改善策
- 口頭指示のみで実施しないよう、カルテにオーダーを入れてもらってから実施することを徹底。
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