Q: 在宅医療の患者が24時間以内に診療していない場合、死亡診断書は書けないでしょうか。
(更新日:2005-9-15)
A: 書けます。
確認になりますが、医師法20条には、「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。」と決められています。最終診察から24時間を経過した場合にも死亡診断書は書けますが、この法的原則のとおり(死後の)診察をする必要があります。
なお、24時間以内に診療していないからといって、その患者が「診療継続中でなかった患者(死亡診断書は書けず、死体検案書を書くことになります)」になるわけではありません。医師が自らの管理下にあると考えていれば「診療継続中の患者」となりますから、死亡診断書を書くことになります。
確認になりますが、医師法20条には、「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。」と決められています。最終診察から24時間を経過した場合にも死亡診断書は書けますが、この法的原則のとおり(死後の)診察をする必要があります。
なお、24時間以内に診療していないからといって、その患者が「診療継続中でなかった患者(死亡診断書は書けず、死体検案書を書くことになります)」になるわけではありません。医師が自らの管理下にあると考えていれば「診療継続中の患者」となりますから、死亡診断書を書くことになります。
Q: 異状死についてはとても判断の難しいところではないかと思います。当院の医師は、救急等で24時間以内に診察していない場合は当院かかりつけであってもいったん異状死として届け出ることになっていますが、逆に合併症か過誤か微妙なところであっても入院中の患者の死に関しては(死だけでなく、障害を残した場合であっても)届け出た事例はありません。リスクマネジャーとしては、届け出たほうがよいという風土を作っていくべきなのでしょうか。
(更新日:2005-9-15)
A: 異状というのは、あくまでも医師法21条によるところの異状です。そうすると登場人物は医師しかでてこない訳ですので、医師が異状を認めるかどうかだけで判断して結構だと思います。ですから例えばリスクマネジャーがこれは疑わしいことがあるというのであれば、その段階で医師が判断すればそこで異状を認識したということになりますので、そこであらためて届け出るかを判断していただくというふうに話しを引き戻せばいいということです。
Q: 死因がはっきりしない場合に解剖したほうがいいと勧めていますが、家族が同意しないケースが増えています。異状死かどうか判断しかねる場合は死亡診断書、死体検案書のどちらを書くのでしょうか。
(更新日:2005-9-15)
A: 異状死かどうか判断しかねる場合というのが、まさに問題となるところです。しかしこれを判断するのも医師の職責ですから、これはどちらかに判断しなければなりません。現実問題として、死因はわからないけれど病歴や状況からみて明らかに病死であるという場合、例えば高齢の方ですと「虚血性心疾患(推定)」という形で死亡診断書を発行するということが多いと思いますし、それで問題ないでしょう(ただし、犯罪の関与が疑われるならば、剖検の有無にかかわらず警察へ届けなくてはなりません)。
Q: 肺炎で痰の吸引をしている患者が心肺停止で発見された場合、警察への届出はするのでしょうか。
(更新日:2005-9-15)
A: 例えば肺ガン末期や肺炎の患者さんなどには非常によくあるケースです。肺炎で痰がつまって死亡した場合、トータルでみて肺炎で亡くなったという医師の判断であれば、届出は必要ありません。
Q: 栃木刑務所の事件(2005年1月10日、服役中の受刑者が入院先の病院で死亡)に関連してですが、警察の留置所や刑務所には、受刑者を診断、治療する病院がなぜないのですか。個人病院で当直をしていた際に殺人事件の犯人が留置所で脳出血をおこしたようなので診てほしいといって連れてきました。犯人であり、個人病院では入院の設備がないので入院させられないと言ったところ、警察と決まった契約をしている専門病院がないので個室で警察官が警備すると言われました。このような場合は、せめて公的病院に搬送して治療・入院させるべきではないでしょうか。
(更新日:2005-9-15)
A: 警察内のことに対しては警察医が対応し、また刑務所には医療設備がありますが、常に医師がいるわけではありません。また、犯罪者の人権に配慮して一般の医療と差をなくすべきだという方向にありますので、留置場や刑務所に居る人が一般病院を受診してそこで治療をするというケースは増えていくと思います。
Q: 患者が医療者に対して暴力的な行動をとった場合に、診療を拒否することはできるのでしょうか。また、防衛策として診療申込書や入院申込書の注意書きとして上記のようなことがおこった場合は、診療をお断りすることがある等のことをあらかじめ患者にお知らせしておくほうがいいのでしょうか。
(更新日:2005-1-20)
A: 医師法第19条には、医師は正当な理由がないかぎり診療を拒んではいけないという規程があります。これを応召義務と言います。これとの関係がどうかということですが、結論としてはおそらく拒否できるだろうということです。しかし、個別事情によるという条件がつきます。個別事情として大事なのは、患者の生命が危険な状態でないということです。
応召義務を定める国は少ないのですが、医師は患者を選べるとはっきり決めてある国でも、「但し、生命の危険がある場合は除く」と但し書きがつきます。やはり判断の基準は生命の危険がないこと、逆にいえば非常に元気な患者さんなら基本的に拒否できるだろうということです。“だろう”というところが少しくせ者ですが、その根拠をどこに求めるかというと、やはり考えやすいのは医師法第19条の正当な理由にあたるだろうということです。倫理指針にもあるとおり、「『正当な事由』があれば拒むことができる」のです。そして、「これには専門外診療、時間外診療、過去の診療報酬不払いなどが考えられるが、その状況はそれぞれ異なるので、医師は良識に基づき適宜判断しなければならない」という言い回しになっています。この「など」の中に患者の暴力も入るでしょう。
民法、刑法から他の法的構成をする考え方もあります。暴行傷害に対しては警察の介入を求めるのがいい場合があるでしょう。ただこういうことをいちいち法律で処理するのは本質的にどうかとも思います。基本的には倫理的な問題であると思います。
応召義務については先ほどの倫理指針では13ページの【解説】の最後に「医師法の見直しも検討すべきかもしれない」という結論になっています。これには積極的な意味もありますし、もはや現場がもたなくなっているという現実にも基づいています。
応召義務が是か非かということは非常に大きい問題で、応召義務というのはある意味でパターナリズムと深く結びついているわけです。ただ時代の流れとしては、このパターナリズムを排して契約関係にもっていこうとしていますので、そうするとこの応召義務というもの自体が今の時代にそぐわなくなってきているという議論があるわけです。
ご質問後半の、申込書の注意書きを書いておくかということですが、書いてもいいですが、書かなくてもいいのではないかとも思います。書いても書かなくても効力は同じだと思います。
応召義務を定める国は少ないのですが、医師は患者を選べるとはっきり決めてある国でも、「但し、生命の危険がある場合は除く」と但し書きがつきます。やはり判断の基準は生命の危険がないこと、逆にいえば非常に元気な患者さんなら基本的に拒否できるだろうということです。“だろう”というところが少しくせ者ですが、その根拠をどこに求めるかというと、やはり考えやすいのは医師法第19条の正当な理由にあたるだろうということです。倫理指針にもあるとおり、「『正当な事由』があれば拒むことができる」のです。そして、「これには専門外診療、時間外診療、過去の診療報酬不払いなどが考えられるが、その状況はそれぞれ異なるので、医師は良識に基づき適宜判断しなければならない」という言い回しになっています。この「など」の中に患者の暴力も入るでしょう。
民法、刑法から他の法的構成をする考え方もあります。暴行傷害に対しては警察の介入を求めるのがいい場合があるでしょう。ただこういうことをいちいち法律で処理するのは本質的にどうかとも思います。基本的には倫理的な問題であると思います。
応召義務については先ほどの倫理指針では13ページの【解説】の最後に「医師法の見直しも検討すべきかもしれない」という結論になっています。これには積極的な意味もありますし、もはや現場がもたなくなっているという現実にも基づいています。
応召義務が是か非かということは非常に大きい問題で、応召義務というのはある意味でパターナリズムと深く結びついているわけです。ただ時代の流れとしては、このパターナリズムを排して契約関係にもっていこうとしていますので、そうするとこの応召義務というもの自体が今の時代にそぐわなくなってきているという議論があるわけです。
ご質問後半の、申込書の注意書きを書いておくかということですが、書いてもいいですが、書かなくてもいいのではないかとも思います。書いても書かなくても効力は同じだと思います。
Q: 患者がターミナルの状況であって、患者の意志が、「家で死にたい」というものであるとします。患者のかかっている病院には往診のシステムがありません。患者の意志を尊重すれば家族で看取ってあげたいのですが、救急車を呼んで病院に行くべきだとも感じました。もし家族の見守るなか、家で死ぬことができた場合、警察へ届けるように指導してもよいのでしょうか。
(更新日:2005-1-20)
A: 患者さんがターミナルの状況であって在宅で亡くなりたいということは一般的に非常に多いケースです。
誰かが亡くなった場合の死亡確認は、必ず医師がやらなくてはいけないということになっています。ですから病院に連れて行くにしろ、医師に来てもらうにしろ、医師が必ず診て判断するわけです。警察に届け出るかどうかということはその後の問題です。基本的には医師がどういう形でもいいから死亡確認をして、警察に届け出るかどうかは、その医師が改めて判断するというのが大原則です。ですから最初の段階で軽率に「亡くなったら警察に届けて下さい」というのは、早過ぎると思います。
(なお、誰も医師が診てくれないというときに、医師を呼ぶ最後の手段として警察に連絡することについては、望ましいとはいえませんが、状況により致し方ないことはあるでしょう。)
誰かが亡くなった場合の死亡確認は、必ず医師がやらなくてはいけないということになっています。ですから病院に連れて行くにしろ、医師に来てもらうにしろ、医師が必ず診て判断するわけです。警察に届け出るかどうかということはその後の問題です。基本的には医師がどういう形でもいいから死亡確認をして、警察に届け出るかどうかは、その医師が改めて判断するというのが大原則です。ですから最初の段階で軽率に「亡くなったら警察に届けて下さい」というのは、早過ぎると思います。
(なお、誰も医師が診てくれないというときに、医師を呼ぶ最後の手段として警察に連絡することについては、望ましいとはいえませんが、状況により致し方ないことはあるでしょう。)
Q: 第三者(相手不明)による事件性が疑われる患者が入院後、数日して死亡。
1)警察は法医解剖を主張、一方家族はそれを拒否した。この場合、病院としてどちらの意向を優先すべきでしょうか?
2)また、あわせて当該患者のカルテの貸し出しを警察は要求、患者家族はそれを拒否しています。どちらに順守するようになりますか?
1)警察は法医解剖を主張、一方家族はそれを拒否した。この場合、病院としてどちらの意向を優先すべきでしょうか?
2)また、あわせて当該患者のカルテの貸し出しを警察は要求、患者家族はそれを拒否しています。どちらに順守するようになりますか?
(更新日:2005-1-20)
A: まず、法医解剖が司法解剖の意味であるとしてお答えします。
1)司法解剖を施行するかどうかの決定は検察官の権限であって、医師が判断する事項ではありません(「危機管理実践論」テキスト44ページ、図表2-11、「剖検要否の判断」参照)。司法解剖とした場合には強制力がありますので、遺族の反対があっても解剖を拒否することはできません。
2)これはケースバイケースで、一般に病院は警察に対しカルテの貸し出しに応じる必要はありません。しかし事件性が疑われる場合、令状が裁判官より発行されれば、カルテが差押えの対象となることが考えられます。令状が発行されていなくとも、ご質問のケースは「事件性の疑われる」場合とのことですので、遺族の反対があっても、任意でカルテを警察に貸し出すのがよいでしょう。(このとき任意でカルテを提出しても、その後は警察は強制的に占有することができます。これを領置といい、押収の一種です。この場合、いったんカルテを提出した後は病院側から「カルテを返してくれ」とは言えなくなり、警察が返してくれるのを待つことになります。このあたりのことは事前に警察から扱いについて説明を聞き、確認しておくことが大事でしょう。)カルテの扱いについては現在もいくつかの未解決の議論があり、個別具体的に対応しなければならない場面が多くあります。「医師の職業倫理指針」の第1章2.(6)、(7)なども参考になさってください。
なお、法医解剖が行政解剖の意味である場合には、その地域のシステムの常識に沿って判断する必要があります。ただこの場合も、事件性が疑われるケースに対しては司法解剖に準じた対応が良いでしょう。
1)司法解剖を施行するかどうかの決定は検察官の権限であって、医師が判断する事項ではありません(「危機管理実践論」テキスト44ページ、図表2-11、「剖検要否の判断」参照)。司法解剖とした場合には強制力がありますので、遺族の反対があっても解剖を拒否することはできません。
2)これはケースバイケースで、一般に病院は警察に対しカルテの貸し出しに応じる必要はありません。しかし事件性が疑われる場合、令状が裁判官より発行されれば、カルテが差押えの対象となることが考えられます。令状が発行されていなくとも、ご質問のケースは「事件性の疑われる」場合とのことですので、遺族の反対があっても、任意でカルテを警察に貸し出すのがよいでしょう。(このとき任意でカルテを提出しても、その後は警察は強制的に占有することができます。これを領置といい、押収の一種です。この場合、いったんカルテを提出した後は病院側から「カルテを返してくれ」とは言えなくなり、警察が返してくれるのを待つことになります。このあたりのことは事前に警察から扱いについて説明を聞き、確認しておくことが大事でしょう。)カルテの扱いについては現在もいくつかの未解決の議論があり、個別具体的に対応しなければならない場面が多くあります。「医師の職業倫理指針」の第1章2.(6)、(7)なども参考になさってください。
なお、法医解剖が行政解剖の意味である場合には、その地域のシステムの常識に沿って判断する必要があります。ただこの場合も、事件性が疑われるケースに対しては司法解剖に準じた対応が良いでしょう。
Q: 医師法第21条と憲法第38条では、医師法第21条が優先すると認識していますが、「異状」と認めるか認めないかは(それによって届出るかどうか)医師の主観(判断)でよいと解釈できるのでしょうか。
(更新日:2005-1-20)
A: まず、医師法と憲法では医師法が優先するということですが、これは逆です。憲法というのは国家の最高法規ですので、憲法と憲法以外の法律では憲法のほうが優先するきまりになっています。「危機管理実践論」のテキストでこの憲法と医師法のからみを書きましたが、医師法第21条というのは憲法違反ではないということが書かれてあるわけで、医師法のほうが優先するという意味ではもちろんありません。
それから医師の主観で異状と判断してよいかどうかということですが、異状というのが何かというのが判然としない段階ではこれは非常に難しいことです。ご質問の意味が分かりづらいのですが、つまり「主観的には医師がこれは異状でないと思っていたのだけれど、他の人が見て“これは異状でしょう”と言う場合」に問題になる、ということかと置き換えてみたいと思います。
本来は客観的に基準を作っていかなければいけないのですが、現時点ではそういうものはありません。そこで、私はよく「根拠ある主観」という言い方をするのですが、つまりある程度客観的にみて10人のうち7~8人が常識的に異状ではないと考えるであろうという心証を主観的に得ればそれで通ると思います。問題はむしろこの主観自体が揺れてしまうことで、さしたる根拠もなく判断が二転三転すると、外部の人からかえって不審感を持たれがちです。異状でないと判断したのであれば、信念をもってそれで突き進んでいただきたいということです。その方がむしろ実務上も問題が出てこないと思います。
それから医師の主観で異状と判断してよいかどうかということですが、異状というのが何かというのが判然としない段階ではこれは非常に難しいことです。ご質問の意味が分かりづらいのですが、つまり「主観的には医師がこれは異状でないと思っていたのだけれど、他の人が見て“これは異状でしょう”と言う場合」に問題になる、ということかと置き換えてみたいと思います。
本来は客観的に基準を作っていかなければいけないのですが、現時点ではそういうものはありません。そこで、私はよく「根拠ある主観」という言い方をするのですが、つまりある程度客観的にみて10人のうち7~8人が常識的に異状ではないと考えるであろうという心証を主観的に得ればそれで通ると思います。問題はむしろこの主観自体が揺れてしまうことで、さしたる根拠もなく判断が二転三転すると、外部の人からかえって不審感を持たれがちです。異状でないと判断したのであれば、信念をもってそれで突き進んでいただきたいということです。その方がむしろ実務上も問題が出てこないと思います。
Q: 死亡診断書を作成したが訂正する必要がある場合、どうしたらよいでしょうか。
(更新日:2005-9-15)
A: 死亡診断書(死体検案書)は排他的な文書ではありません。つまり、死亡診断書(死体検案書)は、一般の診断書がそうであるように、複数が有効に存在しうるのです。これはセカンドオピニオンを想定していただくとよいのですが、A医師の診断とB医師の診断が異なっていたからと言ってどちらかがどちらかを否定する関係にはありません。死亡診断書の場合には、特に解剖になった場合に起こることですが、死亡診断書(死体検案書)は医学的な診断書であると同時に、埋火葬許可証の発行に必要な書類ですから、剖検で正式な死因が確定する以前であってもまず一通は交付する必要があります。そのために、交付された死体検案書の死因は暫定的に「○○の疑い」といったものになりますが、解剖結果が判明した後に改めて交付される死体検案書の死因がそれと違っていても、前に発行された検案書が無効になるわけではありません(無効になってしまうとすると埋火葬許可証が交付されなかったことにもなってしまいます)。このように、一人の医師が発行した診断の内容が矛盾するように見えることは決して珍しいことではありません。一人の医師が違う内容の死亡診断書を書いても、それらはすべて有効なのであって、単に後の日付の方が信用されるというだけです。ということで、一旦発行された死亡診断書の内容を訂正する場合には、訂正するというよりも、新しく死亡診断書を作成すればよい訳です(もちろん死亡診断書が発行前であれば、一般の文書と同じく二重線で訂正できます)。