Q: 担当医について(1)
休日や勤務時間外にたまたま病院に残っていて起こった医療事故に、担当医は責任がありますか。
休日や勤務時間外にたまたま病院に残っていて起こった医療事故に、担当医は責任がありますか。
(更新日:2002-4-17)
A:担当医が行った医療行為が事故につながった場合は、当然責任はあります。休日であれ、時間外であれ、医師としての職責に影響を及ぼす事由にはなりません。
Q: 遅延損害金について(1)
遅延損害金は裁判和解の場合は払わなくてよいのですか?
遅延損害金は裁判和解の場合は払わなくてよいのですか?
(更新日:2002-4-17)
A:裁判和解の場合には、和解金額そのものが支払金額ですから別途遅延損害金が加算されることはありません。もちろん裁判和解の和解金額の中に遅延損害金も含められることはありますのでお含みおき下さい。
Q: 遅延損害金について(2)
遅延損害金は年5分と決まっているのでしょうか。それとも、何かの指数により変化するものでしょうか。
遅延損害金は年5分と決まっているのでしょうか。それとも、何かの指数により変化するものでしょうか。
(更新日:2002-4-17)
A:遅延損害金の年5分は、民法404条の「利息を生ずべき債権に付き別段の意思表示なきときは其の利率は年5分とす」という規定に基づいて原告側が請求し、裁判所がこれを認容していることによるものです。
Q: 勤務医個人に対する請求について
損保会社の医療機関医賠責保険に加入している病院等で、勤務医が個人としてはどこの医師賠償責任保険にも加入していない場合、損害賠償請求が被保険者である病院の管理者や開設者ではなく、勤務医個人に対してなされた際、「医療機関医師賠償責任保険」は適用されますか?
損保会社の医療機関医賠責保険に加入している病院等で、勤務医が個人としてはどこの医師賠償責任保険にも加入していない場合、損害賠償請求が被保険者である病院の管理者や開設者ではなく、勤務医個人に対してなされた際、「医療機関医師賠償責任保険」は適用されますか?
(更新日:2002-4-17)
A:一般的には、開設者や管理者と連帯被告にされずに、勤務医個人のみが単独で被告とされた場合には、「医療機関医師賠償責任保険」の被保険者ではありませんので適用されません。但し、特約として損保会社と「医療機関医師賠償責任保険」契約を締結される際に「被保険者」の中に『勤務医』と明示されていれば適用になります。
Q: 医師以外の保険加入について(1)
最近の医療事故において、医師以外の医療従事者がトラブルを起こすことがよく見られるようになりましたが、医師以外も保険に入っておくべきでしょうか。
最近の医療事故において、医師以外の医療従事者がトラブルを起こすことがよく見られるようになりましたが、医師以外も保険に入っておくべきでしょうか。
(更新日:2002-4-17)
A:最近は、医療事故を起こした医療従事者に対しても、開設者と連帯被告に据えて賠償責任を追及してくる事例が増加しつつあります。
ある患者側弁護士は、『私は医療過誤を起こした医療担当者をも被告とすべきではないかと考えている。それは、今まで何件かの訴訟を通じて感じたことだが、自ら大きな誤りを犯して重大な結果をもたらしながら、自分が被告とされない気安さから気楽に無責任な弁明をする人が少なくないからで、失敗した医療担当者と病院の双方とが、事故の発生を自らの問題として、考え、悩み、改善し、責任を果たすことによって、はじめて医療事故の再発を防止できるのではないかと考えているからである(医療事故センターニュース20号4頁)』と言っておられます。当事者責任追求の風潮は強まることが予測される最近の傾向よりして、臨床に携わる医療従事者はコ・メディカルといえども賠償責任保険に加入されるのがベターと思われます。
ある患者側弁護士は、『私は医療過誤を起こした医療担当者をも被告とすべきではないかと考えている。それは、今まで何件かの訴訟を通じて感じたことだが、自ら大きな誤りを犯して重大な結果をもたらしながら、自分が被告とされない気安さから気楽に無責任な弁明をする人が少なくないからで、失敗した医療担当者と病院の双方とが、事故の発生を自らの問題として、考え、悩み、改善し、責任を果たすことによって、はじめて医療事故の再発を防止できるのではないかと考えているからである(医療事故センターニュース20号4頁)』と言っておられます。当事者責任追求の風潮は強まることが予測される最近の傾向よりして、臨床に携わる医療従事者はコ・メディカルといえども賠償責任保険に加入されるのがベターと思われます。
Q: 医師以外の保険加入について(2)
病院の場合、コ・メディカルにどの程度積極的に保険加入を勧めるべきでしょうか。その必要性の度合いと保険料負担は病院がするのでしょうか、それとも個人でするのでしょうか。
病院の場合、コ・メディカルにどの程度積極的に保険加入を勧めるべきでしょうか。その必要性の度合いと保険料負担は病院がするのでしょうか、それとも個人でするのでしょうか。
(更新日:2002-4-17)
A:加入の必要性については先の回答を参考にして下さい。
保険料の負担については、コ・メディカル個々の賠償責任をカバーするための保険、即ち自分自身のリスク・ファイナンスですから、個人で負担するのが原則かと思います。
保険料の負担については、コ・メディカル個々の賠償責任をカバーするための保険、即ち自分自身のリスク・ファイナンスですから、個人で負担するのが原則かと思います。
Q: 訴訟費用について
争訴費用は、賠償額が仮に填補上限額の1億円であっても保険金とわけて支払ってくれるのですか?
争訴費用は、賠償額が仮に填補上限額の1億円であっても保険金とわけて支払ってくれるのですか?
(更新日:2002-4-17)
A:争訟費用は、賠償金とは別枠で支払われることになっていますので、填補上限額の賠償金が保険金として填補されても、訴訟費用は別途支払われます。ただし、填補上限額を超える場合は、填補限度額の損害額に対する割合によって支払われることになっておりますので、ご留意下さい。
Q: 一人医療法人の医賠責と代位求償件について
一人医療法人の場合、開設者に生じた賠償金の支払い(従業員に責任があっても賠償金の原告への法的支払い義務は開設者にある)は日医医師賠償責任保険で行えますか。
日医医師賠償責任保険で支払えた場合、代位求償権は放棄するのですか?
一人医療法人の場合、開設者に生じた賠償金の支払い(従業員に責任があっても賠償金の原告への法的支払い義務は開設者にある)は日医医師賠償責任保険で行えますか。
日医医師賠償責任保険で支払えた場合、代位求償権は放棄するのですか?
(更新日:2002-4-17)
A:日医医師賠償責任保険は、日本医師会のA会員のみを被保険者とするもので、法人は被保険者にはならないというのが原則です。従って、一人医療法人も法人ですから本来被保険者とはなりえないのですが、実態がA1会員が単独で診療に従事していることよりして個人開業と変わりないことより、「A1会員単独で診療に従事しているいわゆる『一人医療法人』が法人あてに損害賠償を請求された場合は、運用上の扱いとして、個人診療所に準じ付託を受理している」とのことですから、受理後はシステムに則って処理されることになります(代位請求権についても同じ)。
Q: 期待権について(1)
たとえば同じような検診業務を、民間の施設が行っている場合と、保健所や、**市民検診という(公共性があるように見える)場合、同じレベルの検診(写真のレベルも同じ)で見落としがあった場合、公共性のある方が、責任が重く、期待権の侵害と考えられると思うのですがどうでしょうか。 また、期待権という考えは今後広がっていきますか?
たとえば同じような検診業務を、民間の施設が行っている場合と、保健所や、**市民検診という(公共性があるように見える)場合、同じレベルの検診(写真のレベルも同じ)で見落としがあった場合、公共性のある方が、責任が重く、期待権の侵害と考えられると思うのですがどうでしょうか。 また、期待権という考えは今後広がっていきますか?
(更新日:2002-4-17)
A:確かに、保健所や自治体の行う**市民検診に対しては、民間の施設で行う検診より良質で精度の高い結果が得られるのではないかという期待値が高い分だけ、見落としがあると、「期待に反した」として期待権の侵害と考えられやすいのはおっしゃる通りで、裁判官の判断要素に加味される可能性はあろうかと思われます。
また、期待権侵害論の今後の広がりについては、無過失賠償責任制度が創設されない限り、拡大されていくものと推測されます。
また、期待権侵害論の今後の広がりについては、無過失賠償責任制度が創設されない限り、拡大されていくものと推測されます。
Q: 期待権について(2)
期待権の広がりが、萎縮医療に通じるようで、怖いような気がしますが、その点はいかがでしょうか。
期待権の広がりが、萎縮医療に通じるようで、怖いような気がしますが、その点はいかがでしょうか。
(更新日:2002-4-17)
A:ご指摘のように萎縮医療につながるおそれがないとは言えませんが、個人的には、現在の判例傾向を見る限りでは、訴額に対して比較的低い慰謝料しか認めておりませんので、それほど大きな影響を及ぼすことはないと思っています。
Q: 5年以上経過後の訴訟(1)
5年以上も前の事故による訴訟は、医療に対しても起こりうるものですか。
5年以上も前の事故による訴訟は、医療に対しても起こりうるものですか。
(更新日:2002-4-17)
A:十分おこり得ます。
例えば、体内異物遺残で多いガーゼを遺残などでは、先日も、20年前に子宮がんで子宮全摘手術を受けた際にガーゼ遺残があり、裁判所の調停で710万円支払った事例が報告されています。
また、10年前に虫垂摘除術を施行してもらったにもかかわらず、その後も虫垂炎の症状が続き、その都度対処療法をしておったが、別の病院で腹膜炎と診断され開腹手術を受けたところ、虫垂の一部遺残が判明し、最初の病院に照会したところ、虫垂の一部を遺残したまま閉腹したのに患者に説明せず放置していたことが判明し、クレームがついた事例もあります。
例えば、体内異物遺残で多いガーゼを遺残などでは、先日も、20年前に子宮がんで子宮全摘手術を受けた際にガーゼ遺残があり、裁判所の調停で710万円支払った事例が報告されています。
また、10年前に虫垂摘除術を施行してもらったにもかかわらず、その後も虫垂炎の症状が続き、その都度対処療法をしておったが、別の病院で腹膜炎と診断され開腹手術を受けたところ、虫垂の一部遺残が判明し、最初の病院に照会したところ、虫垂の一部を遺残したまま閉腹したのに患者に説明せず放置していたことが判明し、クレームがついた事例もあります。
Q: 5年以上経過後の訴訟(2)
カルテなどの証拠書類を、医師を辞めた後数年は保存しておいたとしても、長期にわたる保存は困難です。その上、医師会や保険会社の力を借りることができなくなった場合は、遺族や引退した医師がそれを受けてたつことなどはできないと思う。このような場合、どのように対処すればよいのであろうか。
カルテなどの証拠書類を、医師を辞めた後数年は保存しておいたとしても、長期にわたる保存は困難です。その上、医師会や保険会社の力を借りることができなくなった場合は、遺族や引退した医師がそれを受けてたつことなどはできないと思う。このような場合、どのように対処すればよいのであろうか。
(更新日:2002-4-17)
A:医業廃業した後に対処できるよう「医師廃業保険」はありますので、この保険の活用を考えることはできます。
日本医師会の医師賠償責任保険では、被保険者資格喪失の場合の特例で、保険期間中に賠償請求がなくても、その期間内に医療事故の発生を都道府県医師会経由で保険会社に通知をしておけば、保険期間終了後5年以内に賠償を受けた場合にも適用されます。
また、死亡時に日本医師会のA会員であった医師の遺族に向けて、会員当時の医療行為に起因して、損害賠償の請求が当該保険期間終了後5年以内になされたケースに対しても日医医師賠償責任保険が適用されます。
問題は、医師が死亡した後5年を超えた時点で、当該医師が関与した医療事故で賠償請求が出された場合にどのように対処するかということですが、これという対応方法は現在のところ見当たりません。
日本医師会の医師賠償責任保険では、被保険者資格喪失の場合の特例で、保険期間中に賠償請求がなくても、その期間内に医療事故の発生を都道府県医師会経由で保険会社に通知をしておけば、保険期間終了後5年以内に賠償を受けた場合にも適用されます。
また、死亡時に日本医師会のA会員であった医師の遺族に向けて、会員当時の医療行為に起因して、損害賠償の請求が当該保険期間終了後5年以内になされたケースに対しても日医医師賠償責任保険が適用されます。
問題は、医師が死亡した後5年を超えた時点で、当該医師が関与した医療事故で賠償請求が出された場合にどのように対処するかということですが、これという対応方法は現在のところ見当たりません。
Q: 担当医について(2)
休日にも担当医は病棟の患者を診る義務がありますか。
休日にも担当医は病棟の患者を診る義務がありますか。
(更新日:2002-4-17)
A:休日の診療応需義務については、当該医療機関の診療応需体制の問題で、当然当直医が配置されていることと思います。ただ、休日に担当患者の容体等が急変したりして、緊急呼び出しを受ければ、これは今までの経過をよく知っている担当医の対応が最善ですから、診る義務があると思われます。
Q: 担当医について(3)
担当医の勤務時間外に起こった医療事故は、当直医等の責任なのでしょうか。
担当医の勤務時間外に起こった医療事故は、当直医等の責任なのでしょうか。
(更新日:2002-4-17)
A:実際に医療行為を行った当直医の医療事故であれば、当然その当直医の責任が問われます。ただ、担当医が当直医に対しての引継ぎ等に手落ちがあれば担当医の責任も問われることになる可能性は否定できないと思います。
Q: 時効について
医療事故に時効は成立するのでしょうか。
医療事故に時効は成立するのでしょうか。
(更新日:2002-4-17)
A:民事賠償でいいますと、債務不履行責任の時効は、10年です(民法167条)。
不法行為責任では、患者側が損害の発生したことと、誰が加害者であるかを知った時から3年、不法行為が行われた時から20年です。
何れも時効の援用を主張する必要がありますが、活用は難しいといわれています。
【第百六十七条】 債権ハ十年間之ヲ行ハサルニ因リテ消滅ス
○2 債権又ハ所有権ニ非サル財産権ハ二十年間之ヲ行ハサルニ因リテ消滅ス
不法行為責任では、患者側が損害の発生したことと、誰が加害者であるかを知った時から3年、不法行為が行われた時から20年です。
何れも時効の援用を主張する必要がありますが、活用は難しいといわれています。
【第百六十七条】 債権ハ十年間之ヲ行ハサルニ因リテ消滅ス
○2 債権又ハ所有権ニ非サル財産権ハ二十年間之ヲ行ハサルニ因リテ消滅ス
Q: 医師賠償責任保険の免責事項について
(更新日:2002-5-13)
A:医師賠償責任保険の免責事項は、例示しますと次の通りです。(1)海外での医療行為による事故、(2)被保険者が故意に起こした事故、(3)美容を唯一の目的とする医療行為による事故、(4)医療の結果を保証することによって加重された賠償責任、(5)名誉棄損または秘密漏泄に起因する賠償責任、(6)戦争、天災地変に関連のある事故、(7)他人から借りたり預かっている財物の損傷、紛失または盗難事故、(8)医師・看護婦・薬剤師その他の使用人が就業中に被った身体障害、(9)医師の家族に対する賠償責任、(10)自動車の所有、使用または管理に起因する事故、(11)免許を持たない医師の医療行為に起因して生じた事故等です。なお、当然のことながら、刑事事件の罰金等に対しての適用はありません。
Q: 遅延損害金について(3)
遅延損害金は他の裁判でも生じるものですか?
遅延損害金は他の裁判でも生じるものですか?
(更新日:2002-12-19)
A: 遅延損害金は医療に特有のものではありません。公害等で生じているケースもあります。
Q: 賠償責任審査会について
日医の「賠償責任審査会」によって出された審査結果とその拘束力について教えて下さい。
日医の「賠償責任審査会」によって出された審査結果とその拘束力について教えて下さい。
(更新日:2002-12-19)
A: 賠償責任審査会の判断は、保険者及び日本医師会・「日医医賠責」の被保険者を拘束するものです。原告患者側に対しての拘束力はありません。
Q: カット払いについて
カット払いがよく理解できません。
カット払いがよく理解できません。
(更新日:2002-12-19)
A: 日医医賠責保険は、A会員以外の他の医師に責任がある場合や、法人固有の責任については、その責任負担額部分を控除して保険金が支払われます。これをいわゆる「カット払い」といいます。

Q: 日医医賠責について
日医医賠責は、仮に医師が自己の責任を認めている場合は支払われないのですか?
日医医賠責は、仮に医師が自己の責任を認めている場合は支払われないのですか?
(更新日:2002-12-19)
A: 日本医師会医師賠償責任保険の紛争処理制度を使う場合は、賠償責任審査会の審査結果に従う必要があり、自己の責任があるか否かは慎重に対応する必要があります。特に、日本医師会の指示にもとづかない支払い、または支払い約束をした場合には日本医師会医師賠償責任保険の適用は無くなるとしていますので、十分注意が必要です。
Q: 弁護士の選任について
84床の病院です。医事紛争となり、郡市区医師会に届け裁判となった場合、医師会選任の弁護士に就いていただくことになると思うのですが、当院顧問弁護士にはどの時点で関わって頂くのでしょうか?又どのように関わって頂けばよいのでしょうか?
84床の病院です。医事紛争となり、郡市区医師会に届け裁判となった場合、医師会選任の弁護士に就いていただくことになると思うのですが、当院顧問弁護士にはどの時点で関わって頂くのでしょうか?又どのように関わって頂けばよいのでしょうか?
(更新日:2002-12-19)
A: 日本医師会医師賠償責任保険では、通常では医事紛争に手慣れている各都道府県医師会の顧問弁護士に委嘱をしています。尚、それ以外の弁護士に委嘱を希望される場合には各都道府県医師会にお申し出願います。
◆日本医師会医師賠償責任保険紛争処理規定
(弁護士の選任)
紛争処理につき、弁護士を選任する必要のあるときは、日本医師会、都道府県医師会および保険者が協議してこれを行う。
◆日本医師会医師賠償責任保険紛争処理規定
(弁護士の選任)
紛争処理につき、弁護士を選任する必要のあるときは、日本医師会、都道府県医師会および保険者が協議してこれを行う。
Q: 期待権について(3)
「期待権」という言葉の意味がよくわかりません。多くの事例が「期待権の侵害」に当てはまってしまうような気がするのですが。
「期待権」という言葉の意味がよくわかりません。多くの事例が「期待権の侵害」に当てはまってしまうような気がするのですが。
(更新日:2002-12-19)
A: 医療行為について、医師の過失が認められるけれども、その過失と患者の死亡等との間に因果関係が立証されない場合に、患者救済・実質的公平の見地から、医師の損害賠償責任を認めさせる理論的根拠として登場してきた概念が、「(適正な治療への)期待権の侵害」「延命利益の侵害」「適切な治療機会の喪失」等です。
最近の最高裁判所の判例(最高裁平成12年9月22日第2小法廷判決)は、期待権の侵害という表現は用いませんでしたが、「医師が過失により医療水準にかなった医療を行わなかったことと患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されないけれども、医療水準にかなった医療が行われていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性の存在が証明される場合には、医師は、患者が右可能性を侵害されたことによって被った損害を賠償すべき不法行為責任を負う」との判断を示しました。つまり、「生存していた相当程度の可能性」が法によって保護されるべき利益であることを明らかにしたものです。
この判決の事案は、慰謝料200万円と弁護士費用20万円が原審で認容されたのに対する病院側の上告を棄却したもので、慰謝料としてより高額の請求が認められるべきかどうか、慰謝料以外の損害の賠償が認められるかどうかといった点については判断がなされていません。「生存していた相当程度の可能性」が侵害されたときの損害額をどう評価するかは、今後の裁判例の集積を待つことになります。
最近の最高裁判所の判例(最高裁平成12年9月22日第2小法廷判決)は、期待権の侵害という表現は用いませんでしたが、「医師が過失により医療水準にかなった医療を行わなかったことと患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されないけれども、医療水準にかなった医療が行われていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性の存在が証明される場合には、医師は、患者が右可能性を侵害されたことによって被った損害を賠償すべき不法行為責任を負う」との判断を示しました。つまり、「生存していた相当程度の可能性」が法によって保護されるべき利益であることを明らかにしたものです。
この判決の事案は、慰謝料200万円と弁護士費用20万円が原審で認容されたのに対する病院側の上告を棄却したもので、慰謝料としてより高額の請求が認められるべきかどうか、慰謝料以外の損害の賠償が認められるかどうかといった点については判断がなされていません。「生存していた相当程度の可能性」が侵害されたときの損害額をどう評価するかは、今後の裁判例の集積を待つことになります。
Q: 推認について
「○○の推認」という表現はどういう基準で区別されるのですか?それはどの段階でされるのでしょうか?
「○○の推認」という表現はどういう基準で区別されるのですか?それはどの段階でされるのでしょうか?
(更新日:2002-12-19)
A: 「推認」という用語は、証拠からの事実認定の際に使われる表現です。直接の証拠によってはある事実が認定できないけれども、間接的な証拠の積み重ねで認めることができるときに「推認」という用語を用います。
また、「過失の推定」という表現は、例えば「医師が医薬品を使用するに当たって右文(筆者注:添付文書を指します)に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定されるものというべきである。」(最高裁平成8年1月23日第3小法廷判決)というように用いられますが、この「推定」は事実上の推定ですので、反証が許されます。この裁判例でいえば、添付文書に従わなかったことについて合理的理由があったことを医師側が証明すれば、過失の推定は覆る(破られる)ことになります。
また、「過失の推定」という表現は、例えば「医師が医薬品を使用するに当たって右文(筆者注:添付文書を指します)に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定されるものというべきである。」(最高裁平成8年1月23日第3小法廷判決)というように用いられますが、この「推定」は事実上の推定ですので、反証が許されます。この裁判例でいえば、添付文書に従わなかったことについて合理的理由があったことを医師側が証明すれば、過失の推定は覆る(破られる)ことになります。
Q: 定期金賠償について
病院・医師側の支払能力がなくなった時(例えば病院の倒産、医師の廃業・破産など)には、生涯にわたる患者の保障ができなくなります。定期金賠償はどうなるのでしょうか?
また、保険加入限度を上回った時はどうなるのでしょうか?
病院・医師側の支払能力がなくなった時(例えば病院の倒産、医師の廃業・破産など)には、生涯にわたる患者の保障ができなくなります。定期金賠償はどうなるのでしょうか?
また、保険加入限度を上回った時はどうなるのでしょうか?
(更新日:2002-12-19)
A: 定期金賠償は、損害として発生してはいるが、たとえば被害者が生涯にわたり付き添い介護を要することとなった場合における将来の介護費やおむつ代等のようなものです。これらは、現実の生存年数や介護の必要性が不明な場合には算定できません。その金額を確定できない費目等につき、ごく一部の判決で認められています。
しかし、ご指摘のように、将来の不確定な期間にわたる加害者側の賠償資力の確保など不安定な要素があることから、必ずしも被害者保護に厚いとも言い切れません。現在のところ、実際に判決で定期金賠償が認められているケースでは、被告は国公立病院や大学病院など、将来的な賠償資力の確保には問題のないものがほとんどです。定期金賠償方式は法律学者からは強い支持を受けていますが、ご指摘のような問題があることから、ごく一部を除いて、実務では広く採用されるには至っておりません。
今後は、この賠償資力の確保の問題が解決される必要があると考えられます。
しかし、ご指摘のように、将来の不確定な期間にわたる加害者側の賠償資力の確保など不安定な要素があることから、必ずしも被害者保護に厚いとも言い切れません。現在のところ、実際に判決で定期金賠償が認められているケースでは、被告は国公立病院や大学病院など、将来的な賠償資力の確保には問題のないものがほとんどです。定期金賠償方式は法律学者からは強い支持を受けていますが、ご指摘のような問題があることから、ごく一部を除いて、実務では広く採用されるには至っておりません。
今後は、この賠償資力の確保の問題が解決される必要があると考えられます。
Q: 一般医賠責について(1)
法人の一般医師賠償責任保険に加入しています。職員でない(雇用関係がない)看護学校の実習生及びボランティアの方が医療事故(患者の移動中による事故等)を起こした場合は、医療機関での業務として保険適用と考えていますが、いかがでしょうか。
法人の一般医師賠償責任保険に加入しています。職員でない(雇用関係がない)看護学校の実習生及びボランティアの方が医療事故(患者の移動中による事故等)を起こした場合は、医療機関での業務として保険適用と考えていますが、いかがでしょうか。
(更新日:2002-12-19)
A: 保険適用されます。
◆一般医賠責・医師特別約款
(当会者のてん補責任)
被保険者またはその使用人その他被保険者の業務の補助者が日本国内において医療業務を遂行するにあたり職業上相当な注意を用いなかったことに起因して他人の身体の障害が発生したことにつき、被保険者が法律上の賠償責任を負担することによって被る損害をてん補します。
◆一般医賠責・医師特別約款
(当会者のてん補責任)
被保険者またはその使用人その他被保険者の業務の補助者が日本国内において医療業務を遂行するにあたり職業上相当な注意を用いなかったことに起因して他人の身体の障害が発生したことにつき、被保険者が法律上の賠償責任を負担することによって被る損害をてん補します。
Q: 一般医賠責について(2)
法人の一般医師賠償責任保険に加入しています。不幸にして賠償が確定した場合、病院と勤務医それぞれが支払わなければならないのでしょうか。勤務医が保険に未加入の場合で、病院と勤務医がそれぞれ訴えられた場合はどうなりますか。全て病院が支払う(賠償の支払が可能な方を訴える)と考えていますが。
法人の一般医師賠償責任保険に加入しています。不幸にして賠償が確定した場合、病院と勤務医それぞれが支払わなければならないのでしょうか。勤務医が保険に未加入の場合で、病院と勤務医がそれぞれ訴えられた場合はどうなりますか。全て病院が支払う(賠償の支払が可能な方を訴える)と考えていますが。
(更新日:2002-12-19)
A: 病院と勤務医それぞれが訴えられた場合については、両者間の話し合いによって決められるべきものです。但し、病院と勤務医が共同被告等で訴えられている場合については病院が加入している一般医師賠償責任保険で対応しております。この場合、保険会社の求償権は放棄されています。
◆一般医賠責・医師特別約款
(代位)
当会社は、被保険者の使用人その他被保険者の業務の補助者に対するものに限り、これを行使しません。ただし、これらの者の故意によって事故が発生した場合はこの限りではありません。
◆一般医賠責・医師特別約款
(代位)
当会社は、被保険者の使用人その他被保険者の業務の補助者に対するものに限り、これを行使しません。ただし、これらの者の故意によって事故が発生した場合はこの限りではありません。
Q: 医療費の支払いで、患者との合意と、療養担当規則と、どちらが優先されますか。
(更新日:2003-1-14)
A: 患者さんと医療事故の医療費を、健康保険を使って払う約束をしていたのに、どういうわけか保険者がそのことを知って、これは医師賠償責任保険の中でやってもらえというクレームを申し立ててきたらどうするかということでしょう。
これは明らかに療養担当規則が優先しますので、患者さんとの合意があることを盾にとった主張をするのは、無理かなと思います。
これは明らかに療養担当規則が優先しますので、患者さんとの合意があることを盾にとった主張をするのは、無理かなと思います。
Q: 保険のシステムについて(1)
大数の法則については、大きな母集団があると保険のシステムとしては安定する、ということですか。
大数の法則については、大きな母集団があると保険のシステムとしては安定する、ということですか。
(更新日:2003-1-14)
A: そのとおりです。
Q: 謝罪について
過失を認めない、要するに、責任を認めない場合の謝り方はありますか。
過失を認めない、要するに、責任を認めない場合の謝り方はありますか。
(更新日:2003-1-14)
A: 過失の認識は、明らかに過失を認める場合、明らかに過失を認めない場合、そのどちらかわからないケース、この3つに分けられます。
明らかに過失を認める場合は、謝罪されてしかるべきです。
一方、明らかに過失を認めない場合は、謝罪してはいけないわけです。もしそこで過失を認めるような発言をしたとすると、患者側、被害者側は過失を認めていないにもかかわらず、「謝ったことは過失を認めたことと同じ」という言い方をしてくるのは当たり前です。「過失は認めていないのに過失を認めたようなことを言ってくれてありがとう、感謝します」というケースは、極めてまれです。
お医者さんというのは心の優しい方々がなっていらっしゃる場合が多いので、そういう場合でも、慰めの言葉ひとつかけてやりたいと思われがちなのは、心情としては大変わかる話ではあります。しかし、それがゆえに、変な議論に巻き込まれてしまって、思いもしない災禍となってしまうことがあるということも、ご承知おきいただいたほうがいいのではないかと思います。
事故が発生した直後はだいたい気が動転していますので、過失があったかどうかわからないケースが大半だろうと思います。そういったときの謝罪の仕方も、明らかに過失があったような謝罪の仕方は避けるべきです。
「紛争・訴訟予防論」のQ&Aに、アメリカの「アイムソーリー法」のことが出ています。「アイムソーリー」というのは、日本語にしますと「ごめんね」というぐらいの話ですが、アメリカでは、このようなことを問題にしなければいけないぐらい、深刻な状況になっているという背景があります。
謝罪の仕方は、「ご心配をおかけしていることについては、申し訳ございません」というぐらいのことしか、言えないのではないかと思います。あるいは、「お騒がせしてしまって、そのことについては申し訳ございません」、その程度のことしか言えないのではないかと思います。そこで過失があるような謝り方をしたからといって、事態が静まるわけではありません。むしろ、そうしたことを言ったがために、騒ぎは大きくなるし、事態がこじれてしまうことのご認識をいただいたほうがよいと思います。
明らかに過失を認める場合は、謝罪されてしかるべきです。
一方、明らかに過失を認めない場合は、謝罪してはいけないわけです。もしそこで過失を認めるような発言をしたとすると、患者側、被害者側は過失を認めていないにもかかわらず、「謝ったことは過失を認めたことと同じ」という言い方をしてくるのは当たり前です。「過失は認めていないのに過失を認めたようなことを言ってくれてありがとう、感謝します」というケースは、極めてまれです。
お医者さんというのは心の優しい方々がなっていらっしゃる場合が多いので、そういう場合でも、慰めの言葉ひとつかけてやりたいと思われがちなのは、心情としては大変わかる話ではあります。しかし、それがゆえに、変な議論に巻き込まれてしまって、思いもしない災禍となってしまうことがあるということも、ご承知おきいただいたほうがいいのではないかと思います。
事故が発生した直後はだいたい気が動転していますので、過失があったかどうかわからないケースが大半だろうと思います。そういったときの謝罪の仕方も、明らかに過失があったような謝罪の仕方は避けるべきです。
「紛争・訴訟予防論」のQ&Aに、アメリカの「アイムソーリー法」のことが出ています。「アイムソーリー」というのは、日本語にしますと「ごめんね」というぐらいの話ですが、アメリカでは、このようなことを問題にしなければいけないぐらい、深刻な状況になっているという背景があります。
謝罪の仕方は、「ご心配をおかけしていることについては、申し訳ございません」というぐらいのことしか、言えないのではないかと思います。あるいは、「お騒がせしてしまって、そのことについては申し訳ございません」、その程度のことしか言えないのではないかと思います。そこで過失があるような謝り方をしたからといって、事態が静まるわけではありません。むしろ、そうしたことを言ったがために、騒ぎは大きくなるし、事態がこじれてしまうことのご認識をいただいたほうがよいと思います。
Q: 通知義務について
年末年始の保険会社あるいは都道府県医師会への通知義務はどうすればよいのですか。
年末年始の保険会社あるいは都道府県医師会への通知義務はどうすればよいのですか。
(更新日:2003-1-14)
A: 通知義務というのは、起こったらすぐにということではなくて、世間的に認知される範囲でなるべく速やかにということです。年末年始などは、通知しようにも通知のしようがないということですので、通知しなかったからと言って、保険金の支払いが拒否されたり、遅延されることはないと考えてよいと思います。
Q: 保険のシステムについて(2)
事故率の高い医師が、加入できにくいような仕組みを作ったらどうでしょうか。
事故率の高い医師が、加入できにくいような仕組みを作ったらどうでしょうか。
(更新日:2003-1-14)
A: その医師のリスクに応じた保険制度の設計が検討されるべきであろうと思います。ただ、全体の医療制度と切り離して制度を作るわけにもいきません。全体の医療制度を維持する観点から、事故率の低い人と、事故率の高い人との間の財政調整の仕組みを考えなければいけないと思っています。
Q: モラルハザードについて
モラルハザードに関する費用負担を、保険料率にどの程度織り込んでいますか。
モラルハザードに関する費用負担を、保険料率にどの程度織り込んでいますか。
(更新日:2003-1-14)
A: どのぐらいモラルハザード分が上乗せされているかという質問だと思います。モラルハザードの起こりにくい保険と起こりやすい保険があるので、一概に言えませんが、全体の保険料率的に言いますと10%にいくことはまれで、どんなに高くてもその程度のことだと考えられます。
モラルハザードが起こったときの求償権行使については、保険者としては当然、求償権を行使しなければいけません。どの程度行われているのかということについては、残念ながらそういうデータが公表されていませんのでわかりません。
モラルハザードが起こったときの求償権行使については、保険者としては当然、求償権を行使しなければいけません。どの程度行われているのかということについては、残念ながらそういうデータが公表されていませんのでわかりません。
Q: a)日医医賠責と個人の加入する医賠責は、違う保険会社でも問題ありませんか。
b)その際、2つ加入していた場合に、個人で加入している保険会社にも、事故の連絡をしなければいけませんか。
b)その際、2つ加入していた場合に、個人で加入している保険会社にも、事故の連絡をしなければいけませんか。
(更新日:2004-2-2)
A:a)まったく問題ありません。日医医賠責と同じ損害保険会社に加入していると、便利なこともあるかもしれませんが、それが特によいとか、そうしなければならないということはありません。
b)当然、事故の連絡をしなければいけません。
b)当然、事故の連絡をしなければいけません。
Q: 病院が認めていない療法を医師が個人的に患者さんに実施して、それによってトラブルが生じて賠償問題が発生したときに、病院がその賠償責任を問われますか。
(更新日:2004-2-2)
A: 患者さんが病院を含めて訴えた場合には、病院は管理責任を問われます。医師のみを訴えた場合については、病院の管理責任にはならないと思いますが、たぶんそのようなケースは少ないと思います。病院は、病院内で行われている医療行為については、すべて責任を持たなければいけないということになります。
Q: 勤務医にとって、日医の医賠責保険にはどんなメリットがありますか。
(更新日:2004-2-2)
A: 日医の医賠責保険というのは制度保険です。A会員であれば自動加入ですから、A会員であることさえ気をつけていれば、保険の満期がきて、付け忘れをしたといったことは防げます。事故が発生した場合には、事故解決まで含めて支援してくれます。普通の医師賠償責任保険とは、制度保険であるというところが違うことになります。
Q: 災害が起こって病院が機能停止になって、他の病院に移送中に患者さんが死亡した場合に、賠償責任が発生するのですか。
(更新日:2004-2-2)
A: 発生する場合もあるし、しない場合もあると答えるしかありません。移送自体が不法行為や債務不履行にあたるとは思えないので、搬送中に過失があったかどうか、その点によって賠償責任が発生するかどうかの判断をすべきだと思います。
Q: 100%こちらに過失がある場合に、賠償額はどのぐらいになるのでしょうか。
(更新日:2004-2-2)
A: 人によって、相手によって、賠償額の計算はずいぶん変わります。
基本的には、事故の時点から将来に渡ってその方がいくら稼げたか。まず、稼げた額の計算があります。その次に、その方が生きていたとしたら、費用がかかりますのでそれを引きます。将来、稼得できたものから費用を引きます。それに、なにがしかの係数を掛けて計算をします。費用部分、慰謝料部分を除くと、そのようにして賠償額が決定されます。相手の年齢、職業、男女、所得等によって賠償額は大きく変わります。
基本的には、事故の時点から将来に渡ってその方がいくら稼げたか。まず、稼げた額の計算があります。その次に、その方が生きていたとしたら、費用がかかりますのでそれを引きます。将来、稼得できたものから費用を引きます。それに、なにがしかの係数を掛けて計算をします。費用部分、慰謝料部分を除くと、そのようにして賠償額が決定されます。相手の年齢、職業、男女、所得等によって賠償額は大きく変わります。
Q: 現在、日本医師会の医師賠償責任保険でも1事故2億円という特約がありますが、私が勤務する医療機関においても1億円では不安ということで、民間の保険会社に2億円の保険をかけたいと話したところ、2億、3億という保険はあるのですが、審査が厳しくはねられてしまいました。そこで病院の規模など明確な基準などがあるのでしょうか。
(更新日:2004-11-12)
A: 病院の規模などの基準はありませんが、明確な基準はあります。それはこの保険を引き受けて利益があがるかどうかというただ一点です。多分、ご質問の病院を審査した保険会社は、単年度を問題にするわけではないとは思いますが、数年くらいの期間で利益があげられるかどうかということを考えて引き受けなかったということになると思います。これは医師賠償責任保険だけにいえることではなくて保険全体のスキーム(枠組み)上のことですので、この例だけが特殊ということにはならないと思います。
Q: 明らかな医療過誤事例で病院患者双方が示談解決に同意している場合、示談賠償額について
(1)医師賠償保険の適応要件、手続要件
(2)示談賠償額の決定基準、標準額の算定根拠
は、どうなっているのでしょうか。
(1)医師賠償保険の適応要件、手続要件
(2)示談賠償額の決定基準、標準額の算定根拠
は、どうなっているのでしょうか。
(更新日:2004-11-12)
A:(1)ご質問の要旨は、保険金の支払いを受ける要件としてどういうことか、ということだと思います。これはテキストの中に載っております賠償責任保険普通保険約款第10条(事故の発生)の手順に従っているかどうかが、手続面での要件ということになります。
まず一つは事故が起こった時の通知義務です。「こういう事故が起こりました、被害者は○○さんです。事故の状況はこういうことでした。」ということが通知義務です。それから保険会社の同意を得ないで損害賠償責任の全部または一部を承認しないこと、要するに示談額等を決めないで下さいというのがあります。ここで、保険会社の承認がないと払わないことがあるということを約款上明確に謳っておりますので、そこのところは保険会社とよく話し合いをされる必要があると思います。
(2)これは過去の判例とか、医療事故だけではなく自動車保険などの周辺事例の判例や調停額や和解額の前例などを参考にしながら決定されるものだと理解しております。現時点での相場というものがある訳ではありません。
まず一つは事故が起こった時の通知義務です。「こういう事故が起こりました、被害者は○○さんです。事故の状況はこういうことでした。」ということが通知義務です。それから保険会社の同意を得ないで損害賠償責任の全部または一部を承認しないこと、要するに示談額等を決めないで下さいというのがあります。ここで、保険会社の承認がないと払わないことがあるということを約款上明確に謳っておりますので、そこのところは保険会社とよく話し合いをされる必要があると思います。
(2)これは過去の判例とか、医療事故だけではなく自動車保険などの周辺事例の判例や調停額や和解額の前例などを参考にしながら決定されるものだと理解しております。現時点での相場というものがある訳ではありません。
Q: 医療事故の民事での請求額は増加するばかりで、保険がその金額についていくのかが心配です。今後、民事の請求額に応じて、保険の補償額も相応に増えるのでしょうか。
(更新日:2006-1-16)
A: おっしゃるように請求額は増加傾向(支払額も増加傾向)にあります。これは保険会社としては難しい問題でありまして、鶏と卵のようなところがあります。保険のリミットを上げるのが先なのか、請求額(支払額)が高いものがたくさんでてきたからリミットを上げるのか、どちらが先なのかということですが、私はどちらかというと、請求額(支払額)が相当高いものがでてくる状況の中で、リミットを上げていくのであれば上げていく、ということかと思います。
但しこれにはもう一つ条件がありまして、今の医賠責保険全体としては、保険会社全体としても赤字基調にあります。この赤字基調のまま填補限度額だけを増やしていくということは、しにくいということです。黒字にならなくても、少なくともバランスがとれないとリミットを上げていくわけにはいかないと思います。
一方リミットを上げると、そこまで填補限度額があるならと、賠償請求が行われ易い雰囲気を生み出す可能性もあります。従来医賠責の世界は1億円の填補限度額でずっと引っぱってきましたが、このことが賠償額の急激な高額化というのをある程度はおさえてきた要素の一つになっていたのだと思います。現在、保険会社の中では1億円までしか引き受けをしない会社もありますし、2億円までの会社もあります。ここは微妙な問題ですが、ゆくゆくバランスがとれる範囲の中でということであれば、請求額(支払額)が上がってくる中で、填補限度額を世の中の動きに合わせて引き上げていくのではないだろうかと思っています。
但しこれにはもう一つ条件がありまして、今の医賠責保険全体としては、保険会社全体としても赤字基調にあります。この赤字基調のまま填補限度額だけを増やしていくということは、しにくいということです。黒字にならなくても、少なくともバランスがとれないとリミットを上げていくわけにはいかないと思います。
一方リミットを上げると、そこまで填補限度額があるならと、賠償請求が行われ易い雰囲気を生み出す可能性もあります。従来医賠責の世界は1億円の填補限度額でずっと引っぱってきましたが、このことが賠償額の急激な高額化というのをある程度はおさえてきた要素の一つになっていたのだと思います。現在、保険会社の中では1億円までしか引き受けをしない会社もありますし、2億円までの会社もあります。ここは微妙な問題ですが、ゆくゆくバランスがとれる範囲の中でということであれば、請求額(支払額)が上がってくる中で、填補限度額を世の中の動きに合わせて引き上げていくのではないだろうかと思っています。
Q: 医事紛争が医療訴訟に発展し、舞台が裁判所に移っても賠償責任審査会の判断に拘束されるとありますが、法廷の審理の中で違う判断がなされた場合はどうなるのですか。
(更新日:2006-1-16)
A: 賠償責任審査会の判断が拘束するのは、医師側です。裁判の中で医師側がどのように主張を展開していくのか、これは「賠償責任審査会の中の判断に従って主張展開して下さい」という意味で、そこに拘束力があるわけですが、裁判の結果はあくまでも裁判の結果ということになります。
通常、裁判になって一審判決ということになりますと、次の段階は、その一審判決をそのまま認めるのか、あるいは裁判の中で新しい事実が発生してきてそれを総合的に賠償責任審査会が判断してやはり認めるべきだということになれば、これは敗訴ということになります。もう一つはやはり賠償責任審査会での判断が正しいと思うからこれを控訴する、もう一回戦い直すということになる訳です。
ですから裁判所を拘束するというのではなくて、裁判所での医師側の主張を拘束する、賠償責任審査会の中で判断したことに従って主張して下さいということです。その上で、控訴の場合も含め、最終的な裁判結果がでればそれに従うという事になるわけです。
通常、裁判になって一審判決ということになりますと、次の段階は、その一審判決をそのまま認めるのか、あるいは裁判の中で新しい事実が発生してきてそれを総合的に賠償責任審査会が判断してやはり認めるべきだということになれば、これは敗訴ということになります。もう一つはやはり賠償責任審査会での判断が正しいと思うからこれを控訴する、もう一回戦い直すということになる訳です。
ですから裁判所を拘束するというのではなくて、裁判所での医師側の主張を拘束する、賠償責任審査会の中で判断したことに従って主張して下さいということです。その上で、控訴の場合も含め、最終的な裁判結果がでればそれに従うという事になるわけです。
Q: これまで診療を受けていた病院が夜間または休日に診療できない状態の時に、輪番の病院に診療を「丸投げ」してくる場合があります。この時に輪番に当たっていた病院が、もとの病院に情報提供を依頼した時に拒否され(電話で要求した時にファックスでなければだめであるとか、あるいは個人情報保護上拒否するなど)、十分な情報を得られなかった場合、そこで発生した医療事故についてはどう考えるのでしょうか。情報を迅速に提供しなかった元の病院にも原因があるというように考えられないでしょうか。また、その場合に医療情報が不足したことによる医療過誤責任はどのようになってくるのでしょうか。
(更新日:2006-1-16)
A: 特に個人情報保護法施行以降、神経質になってきているということで、このような質問があるのだと思います。仮に十分な情報が得られなかったとしても実際に診療にあたって医療過誤を起こした病院の責任というのは非常に大きいと思います。情報が不足していた場合、自らがそれを補うようにして診療をするというのが、この場合の輪番病院の役割という事になると思います。
ただ、これだけではよくわかりませんが、元の病院に特殊な情報があってそれを提供しなかった場合に、もし因果関係がそこに認められるというようなことがあれば、それは共同責任ということもあり得るかと思います。これはケースバイケースで個別具体的に判断しなければいけない問題かと思います。そうはいいましても最終的に診療にあたった病院がきちっとやるということが、かなりウエイトを持つような気がします。
ただ、これだけではよくわかりませんが、元の病院に特殊な情報があってそれを提供しなかった場合に、もし因果関係がそこに認められるというようなことがあれば、それは共同責任ということもあり得るかと思います。これはケースバイケースで個別具体的に判断しなければいけない問題かと思います。そうはいいましても最終的に診療にあたった病院がきちっとやるということが、かなりウエイトを持つような気がします。