「TQMを支えるQC活動は特効薬ではなく、漢方薬である」といわれる。だから、地道に臨むことが必要だ。活動の基本に「人と組織の活性化」を置くTQMがうまく機能すれば、職員全体のモラルを高めたり、事故の発生を抑えたり、赤字経営を黒字に転化させたりできる。「その意味で、製造業の現場で行われている活動の手法は医療の質を高めるのにも応用できるはず」と杉山氏は言い切る。その管理手法の1つに「標準化」がある。
例えば、部品製造業では、1日1,000個を同じできばえの品質でつくることが至上課題。そのために作業手順を標準化したり、ミスを発生させないための環境を整えたりする。それに対して、看護師は1日1,000人に同じ作業をしない。患者の症状も程度も異なるからだ。しかし、相手は違っても、例えば、注射という行為には普遍性がある。従って、その面での標準化ができるはずだ。
「標準化」の重点は(1)作業の目的が達成できるものであり、誰がやっても同じ結果が得られること(2)作業場のポイントが明確になっていること(3)誰が見ても理解しやすいこと(4)異常時の処置が取れるようになっていること――だという。作業は、うまくいくポイントや失敗するやり方が分かったら、それをもとに標準化しておくことが失敗を繰り返さずに済ませるコツである。標準化を怠ると歯止めが利かずに改善してもいつの間にかもとに戻ってしまう。
杉山氏は改善活動の基本として「見える化」と「2S」(整理・整頓)を掲げる。「見える化」には「強調法」「基準法」「暴露法」「置換法」「表現法」の5つの手法がある。別表に、その方法と応用例を示した。応用例は個々の医療現場の実情によってアレンジできるはずだ。
見える化
| | 方法 | 応用例 |
| 強調法 | 対象を目立たせる。 強調することで、注目を得る。 |
- マーカー等で強調
- 拡大図、拡大鏡
- 名前と顔写真
- アンドン等
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| 基準法 | 正常、異常の判断できる基準があり、 一見して、識別できる。 |
- 管理図の限界線
- グラフの目標線
- 表示(場所ともの)
- 在庫量管理(最大/最小)
- 置き場所の囲い等
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| 暴露法 | 隠れていたものを、表に暴露し、 目で見えるようにする。 |
- 設備の清掃(油漏れ)
- さらし台(不良品)
- カットサンプル等
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| 置換法 | 直接目には見えないもの(空気の流れ等) を目に見えるものに置き換える方法。 |
- 空気流れの可視化実験
- サーモラベル(温度異常)
- リトマス試験紙等
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| 表現法 | 目には見えない、抽象的な概念を、 目に見える形で、具体的に表現する。 |
- ビジョン等のビジュアル化
- 業務フロー図
- 各種管理表
- ユートピア指数等
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出典:「現場はもっと強くなる」(村上豊著)
「現場管理のスタートは2Sから」といわれるほど、整理・整頓は活動の根本である。2Sの目指す姿は「いま必要な1個以外は不必要」という考え方だ。「整理」とは不必要なものを取り除くこと。「整頓」とはモノがスーッと取り出せることだという。では、不必要なものの判断基準は何か。杉山氏によると「ゴミは不用品。余分な在庫は不急品。従って、1個以外は不必要」。明快である。
整理・整頓
| | 整理 | 整頓 |
| 事例 |
- 不要物一掃(赤札等)不要物に貼りつけ、廃却する
- 机上下、引き出しの中の不用品
- 棚の各種ファイル/資料で不要なもの(保管の必要なし)
- 什器備品の老朽品/損耗品
- 各種サンプルで不要なもの
- 床(ゴミ)清掃、ダクト(埃)清掃
- 什器備品清掃
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- ファイル等、使用頻度に応じて、高いものから優先して、そばに置く
- 棚とファイルに表示する(「表札」と「名札」)
- ファイルの分類コードを定める
- 検索用台帳を作成
- 什器備品は、各1つ。共有の備品は、皆のそばに置く、
- 什器備品も全て、表示をする(「表札」と「名札」)
- ファイル、什器備品の維持管理も含む
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| 効果 |
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出典:「現場はもっと強くなる」(村上豊著)
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