また、現場でもできる一次予防のノウハウとして提案したいのが、その組織のチーフ的立場の人員がスタッフの状況を「積極的傾聴法」により聴くことだ。 うつ傾向になると集中力の低下、不眠、食欲の低下などにより仕事のパフォーマンスが落ちる。予防的にスタッフの話を積極的傾聴法により聞くことで、ストレスを少しでも除去し、個人とひいては組織のパフォーマンスを維持できる、またはパフォーマンスが上がる可能性が高くなると考える。 話を聴く時間が取れない、という現場もあるだろう。この積極的傾聴法は決して時間を長くとる必要はないので、10分や30分でも業務時間内に時間を見つけてぜひ取り組んでもらいたい。 積極的傾聴法とは、「この人の立場ならこのように考えるのは当然だ」と共感しながら聴くことだ。ただ相槌を打って聴くのではなく、相手を批判するのではなく、その人になったつもりで話を聴く。共感的理解、無条件の肯定的感心、自己一致(ロジャーズの3条件)というキーワードを意識する。 どうしてもアドバイスしたくなったときは、相手が悩んでいることに対して本人はどのような工夫や努力をしてきたかたずねてみる。「どんなふうにそれに取り組んできたのですか」と訊くと相手も答えやすい。そして相手が努力していることが語られたら、間接的に努力を賞賛することとなり会話がさらに弾むだろう。 相手の言うことが単なるわがままに思えたり、明らかに間違った価値観に基づくことであれば、イライラすることもでてくる。説教したり励ましたりアドバイスしたくなりがちだが、それはしない。ただ「イライラしている」ということを相手に伝えて気づいてもらうことは必要だ。 中間管理職・マネージャー以上の立場の人がこのスキルを身につけることにより、スタッフの体調・メンタルヘルスの変調に早期に気づくことができる。 なぜ部下のパフォーマンスが上がらないか原因も究明される。 『積極的傾聴を学ぶ』(中央労働災害防止協会発行)を用いて研修を行うことにより、聴くスキルの向上を図れるので参考にしてほしい。 |