病診連携システムにおいて、クリニック側は医療安全対策をどのように行っているのだろうか。高安医師にいくつかのポイントを挙げてもらった。
(1)提携病院との信頼関係は不可欠 病診連携が活発化する中で、開放型病床を積極的に活用しようという病院は多い。しかし院内で開業医が診察することに対して病院スタッフの抵抗感が強い場合もあり、うまくいかないケースもある。高安医師の場合、開業する前からIVR専門医として提携病院の診療に参加し、病院スタッフとは顔なじみを超えた信頼関係が築いてきたという。高安医師は「患者が絡むことについては病院スタッフに言うべきことは言う。逆に不満を含めた意見も聞きたい」と話す。
その結果、活発な意見交換もなされている。例えば、個々の患者のインフォームドコンセントのための治療方針説明はクリニックの外来でまず行われるが、さらに開放型病床入院後あらためて病院スタッフの医師・看護師とともに行い、チームとして情報を共有しディスカッションを欠かさない。IVR室では、施術前に看護師・技師と具体的な治療方針やリスクについて事前の打ち合わせと検討を行う。必要な器具の発注は担当のコ・メディカルが独自に行うシステムが確立している。この病診連携が発足した翌年には、ふたつの提携病院が相次いで「より安全で高度なIVRを行うために、最新鋭のデジタルアンギオグラフィーシステムを設置する」ことに踏み切った。「各病院の協力によって、患者にいい医療を安全に提供することが可能になっている」と高安医師は言う。
(2)病診間で患者情報を交換できる環境を用意する 開業時には提携病院と電子情報交換を行うことができる環境を整えた。電子カルテを導入したほか、クリニックで行うヘリカルCTやエコーなどの画像はすべてDICOM(digital imaging and communications in medicine)規格でデジタル保存できるようにした。クリニックにある患者情報を提携病院で容易に取り出すことが出来、病院の医師と情報交換もしやすくなっている。逆に、提携病院で行ったIVRの画像もオフ・ラインでクリニックに保管することができ、患者に対して、治療効果や2回目以降のIVRの説明に有効性を発揮している。
(3)自分の目と手の届く範囲にしぼって診療する たかやすクリニックのスタッフは、高安医師のほか、看護師や診療助手など4名のみだ。
「人手を要するIVRの施術や入院は開放型病床を利用しているので、クリニックは最小限の人数のスタッフで運営し、検査なども自分自身が行っています。スタッフをしぼった理由はコストの問題が一番ですが、開業医の場合はスタッフの数を多くすれば安全管理が行き届くとは言い切れない。むしろ不慣れなスタッフを数多く抱えることで注意が散漫になり、事故などのリスクを増加させてしまう危険もあります」
高安医師が考える「より安全にクリニックを運営するコツ」は、自分自身で確認できる範囲にとどめるということ。こうすることで、患者と接する時間が増える。顔を見て話をする中で状態をより正確に把握することもできるし、注意してほしい点なども各々の患者に合わせた伝え方ができるという。
(4)開業医もつねに新しい情報を得る努力を 医学上の知識にしても、あらゆる設備や機器にしても進歩のスピードは非常に速い。ところが個人開業の医師の場合、最新の情報を入手するには自助努力の面が少なくない。しかも新しい治療技術や機器の情報をキャッチしても使いこなせなければ意味がなくなってしまう。以前、高安医師は年に10回以上の内外の学会に参加してさまざまな情報を得、また発信していたが、開業後は医師一人の体制でクリニックを切り盛りしているため、なかなか時間が取れなくなった。それでも学会や研究会に所属し、可能な限り参加することだけでなく、役員としての務めも果たしている。医薬品医療機器総合機構専門委員や厚生労働省班研究、医師会理事など公的な仕事もこなす。仲間の医師たちとの交流で、少しでも最新の情報やトレンドに接しておこうという狙いもあるという。
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