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情報の共有化に役立つヒヤリ・ハット通信


 事故防止策をはじめ、マニュアルの中身をいかに職員全員に周知徹底させるかーー。前回に引き続き、今回も同様のテーマで日本大学医学部附属板橋病院(東京都板橋区、1,103床)の取り組みを紹介したい。


 同院の各セクションの壁には、「ヒヤリ・ハット通信」が張られている。前月のインシデントレポートの集計結果をはじめ、具体的な事故防止策が写真や図解入りでわかりやすく記載されているものだ。

 例えば、ある月に発行された「ヒヤリ・ハット通信」には、ヘパリンロック用生理食塩水の作成の現状や、院内で使われているヘパリンの種類、その副作用などが紹介されていた。

 「これを見ると、一口にヘパリンロック用生理食塩水と言っても、実にさまざまな作り方や濃度のある事がわかる。事故防止のためにも、特殊な例を除いて、なるべく同じ作り方をするように勧めている」と、同院副病院長の根岸七雄医師は語る。

 このヒヤリ・ハット通信は院内の医療安全管理対策委員会の小委員会が企画・編集を行っているもので、発行は毎月1回。前月のインシデントレポートの収集結果から、アクシデントにつながる怖れのある事例を抽出し、その防止策を検討した結果を掲載している。特徴は、各セクションに配布され、壁に張り出されて職員誰もが見る事が出来るようになっている点だ。


ヒヤリ・ハット通信 第8号
(251KB)
ヒヤリハット通信 第10号
(270KB)



院内の各セクションに張り出されている「ヒヤリ・ハット通信」

 同院がヒヤリ・ハット通信を発行するようになったのは、2001年3月から。きっかけは、マニュアルの整備や医療安全に関する講習会を実施していたにも関わらず、あるアクシデントが起きたからだった。

 「すでにインシデントレポートの収集もしていましたが、その分析結果や具体的な事故防止策をいかに現場にフィードバックさせるかが課題だった。ヒヤリ・ハット通信によって、事故防止に対する職員の意識が高まれば良いと思っている」と根岸医師は言う。

 同院ではこのヒヤリ・ハット通信を壁に張り出すだけでなく、職員が事故防止に対する自覚を持ち続けられるように、「医療安全管理チェックリスト」(表1参照)も作成している。



表1 「医療安全管理チェックリスト」




 「マニュアルを読んだことがあるか」という質問をはじめ、「用途別に注射器や器具の色分けはしているか」「薬剤部への薬品請求伝票は1人1伝票として指示票を添付しているか」など、具体的な事故防止対策がチェック出来るようになっている。「ヒヤリ・ハット通信」を読んだかどうかまで確認しているという徹底ぶりだ。

 これらは院内で開催される医療安全管理講習会に参加した職員に記入してもらい、結果は事故対策を検討する際にも役立てられるという。

 「事故は決してゼロにはならない。そのためにも地道な事例の収集分析と、防止策の周知徹底の継続が不可欠」と、根岸医師。今後も、アクシンデントの教訓を活かした試みに期待したい。




副病院長の根岸七雄医師
院内の医療安全管理対策委員会の副委員長でもある