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安全な輸血を行うための指紋照合システム


 輸血を行う際に、指紋で患者本人かどうかを確認するシステムを川澄化学工業(東京都品川区)が開発した。指紋は同じものが2つとないと言われている。その究極の確認方法とも言えるシステムとはいったいどのようなものなのか。



 システムはバーコードスキャナー付の情報端末と、指紋照合装置、ラベルプリンターで構成されている。使い方は次のような手順だ。まず、指紋照合装置で患者の指紋を取り込む(写真1、写真2)。すると、指紋は数字化されたデータに置き換えられ、情報端末に転送される。そのデータをバーコードラベルに印刷し(写真3)、血液バッグに張り付ければ(写真4)登録は完了だ。輸血時には、血液バッグに張られたバーコードと患者の指紋を照合すれば、患者確認が出来る。




(写真1)指紋照合システム「You Be Match」。
バーコードスキャナー付の情報端末と指紋照合装置の他に、
専用のラベルプリンターが付いている。





(写真2)患者の指紋を登録・照合する装置(拡大図)。
指紋は特徴的な部分を数字化したデータに置き換えて
登録されるため、複製は出来ないようになっている。





(写真3)患者の指紋データは2次元バーコードとしてラベルに印刷される。





(写真4)血液バッグに張られたバーコードラベル。
輸血時に患者の指紋とこのバーコードを照合すれば、
本人確認が出来る。


 「このシステムを使えば、麻酔などで患者が眠っていても確認が可能となります」と、同社医薬品医療機器事業部の牛嶋良生係長は言う。




バーコードラベルはリストバンドとしても利用可能。


 そもそもこのシステムは、患者からあらかじめ採取した血液を本人に戻すという自己血輸血のために開発された。同システムを試験的に運用した川崎医科大学附属病院(岡山県倉敷市、ベッド数1,182床)血液内科の和田秀穂助教授は次のように話す。

 「自己血輸血に対するニーズは年々高まっている。しかし、自己血だからこそ、他人に誤って輸血したら重篤な状態を引き起こす可能性が極めて高い。このシステムを使うことで、日本一安全な自己血輸血を行う病院であるとアピールしたい」

 とはいえ、当初は指紋という極めて個人的な情報を取られることに患者から抵抗があるのではないか、と和田助教授は心配していた。だが、指紋はあくまでも特徴的な部分を数字化されたデータに置き換えられるだけ。複製は出来ない。その旨をあらかじめ伝えると全員に納得してもらえたという。

 この1月には試作品を改良したものが製品化された。以前は指紋照合に8秒間かかっていたが、製品化されたものは1秒足らずと性能がアップした。さらに、指が乾燥していたり、べたついていても読み取ることが可能になった。

 価格は、情報端末、指紋照合装置、ラベルプリンター一式で80万円。他に、専用のコンピュータソフトが80万円かかる。この会社では、オーダーリングシステムとの連動など、各病院に合わせた具体的な運用方法を提案していく考えだ。

 「用途は何も輸血だけに限りません。例えば、バーコードラベルをカルテや診察券に張り付けて、患者確認を行うのも1つの使い方です。指紋は1人の患者に1つしかない情報。同姓同名などで誤って他人の情報を取り込む可能性はないので安心です」と、牛嶋係長は語っている。

  * 川澄化学工業の連絡先:03−3763−1198 
   担当:医薬品医療機器事業部 牛嶋良生さん