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国内発の新型肺炎SARS検査キットの承認で、迅速診断が可能になる

 昨年12月中旬、厚生労働省は臨床検査薬メーカーの栄研化学(東京都文京区)が申請した新型肺炎SARSの検査キットを承認した。国内で同検査キットが承認されたのは初めてだという。従来はSARSの診断に半日から1日程度かかっていたが、この検査キットを使えば1時間以内に判明する。今冬の再発が懸念される中、精度も高く、短時間かつ簡便に調べられる同キットへの期待が高まっている。
 


 年明け早々、WHO(世界保健機関)は中国広東省広州市の男性(32歳)がSARSに感染したと発表した。昨年7月のWHOによる制圧宣言以来、研究者の感染はあったが、一般市民の感染が確認されたのは初めてだ。再発への不安が広がっているが、いまだ感染源はわかっていない。特効薬もない。

 SARSは風邪の原因となるコロナウィルスの1種である、SARSコロナウィルスが病原体となっている。栄研化学の検査キットは、患者から採取した糞便や鼻腔咽頭の拭い液から、このSARSコロナウィルスの遺伝子の有無を調べるもの。同社の独自技術である遺伝子増幅法「LAMP(ランプ)法」を利用している。検査キットの開発にあたっては、国立感染症研究所や長崎大学熱帯医学研究所の協力を得た。

 国立感染症研究所ウィルス第3部長の田代眞人さんによると、SARSを診断するための検査には3つの方法があるという。SARSコロナウィルスの遺伝子の有無を調べる方法、血液中に同ウィルスに対する抗体が出来ていないかどうかを調べる方法、同ウィルスを分離して調べる方法だ。

 「これらの中で一番迅速に結果が出るのは、遺伝子の有無を調べる方法です。他の方法は結果が出るまでに1週間程度かかります。検査キットで1時間以内にSARSに感染したかどうかがわかれば、目の前の患者に対して迅速な処置が可能になります」と、田代さんは言う。

 従来は、遺伝子の有無を調べるために「RT-PCR法」が用いられていた。この方法だと、結果が出るまでに半日から1日程度かかっていたが、LAMP法を用いた検査キットならば1時間以内にわかる。遺伝子を増やす仕組みを改良し、速度を大幅に速めたからだ。

 また、RT-PCR法は、遺伝子を増幅するのに温度を3段階に調整する必要があり、そのために高額な温度調整装置も用意しなければならなかった。だが、LAMP法を用いた検査キットならば、一定温度で遺伝子が増幅するため、この装置が不要となる。患者から採取した糞便などを試薬に混ぜて、専用の濁度測定装置において65度前後で保温すればよい。陽性の場合は、試薬に反応して蛍光を示すため、肉眼でも検出可能だ。

 さらに、特異性や感度も高く、検出率は80%に上るという。RT-PCR法はSARSに感染していても陰性と出る例も少なくなかった。

 「検査キットは昨年末から販売しており、すでに全国の検疫所や地方衛生研究所に納入を完了した。今後はSARS入院対応医療機関などにも販路を広げていきたい」と、栄研化学社長室広報部長の山崎久志さんは話している。

 同キットの希望納入価格は48回分で12万円(反応チューブ別売)。専用の濁度測定装置は130万円のものと200万円のものがある。

○検出キットへの問い合せ先
  栄研化学株式会社広報部 TEL03-3813-5405
  ホームページ http://www.eiken.co.jp/

○SARSの最新情報は、以下のホームページなどをご参考になさってください。
  厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/
  国立感染症研究所・感染情報センター
  http://idsc.nih.go.jp/others/sars/index.html



栄研化学が12月末から販売している「Loopamp SARSコロナウィルス検出試薬キット」。
この他に、専用の濁度測定装置も販売されている。