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日本医療機能評価機構における医療事故事例の収集と安全対策への取り組み


医療機関の第三者評価などを行う日本医療機能評価機構(坪井栄孝理事長)は、10月9日、「評価機構における最近の取り組み〜医療安全をテーマとして〜」と題したフォーラムを開催した。わが国の医療事故の実態解明とその防止に向けて、同機構が果たす役割が紹介された。


同機構は、医療機関の機能を中立的な立場で評価し、問題点の改善を支援するための第三者機関として1995年に設立された財団法人。現在は、病院機能評価をはじめ、医療情報サービスの提供や、都道府県に設置されている「医療安全支援センター」を支援する事業なども行う。

この10月からは、国立病院や特定機能病院などにおいて医療事故が発生した場合に、2週間以内に事故報告書を提出することが義務づけられたが、その収集と分析を、同機構の「医療事故防止センター」が行うことになっている。

同機構医療事故防止事業の担当理事である野本亀久雄さんは、「事故報告の目的は、患者が安心してかかれる医療にするためのもの。義務化されている医療機関だけでなく、全ての医療機関から任意で提出をお願いしたい」と、協力を求めた。

会場の参加者から、「報告したことによって行政処分の対象となったり、裁判に利用されることはないのか、現場は不安を抱えている」と、情報の管理に不安を漏らす声が聞かれると、「あくまでも医療事故防止対策に活用するものであって、他の目的には使わない。近々、その旨を文書でも示したい」と、野本さんは答えた。

午後に行われたシンポジウムでは、医療事故を報告する際の個人情報の取り扱いがテーマとなった。来年4月からは個人情報保護法が医療機関においても施行されることになるが、「患者の個人情報は、最大限、匿名性を配慮した上で取り扱うが、医療機関には、出来るだけ患者から診療以外の目的で使用する旨の同意を得てもらいたい」と、認定病院患者安全推進協議会担当理事の大道久さんは述べた。

フォーラムでは、今年7月から見直された、認定病院における医療事故発生時の認定証の取り扱いについても説明があった。具体的には、認定病院において医療事故が発生した場合に、所定の医療事故報告書を同機構に45日以内に提出してもらい、その内容によって、「継続認定」、「条件付認定」、または「認定留保(認定証返還)」を決定するというもの。「条件付認定」となった医療機関には、所定の期間後に確認審査を受審してもらい、再度、認定の取り扱いを検討する。

報告する医療事故の範囲は、「医療事故防止センター」で収集する内容と同じ(表参照)。認定証の取り扱いは、評価委員会の下部組織である「医療安全部会」で検討。その提案を受けて、評価委員会が最終的な判断を下す仕組みとなっている。

「認定病院が故意に医療事故を報告しなかったり、虚偽報告したことが明らかになった場合にも、認定証の取り扱いを見直さざるを得ない」と大道さんは話し、認定病院が医療事故を漏れなく報告するよう求めた。

当日は、同機構が2003年4月から取り組んでいる「認定病院患者安全推進協議会」の活動も紹介された。これは医療事故防止策を検討し、患者安全の推進を図ることを目的として設立された組織で、認定医療機関であれば会員になれる。年会費は6万円。

現在、認定を受けている1,408カ所の医療機関のうち、815カ所の医療機関が参加している(2004年9月末現在)。活動内容は、課題別の検討部会の運営、患者安全推進セミナーやフォーラムの開催、患者安全推進ジャーナルの発行だ。

課題別の検討部会は、「投薬プロセス」「IT化・情報機器」「リスクマネジャー」「処置・チューブトラブル」「医療機器・設備」「教育プログラム」「医療記録」の7つで、各検討部会において年間3回〜4回の討議が行われている。

すでに、「アンプル型高濃度カリウム製剤と10%キシロカインの病棟および外来在庫の廃止」「中心静脈穿刺時の患者安全確保」「医療用ガス使用時の安全確保」などの提言がとりまとめられ、同機構のホームページ上で一部公開されている。今年末には、リスクマネジャーの業務に関する指針を発表する予定だという。


表「医療事故の報告範囲」
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10月9日に開催された日本医療機能評価機構フォーラムの様子。