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選択の視点【No.38、39】

今回は、医師の過失が認定された高等裁判所(No.38)と最高裁判所(No.39)の判決を紹介いたします。

No.38の判決は、医師の過失と患者の死亡との因果関係があると認定しました。そして、損害賠償の内容としては、慰謝料の他に、逸失利益(生存していれば得られたであろう収入等)や葬儀費用も認めています。紹介にあたり、高裁判決及び判例時報に掲載されていた原審(奈良地裁判決)も参考にしました。

これに対して、No.39の判決では、医師の過失と患者の死亡との因果関係は認定されませんでしたので、慰謝料が損害賠償の内容として認められましたが、逸失利益や葬儀費用は認められませんでした。ここでの「慰謝料」の対象は、「患者が適切な医療を受ける機会を不当に奪われたことにより被った精神的苦痛」です。

なお、No.39の判決は、以前、【選択の視点(No.16~17)】の中で平成12年最高裁判決としてご紹介したものです。今回の紹介にあたり、判例時報に掲載された最高裁判所判決の他に、最高裁判所判例集(民集)54巻7号2574頁以下に掲載されている、一審判決及び二審判決も参照いたしました。

カテゴリ: 2005年1月26日
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