医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2025年10月 9日
選択のポイント【No.536、537】

今回は入院患者がベッドから転落した事案について、病院側の責任が認められた裁判例を2件ご紹介いたします。 No.536の紹介にあたっては、判例タイムズの解説も参考にしました。 同事案では、転落当時ベッドの柵が立ててあったか否かについて争いがあり、ベッド左側の柵が立ててあったとの証言がありましたが、裁判...

2025年10月 9日
No.537「病室のベッドから入院患者が転落。食事介助にあたり半分下げていた下半身方向のベッド柵を完全に上げることをせずに患者のそばから離れた担当看護師の過失を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成27年1月27日判決 ウェストロージャパン (争点) 担当看護師の過失の有無 看護部長の過失の有無 *以下、原告を◇、被告を△1及び△2と表記する。 (事案) ◇は、B(昭和3年生まれ)の子であり、 b病院勤務の内科医師である。 △2は本件病院(以下「△病院」という...

2025年10月 9日
No.536「結節性動脈周囲炎の患者がベッドから転落し、急性副腎不全による高カリウム血症により死亡。病院の転落防止措置義務違反を認めた高裁判決」

東京高等裁判所平成11年9月16日判決 判例タイムズ1038号238頁 (争点) 死因とベッドからの転落との間に因果関係があったか否か 病院にベッドの転落防止措置を怠った過失があったか否か *以下、原告を◇1及び◇2、被告を△と表記する。 (事案) A(明治41年生まれ)は、膠原病の一種である結節性...

2025年9月11日
選択のポイント【No.534、535】

今回は施設入居者のてんかん発作に関する施設の責任が認められた裁判例を2件ご紹介いたします。 No.534の事案では、遺族は、入居者が他の入居者から暴行被害を受けていたことについても施設側に慰謝料請求をしました。 そして、裁判所は、被告(社会福祉法人)は知的障害児施設を設置運営し、寮等の施設において、...

2025年9月11日
No.535「てんかん発作により障害者総合福祉施設の入所者が死亡。救急要請が遅れたことにつき施設職員の注意義務違反を認めた地裁判決」

横浜地方裁判所令和6年1月31日判決 判例タイムズ1531号177頁 (争点) 施設職員に過失があったか否か *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) 社会福祉法人である△が運営する障害者総合福祉施設(以下「△施設」という。)は、常時介護を要する重度障害者に対し、利用者個々の特性に応じた介護...

2025年9月11日
No.534「知的障害児施設の寮の入所者が浴室内で溺死。損害賠償に関して最低賃金額を基礎収入として逸失利益を算定すべきとした地裁判決」

青森地方裁判所平成21年12月25日判決 判例時報2074号113頁 (争点) 責任分担法理の準用による賠償額の減額の可否 逸失利益の算定 *以下、原告を◇1及び◇2、被告を△1及び△2と表記する。 (事案) A(死亡当時16歳・重度の知的障害を有する男性)は自閉症、てんかん、行動障害及び重度の知的...

2025年8月 7日
選択のポイント【No.532、533】

今回は、癌で死亡した患者につき、いわゆる「相当程度の可能性の侵害」が認められた裁判例を2件ご紹介します。 最高裁判所平成12年9月22日判決は、「医師の医療行為が、その過失により、当時の医療水準にかなったものでなかった場合において、右医療行為と患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されないけれども、...

2025年8月 7日
No.533「医師が肝細胞癌の疑いのあった患者に対してEOB造影MRI検査等を実施せずその後患者が肝細胞癌破裂により死亡。医師の注意義務違反と患者の死亡との因果関係は否定したが、生存していた相当程度の可能性の侵害を認めて慰謝料の支払いを命じた地裁判例」

東京地方裁判所令和6年9月13日判決 判例タイムズ1531号170頁 (争点) 医師の注意義務違反と死亡との間の因果関係及び生存の相当程度の可能性の有無 *以下、原告を◇、被告を△1及び△2と表記する。 (事案) W(昭和25年生まれの男性)は、平成28年10月12日、医療法人である△1の開設する病...

2025年8月 7日
No.532「胃がん検診における医師の注意義務違反と患者死亡との間の因果関係は認められないが、患者の生存に係る相当程度の可能性が侵害されたとして病院側に慰謝料の支払いを命じた一審判決を維持した高裁判決」

東京高等裁判所平成30年9月26日判決 ウェストロー・ジャパン (争点) 平成23年X線検査の終了後、Aの胃の穹窿部に隆起性病変があることを認識し、その内視鏡検査の必要性を認識していた医師につき、X線検査の診断内容をAに通知して医療機関において精密検査を受診するよう指導すべき注意義務違反の有無 *以...

2025年7月10日
選択のポイント【No.530、531】

今回は、放射線治療に関して、医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.530の紹介にあたっては、一審判決(東京地裁平成4年4月10日判決)も参考にしました。 No.530の事案では、耳鼻咽喉科の医師が、患者の頸部腫脹を悪性腫瘍と判断し、放射線照射が必要であると考え、放射線科に治療を依頼...

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