セミナー情報:最新記事

選択の視点【No.44、45】

今回は、分娩に関連する医療事故で病院の責任が認められた判決をご紹介します。

判決中に「助産婦」とあるのは、「助産師」に変更してご紹介しております。

このうち、No.45の判決は、一審(東京地裁)では、患者側の請求が全部棄却され、控訴審で逆転した事案です。裁判の争点の一つが、患者に生じた脳出血が、妊娠中毒症に起因するものかどうかであり、患者側は、妊娠中毒症に伴う高血圧に加えてアトニン投与等によるものだと主張し、病院側は、先天的要因を主張していました。控訴審判決は、一般的可能性として先天的要因が考えられるものの、具体的にその可能性があることを窺わせる事情は認められないとして、病院側の主張を採用しませんでした。そして、判決の中で、訴訟上の因果関係の認定に関する重要な判決(いわゆるルンバール判決)である、最高裁判所昭和50年10月24日判決を引用しました。

この最高裁判決の判旨は、「訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認し得る高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得るものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである」というものです。 仮に「一点の疑義も許されない自然科学的証明」まで要求されるならば、損害賠償を求める患者側に因果関係の主張・立証責任があることから、患者側が勝訴することはほとんど不可能に近くなってしまいます。

カテゴリ: タグ: 2005年4月25日
ページの先頭へ