画像支援ナビゲーションシステムの有用性について、友田氏らは以下のような検証も行っている。術者がどれほど正確に術中の解剖位置を認識しているか、画像支援ナビゲーションシステムと比較した。方法は内視鏡下鼻内手術(ESS)のVTRを被験者に見てもらい、プローブを色々なランドマークに当て、その位置をCTフィルム上で正しいと思われる位置として示してもらった。被験者は経験3年内の初級者、経験5〜6年の中級者、経験10年以上の上級者に分けた。すると初級者は4〜5mm、中級者は2〜3mm、上級者は1〜2mmの誤差のあることがわかった。 「同じ条件下で行なったナビゲーションシステム自身の誤差は0.6mmでした。知識差・経験差によって異なる術者の手術精度は、これまで客観的に評価するのは困難でしたが、ナビを利用することで簡単に行なえることがわかりました。鼻科領域においては低侵襲性の特性から内視鏡下副鼻腔手術の頻度は拡大する一方ですが、狭い視野で、多くの器具を操作する高度な技術が要求されるようになっています。そのための新しい手術教育、評価法が必要となっていますが、画像支援ナビゲーションシステムを使うことで、術者一人でも自己点検や自己評価が可能になり、トレーニングに用いることができるようになりました」(友田氏) また、友田氏らは産業技術総合研究所によって開発された精密ヒト鼻腔モデルと画像支援ナビゲーションシステムをドッキングさせ、イメージガイド下に行なう内視鏡下鼻内トレーニングシステムを考案した。これを用いて、(1)内視鏡や鉗子の手技、モデルにかかる加重、モデルの削開範囲などを検討した。その結果、研修医レベルでは、必要な方向への加重、必要最小限の範囲を超える削開などが顕著であることが明らかになった。(2)2次元的なCT画像と3次元的な鼻腔形態の解剖構造を、頭の中でどこまで確実に評価できるかを検討した。その結果、解剖部位によっては、熟練度の違いで3つのパターンがあることがわかった。実際の手術を行なっている部位が危険部位からより遠くに感じている、すなわち大胆に開放をしてしまうパターン。その逆で、危険部位をより近くに感じている、すなわち慎重ではあるが病変を残存させてしまう可能性のあるパターン。実際の位置と認識位置が一致し た理想的なパターン。この3つである。 「解剖部位や術野の見え方でその感覚は異なること。具体的には後上方で実際の部位との誤差が大きくなることが明らかになりました。この検証を手法化すれば、手術学習の過程を科学的かつ行動工学的に分析し、術者個人の特性と能力を客観的に評価することができ、熟練医との違いを認識させ、指導に役立てることが可能と考えられます」と友田氏は言う。 |