医療判決紹介:最新記事

2019年の記事一覧

2019年7月 9日
選択の視点【No.386、387】

今回は、患者の重大な疾患を発見できなかった医師の過失が認められた裁判例2件ご紹介します。 No.386の事案では、検査の懈怠により患者のスキルス胃癌を発見できなかった病院の債務不履行と患者の精神的損害との因果関係についても争点となりました。裁判所は、平成2年2月ないし3月ころに再度胃のレントゲン検査...

2019年7月 9日
No.387 「腰背部痛を訴える患者に対する診察に過失があり、腹部大動脈瘤の破裂を発見できず、患者が死亡。遺族の請求を全部棄却した一審判決を変更して、病院側に損害賠償を命じた高裁判決」

広島高等裁判所平成30年2月16日判決 医療判例解説77号42頁(2018年12月号)  (争点) 診察時に、患者は腹部大動脈瘤が既に破裂し、又は切迫破裂の状態にあったか否か 診察をした神経内科医師に過失があったか否か (事案) 患者A(69歳の男性)は、平成9年末頃から平成10年2月にかけて、脳血...

2019年7月 9日
No.386 「内科から泌尿器科に転科した入院患者につき膀胱後部の腫瘍がスキルス胃癌の転移によるものと発見できず、その後、患者が自殺。転科から4、5ヶ月経過後の胃部の内視鏡、レントゲン検査を懈怠した病院の債務不履行責任を認めた地裁判決」

広島地方裁判所平成7年12月5日判決 判例時報1589号95頁 (争点) 入院当初の検査は本件診療契約に照らし十分なものであったか否か 泌尿器科への転科後の検査等は本件診療契約に照らし十分なものであったか否か (事案) A(当時54歳・旅館経営の男性)は、平成元年9月9日、強度の腰痛を訴え、B診療所...

2019年6月 7日
選択の視点【No.384、385】

今回は、術後管理について病院側の責任が認められた事案を2件ご紹介いたします。 No.384の事案では、病院側は、患者が脳梗塞の後遺症で半身不随の状態にあったし、約2年程以前に意識不明の状態になったこともあり、高血圧の治療中であるという既往症の存在や、胃がんとその手術に伴う侵襲、高齢(78歳)といった...

2019年6月 7日
No.385 「市立病院で乳房膿瘍切開排膿手術を受けた患者が退院後突然死。患者の動脈血のガス分析結果が強いアシドーシスの状態を示していたのに、医師が原因の究明及び解消のための治療を早急に行わず退院を許可した点に過失があったとした高裁判決」

大阪高等裁判所 平成10年10月22日判決 判例時報1695号87頁 (争点) 患者の死因 医師の過失または債務不履行責任の有無 (事案) Y市の経営する病院(以下、「Y病院」という。)の救急担当であったS医師は、A(34歳の女性)が低酸素状態あるいは肺梗塞に陥っていないかを判断するためにAの動脈か...

2019年6月 7日
No.384 「胃癌の手術及び胆嚢摘出手術を受けた患者が死亡。大学病院の担当医師らが、術後、患者の呼吸機能の回復状態についての注意を充分にしなかったとして大学病院側の過失を認めた地裁判決」

横浜地方裁判所川崎支部 平成5年12月16日判決 判例タイムズ860号241頁 (争点) 患者の死因 術後管理に関する医療担当者らの過失の有無 (事案) A(明治42年生の男性)は、昭和53年ころの脳梗塞の既往があり、以後、下肢能力の低下が認められるものの、日常生活にはさほどの不自由さはなく、また3...

2019年5月10日
選択の視点【No.382、383】

今回は分娩に関連して、産婦人科医師の責任が認められた事案を2件ご紹介いたします。 No.382の事案では、医師は、分娩監視記録の上からは、過強陣痛をうかがわせるものはないことを理由に、子宮破裂の切迫兆候の発見はできなかったとして、監視義務違反はないと主張しました。 しかし、裁判所は、分娩監視装置は、...

2019年5月10日
No.383 「胎盤機能不全による非対称性発育遅延に陥った胎児が子宮内で死亡。産婦人科医師が、胎児の発育状態などを確認し適切な治療方法を採るべき注意義務に違反したとした地裁判決」

東京地方裁判所平成14年2月25日判決判例タイムズ1138号 229頁 (争点) 胎児の死因 産婦人科医師に注意義務違反が認められるか否か (事案) X1(昭和45年生まれの女性)は、平成11年(以下、特段の断りがない限り全て平成11年の出来事とする。)8月11日から、第一子の出産(出産予定日は9月...

2019年5月10日
No.382 「分娩誘発剤投与後、妊婦が子宮破裂。医師に医学的適応がないのに分娩誘発剤を使用した過失及び分娩監視義務違反を認めた地裁判決」

広島地方裁判所平成8年3月28日判決 判例タイムズ912号 223頁 (争点) X1の子宮破裂の原因が分娩誘発剤アトニン-Oの投与にあったか否か 子宮破裂・胎児仮死と出生児(A)の死亡との間の因果関係の有無 分娩誘発剤アトニン-O使用の適応の有無 分娩誘発剤アトニン-Oの投与量(特に増量の程度)の適...

2019年4月 9日
選択の視点【No.380、381】

今回は、眼の手術に関して病院側の責任が認められた判決を2件ご紹介します。 No.380の事案では、患者は、手術上の過誤も主張しましたが、裁判所は、手術担当医師らに過誤があったものとはみないが、その後2回も手術を重ね59日間も入院しなければならなかったことは患者の予期しないところであり、それは診察担当...

2019年4月 9日
No.381 「患者が眼瞼下垂手術を受けた後、緑膿菌感染により左眼を失明。細菌検査で原因菌が判明する以前に緑膿菌を疑って有効な治療行為を行わかなかった開業医の過失を認めた地裁判決」

鹿児島地方裁判所昭和62年3月27日判決 判例タイムズ637号175頁 (争点) 眼科開業医の医師に、細菌検査で原因菌が判明する以前に患者の緑膿菌感染を疑って、有効な治療行為を行うべき注意義務があったか否か (事案) X(手術当時30歳の女性)は、幼少時から高度の左右眼瞼下垂という疾病に罹患しており...

2019年4月 9日
No.380 「美容に重点がある右眼腫瘤摘出手術を行ったところ、患者(女子高校生)に肉芽腫及び眼瞼下垂が生じた。医師が患者に合併症について十分な説明を行わなかったとして国立大学病院側の責任を認めた事案」

京都地方裁判所昭和51年10月1日判決 判例タイムズ348号250頁 (争点) 医師の診断上の過失と説明義務違反の有無 (事案) X(女子高校生)は幼児より右眼眥に先天性の腫瘤があったが少し離れて見れば人が気がつかない程度のもので、そのため眼の活動に支障があったり拡大する傾向があったわけでものないの...

2019年3月 8日
選択の視点【No.378、379】

今回は、小児科医療における医師の過失を認めた裁判例を2件ご紹介します。 No.378の事案では、病院側が、未熟児室では細菌感染防止に十分の配慮がなされているので、未熟児室における生後感染は考えられないと主張しました。しかし、裁判所は、未熟児室内で、3名の担当医師がクベースの両面に2個ずつ開けられた穴...

2019年3月 8日
No.379 「国立病院入院中の幼児に装着された気管カニューレの抜去により、幼児が脳酸素欠乏症による高度中枢神経障害を起こしその後死亡。医師に気管カニューレ装着上の過失があったと推認した地裁判決」

東京地方裁判所平成元年3月29日判決 判例タイムズ704号244頁 (争点) 気管カニューレ装着に関する医師の過失の有無 (事案) A(昭和50年8月15日生)は、出生時、下側の食道と気管支とがつながっている下部食道気管瘻を有するグロスC型の先天性食道閉鎖症を伴っていたため、昭和50年8月18日と1...

2019年3月 8日
No.378 「総合病院の未熟児室に入院していた生後1ヶ月の未熟児が、細菌感染を起こして匐行性角膜潰瘍・穿孔により左眼失明。病状の早期発見・早期治療を怠った未熟児室責任者である小児科医長の過失を認めた地裁判決」

大阪地方裁判所昭和50年4月25日判決 判例タイムズ327号268頁 (争点) 早期発見・早期治療を怠った医師の過失の有無 (事案) X(事故当時生後1ヶ月)は出産予定日よりも72日早い昭和39年6月19日に出生した未熟児(生下時体重1510グラム)であったため、出生当日の午後1時30分、Y社会福祉...

2019年2月 7日
選択の視点【No.376、377】

今回は投与薬剤の副作用に関して病院側の責任が認められた判決を2件ご紹介します。 No.376の事案では、患者側は、患者の疾患(尖圭コンジローマ)に対する電気焼灼によりその部位の皮膚は一種の火傷状態になっていたのであるから、副作用の強い軟膏を使用すべきでなかったとも主張しましたが、裁判所は、患者の疾患...

2019年2月 7日
No.377 「脳内血腫吸引手術後に患者が死亡。医師が、抗菌薬(クラフォラン、ペントシリン)の投与による偽膜性腸炎の発生を疑わず、抗菌薬バンコマイシンの投与をせずに、止瀉剤ロペミンの投与を継続したとして医師の過失を認めた地裁判決」

広島地方裁判所平成9年11月19日判決 判例タイムズ994号 224頁 (争点) 患者が死亡に至った機序及び死因 患者の担当医師が偽膜性腸炎に対する適切な治療を行わなかった過失の有無 (事案) 平成3年3月2日(以下、平成3年における月日の表記において年を省略する)午前11時ころ、A(当時64歳の男...

2019年2月 7日
No.376 「電気焼灼手術を受けた患者が、軟膏(ピリミジン拮抗性抗腫瘍剤)の副作用で潰瘍が広がり後遺症が残る。主治医の投与の方法が不適切とした地裁判決」

名古屋地方裁判所平成5年3月24日判決 判例タイムズ846号237頁 (争点) 軟膏の使用に関する医師の注意義務違反の有無 (事案) 昭和62年12月23日、X1(女性・会社員)はY1医療法人が経営する病院(以下、「Y病院」という。)に来院し、尖圭コンジローマ(以下、「本件疾患」という。)の治療のた...

2019年1月10日
選択の視点【No.374、375】

今回は、手術に伴う麻酔に関して病院側の責任が認められた事案を2件ご紹介します。 No.374の事案では、患者遺族は、小児骨折について医師が観血的手術選択した点も過誤である旨主張しました。しかし、裁判所は、左前腕橈骨尺骨の二本が骨端において完全骨折したもので、骨端骨折には速やかな整復が求められること、...

2019年1月10日
No.375 「子宮筋腫手術の前後に発症した脊髄クモ膜下出血により半身不随となった事故につき、麻酔科医に手術中止を申し出るべき義務違反を認めた地裁判決」

名古屋地方裁判所平成7年8月28日判決 判例タイムズ919号220頁 (争点) 麻酔科医の注意義務違反の有無 A医師の過失とXの後遺症との間の相当因果関係の有無 (事案) 昭和57年、X(昭和5年生まれの女性)は、A産婦人科で受診し、子宮筋腫との診断を受けたもののそのまま放置していたが、昭和59年1...

2019年1月10日
No.374 「骨折治療のため観血的整復手術を受けた女児が、局所麻酔薬中毒を原因とする全身痙攣による酸素供給不足が原因となって死亡。麻酔薬投与と全身痙攣発症後の処置につき医師の過失を認めた地裁判決」

静岡地方裁判所富士支部平成元年1月20日判決 判例タイムズ704号252頁 (争点) 局所麻酔薬の投与等についての過失の有無 全身痙攣発症後の処置についての過失の有無 (事案) A(事故当時小学校5年生・11歳の女児)は昭和60年6月15日午後3時30分頃(以下、特別の記載のない限り同日のこととする...

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