医療判決紹介:最新記事

選択のポイント【No.502、503】

今回は、骨折の治療に関して医師の責任が認められた判決を2件ご紹介します。

No.502の事案では、医師は、阻血回避処置のうち、固定の中止や筋膜切開については、固定を続けた場合に比べて骨の癒合が悪くなるから、フォルクマン拘縮症以外の可能性がある場合には、軽々に固定をやめ筋膜切開に踏み切るべきではないと主張しました。

しかし、裁判所は、フォルクマン拘縮症は回復困難な病気であって、骨の癒合が若干不十分であるのと比べても著しい機能上、外見上の支障を残すものであるから、鑑定人の鑑定の結果にあるように仮にフォルクマン拘縮症以外の可能性がある場合であっても、阻血の症状が強い本件のような場合では、必要であれば固定をゆるめ、筋膜切開まで踏み切るべきであったというべきであると判示し、さらに、現に、被告医師自身、阻血によるフォルクマン拘縮症を回避するため、骨が曲がってしまっても構わないから石膏を外すなどの処置をとることも通常行うと供述し、フォルクマン拘縮症の予防を骨の癒合に優先させることを認めていると指摘して、被告の主張を採用しませんでした。

No.503の事案では、一審の岐阜地裁多治見支部昭和63年12月23日判決が掲載された判例タイムズ686号147頁の解説及び控訴審が掲載された判例時報1376号69頁の解説も参照しました。

No.503は交通事故と医療過誤が競合しており、交通事故の加害者側から医師側に対する求償金請求の事案です。

裁判所は、交通事故の被害者の治療にあたった医師が過失によって損害を拡大させたと認められるときは、医師の過失と相当因果関係のない損害については賠償責任を負わないが、それ以外の損害については、加害者が与えたのか医師が与えたのか不明なものを含めて、加害者と共同不法行為の関係にあるものとして、加害者とともに連帯(不真正連帯)して賠償責任を負うとしました。

そして、加害者と医師との間の負担部分は、当該損害の発生に寄与した割合によって定まり、自己の負担部分を超えて被害者に損害賠償をした者は、負担部分を超える部分について、他の者に求償することができると判示しました。

両事案とも実務の参考になるかと存じます。

カテゴリ: 2024年5月10日
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