医療判決紹介:最新記事

選択のポイント【No.488、489】

今回は、造設手術に関連して、病院側の責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。

No.488の事案では、病院側は、患者のストーマの陥没は、造設手術後、患者の体重が51kgから53kgに増加したことや、患者の老齢化による体型の変化による旨主張しました。しかし、裁判所は、造設手術後に患者の診療を行った大学病院医師の証言や文献記載に照らし、仮に患者に突出型ストーマが造設されていたとすれば、少なくとも2kg程度の体重の変化等によってストーマが陥没するような事態は防ぎ得たと判示して、病院側の主張を採用しませんでした。

No.489の事案では、胃瘻を造設することの利害得失についての説明義務違反の有無も争点となりました。裁判所は、患者に認知症の症状が認められ、意思の連携がとりづらかったことから、医師が説明義務を果たすにあたっては、患者の家族である夫又は子に対して説明すれば足りると判示し、医師が、食事が取れないと体力が衰弱するので、入院による中心静脈栄養又は経鼻経管栄養を説明し勧めたが、患者の夫がこれを拒否したので、医師は入院せずに胃瘻を造設するPEGという手術があることを説明したと指摘しました。

原告(患者遺族)は、胃瘻を造設すれば、ある程度の延命は期待できるが経口摂取できない状態になりQOLの低下を招くこと、胃瘻を造設しなければ、栄養状態が悪い状態が続くことになるがQOLを維持できる経口摂取ができる状態に回復する可能性が残ることを説明すべきだった旨主張しました。しかし、裁判所は、胃瘻を造設したとしても、1週間近く経過して安定すれば経口摂取も可能になるから、QOLの低下を招くことはないと判示して、原告の主張を採用しませんでした。

両事案とも実務の参考になるかと存じます。

カテゴリ: 2023年10月10日
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