医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.186、187】

今回は、出産に関連して医師の責任が否定された判決を2件ご紹介します。

No.186の事案では、本文でご紹介した争点に加え、遺族からは、経膣分娩の実施にあたり、頚管切開を行ったことが多量の出血を生じた原因であり、止血措置を講じなかったという主張もなされましたが、裁判所は、行政解剖の結果によっても、頚管切開を行ったことが患者の出血状態を増悪させ、死亡させる危険を高めたとはいえないとして、遺族の主張を採用しませんでした。

No.187の事案では、クリステレル圧出法と子宮脱発生との因果関係について、一審裁判所はこれを否定したのに対し、控訴審は完全に否定することはできないと判示をしました。しかし、手技の適応があり、手技上の過失も説明義務違反もないとして、患者の請求を認めませんでした。

両事案とも実務の参考になろうかと存じます。

カテゴリ: 2011年3月 9日
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