医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.328、329】

今回は、術後管理について病院側の責任が認められた事案を2件ご紹介いたします。

No.328の事案では、遺族は、執刀医が患者の膵実質もしくは膵内胆管を傷つけたとも主張しましたが、裁判所は、これを認めるに足る証拠はないとし、さらに、執刀医が膵の表面を傷つけた事実は認められるが、本件のような胆石、総胆管結石の手術に際し膵を傷つけることはままあることであり、その場合も縫合等適切な処置を行えば、それ自体が特別の事態を惹起することはないと判示して、本件においても執刀医は膵表面を傷つけた後その縫合を行っているから処置自体に過誤はないと判断しました。

No.329の事案では、看護記録につき、裁判所は「医療従事者である看護師によって看護行為の過程で規則的、経時的に作成されるものであるから、それが後日改変されたと認められる特段の事情がない限り、その内容どおりの事実があったと認めるのが相当である。」と判示した上で、本件において、「K看護師長は、本件手術の約3日後に、O看護師らが当初作成してT病院に緊急搬送した際に引き継いだ看護記録のうち午後1時28分から午後4時45分の間の空白部分に加筆するとともに、午後5時05分以降の部分に自己の体験内容等を補充して浄書していることが認められる。しかし、Kが加筆・補充した部分は、医療事故後に加筆・補充したもので、その真実性には疑問があるから、Kが加筆・補充した部分を採用することはできない」として、診療経過のうち当事者間に争いがある部分については、原則としてOらが当初作成した看護記録の記載内容に基づいて認定するのが相当と判断しました。

両事案とも実務の参考になろうかと存じます。

カテゴリ: 2017年2月10日
ページの先頭へ