医療判決紹介:最新記事

2021年の記事一覧

2021年12月10日
選択の視点【No.444、445】

今回は、手術後の縫合不全に対する術後管理上の過失から患者が死亡し、病院側の損害賠償責任が認められた事案を2件ご紹介します。 No.444の事案では、病院側は十二指腸盲端部の縫合不全を否定しました。 しかし、裁判所は、患者の解剖の結果によっても、十二指腸盲端部に糸のほつれといった明らかな縫合不全は認め...

2021年12月10日
No.445「進行胃癌のため胃亜全摘術を受けた患者が、縫合不全により発生した腹腔内膿瘍の縮小が遅延し残胃穿孔が生じ、腹腔内出血を起こして死亡。医師の術後管理上の過失を認めた地裁判決」

広島地方裁判所平成9年5月29日判決 判例タイムズ953号229頁 (争点) 1 縫合不全・腹腔内膿瘍への対策に関する過失 (1) 経口摂取の継続について (2) 留置ドレーンの選択及びドレーンの留置時期について 2 病院の術後管理の過失と患者の死亡との因果関係 ※以下、原告を◇、被告を△と表記す...

2021年12月10日
No.444「胃・十二指腸潰瘍の手術後、患者が汎発性腹膜炎のため死亡。縫合不全による腹膜炎に対する処置を怠った医師の過失を認めた地裁判決」

岐阜地方裁判所大垣支部平成2年7月16日判決 判例時報1368号114頁 (争点) 医師の過失の有無 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) 昭和60年9月15日、午前0時過ぎころ、A(当時27歳の男性・鉄道会社勤務)は、上腹部痛のため、△医師が開設する病院(以下、「△病院」という。)を受...

2021年11月11日
選択の視点【No.442、443】

今回は、薬剤の投与に関連して、医師の過失が認められた事案を2件ご紹介いたします。 No.442の判例紹介にあたり、一審判決(広島地裁平成2年10月9日判決・判例タイムズ750号221頁)も参考にしました。 No.442の事案では、一審判決と控訴審判決とで、過失の内容についての裁判所の判断が変わりまし...

2021年11月11日
No.443「手術後せん妄を発症した患者に国立大学病院の研修医がドルミカムを投与し、患者がいわゆる植物状態に陥る。ドルミカムの用法及び用量、投与前における心肺蘇生処置の準備並びに投与後の心肺蘇生処置の実施につき過失を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成16年4月27日判決 判例タイムズ1211号  214頁 (争点) ドルミカムの投与量、投与方法等に関する過失の有無 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇1(平成10年9月当時79歳の男性、中華人民共和国で生まれ、台湾に渡り、昭和27年に来日し、日本での永住許可を受...

2021年11月11日
No.442「酸性鎮痛剤(ボルタレン)によるアナフィラキシーショックにより、入院患者が死亡。アスピリン喘息の疑いのある患者に対して安易に酸性解熱鎮痛剤を投与した医師の過失を認めた高裁判決」

広島高等裁判所平成4年3月26日判決 判例タイムズ786号221頁 (争点) ボルタレン使用についての注意義務違反の有無 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(昭和15年生。死亡当時42歳の女性)は、昭和54年春ころより痰を伴う咳が出現し、特に呼吸困難を伴うようになったため、同年12...

2021年10月 8日
選択の視点【No.440、441】

今回は、患者の容態が急変して死亡した事例において、医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.440の事案では、患者遺族は患者を救急センターに搬送する前に、開業医の医師自ら気管内挿管による気道確保の措置をとるべきであったとも主張し、証人も遺族の主張に沿う供述をしました。 この点につき、裁...

2021年10月 8日
No.441「頭痛等を訴えて来院した患者を帰宅させ、数日後、患者が意識を失い、くも膜下出血と診断されその後死亡。くも膜下出血の発症を看過した医師に問診義務違反及びCT撮影が可能な病院への転医義務違反を認めた地裁判決」

大阪地方裁判所平成15年10月29日判決 判例時報1879号86頁 (争点) くも膜下出血の発症を看過した医師の注意義務違反(過失)の有無 ※以下、原告3名のうち患者の妻を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(受診時50歳の男性・営業職)は、平成8年9月4日午前2時ころ、飲酒して帰宅し、翌9月5日...

2021年10月 8日
No.440「患者が急性喉頭浮腫による急性呼吸不全により死亡。医師に、バイタルサインの把握を怠り、呼吸障害の重症度及び緊急度の判断を的確に行わず、救急センターへの搬送においても気道確保の準備や付添介助を怠った過失を認めた地裁判決」

静岡地方裁判所沼津支部平成5年12月1日判決 判例時報1510号  144頁 (争点) 診察行為における医師の注意義務違反(過失)の有無 ※以下、原告3名のうち患者の妻を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(当時44歳の男性・工場長)は、昭和61年5月8日午後5時半頃、3日前から37度程度の発熱が...

2021年9月10日
選択の視点【No.438、439】

今回は、分娩方法の選択に関連して医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介いたします。 No.438の事案で、病院側は、分娩方法選択は医師の裁量の範囲内にあると主張しました。これに対し、裁判所は、もとより、複雑な分娩機序と分娩の個別性にかんがみれば、一般論としては、産科医が分娩方法として帝王切開術を選...

2021年9月10日
No.439「重度新生児仮死の状態で出生し、重度の脳障害を負ったことにつき、当直医師・助産師に分娩監視義務違反および当直医師に帝王切開手術を施行しなかった過失を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成16年3月12日判決 判例タイムズ1212号245頁 (争点) 分娩監視義務違反の有無 分娩方法及び時期の選択における過失の有無 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇2は平成6年9月に懐胎し、同月22日、A大学医学部附属病院を受診し、同病院医師から、分娩予定日が平成...

2021年9月10日
No.438「巨大児を経膣分娩させ、肩甲難産の結果左腕に麻痺が残る。国立病院の医師に、分娩方法の選択を誤った過失があるとした高裁判決」

広島高等裁判所松江支部平成4年12月11日判決 判例時報1486号73頁 (争点) 胎児娩出術施行上の過失の有無 分娩方法選択の過失の有無 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) 昭和59年5月ころ、Bは第一子である◇を懐妊し、同年7月11日より、M医師の、昭和60年1月24日からは帰郷分...

2021年8月 6日
選択の視点【No.436、437】

今回は手術における医師手技等が争点となった裁判例を2件ご紹介します。 No.436の事案では、病院側は、骨折部の骨接合手術(本件手術)と患者の左尺骨神経の断裂との間には因果関係がない旨主張しました。しかし、裁判所は、患者の左尺骨神経麻痺は手術後、知覚脱失となるほどに増悪し、その後の転院後間もなく行わ...

2021年8月 6日
No.437「変形性頸椎症の患者が神経根減圧開窓術及び椎弓形成術を受け、脊髄損傷による後遺症を負ったことにつき、医師らの手術手技上の過失は否定したが医師らの説明義務違反を認めた地裁判決を維持した高裁判決」

東京高等裁判所平成28年9月7日判決 医療判例解説67号(2017年4月号)87頁 (争点) 医師らの説明義務違反の有無 医師らの手技上の過失の有無 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(昭和19年生まれの男性・財団法人の嘱託として勤務していた)は、平成7年ころから、右上肢の脱力感が...

2021年8月 6日
No.436「高校生が自転車転倒事故で左上腕骨顆上骨折をし、骨接合手術を受けたが手術時に尺骨神経を損傷し、手術部に感染症を発症し、後遺障害が残った。主治医兼執刀医の過失を認めた地裁判決」

福岡地方裁判所平成5年5月27日判決 判例タイムズ857号220頁 (争点) 患者の左尺骨神経の断裂に関する執刀医(主治医)の過失の有無 患者の骨折部の感染症発生に関する主治医(執刀医)の過失の有無 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(事故当時高校生...

2021年7月 9日
選択の視点【No.434、435】

今回は、医師が診断を誤り、患者が死亡した事案を2件ご紹介いたします。 No.434の事案では、医師側は、患者が転院する以前に、前医において急性膵炎を疑診(又は診断)することが可能であり、患者の急性膵炎は前医において診断し、治療すべきであったにもかかわらず、前医は急性膵炎を全く疑っておらず、その責任は...

2021年7月 9日
No.435「入院中の患児が死亡したのは、市立病院の医師が喘息性気管支炎と誤診して、低酸素血症罹患を看過し、適切な検査及び治療を実施しなかった過失によるとした地裁判決を維持した高裁判決」

札幌高等裁判所平成15年4月17日判決 判例タイムズ1168号244頁 (争点) 患者の死亡原因 患者が低酸素血症に罹患していることを疑診しなかった医師の過失の有無 (事案) 平成5年4月27日、AはY市が開設管理する病院(以下、「Y病院」という。)において出生し、その後もY病院において検診を受けて...

2021年7月 9日
No.434「患者が急性出血性膵炎で死亡。医師が重症急性膵炎と疑診せず、必要な治療をしなかった過失があるとした地裁判決」

東京地方裁判所平成5年6月14日判決 判例時報1498号89頁 (争点) 患者が急性膵炎であると疑診又は診断することの可能性 医師の過失と患者の死亡との因果関係の有無 (事案) A(当時32歳の男性、某会社技術部勤務)は、昭和62年8月27日午前10時ころから、腹痛を感じ、当夜勤務先で宿直業務に...

2021年6月10日
選択の視点【No.432、433】

今回は、歯科医師の責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.432の事案では、死亡した女児の慰謝料(1000万円)の算定に関して、裁判所は、「およそ死に至るとは夢想だにしない歯科治療の場で、付き添って来ていた母親からドア越しでは声もかけて貰えずに生命を絶たれ、しかも、抜歯の際に生じうる窒息死...

2021年6月10日
No.433 「フルマウスリハビリテーション術について歯科医師の説明義務違反を認めた地裁判決」

東京地裁平成12年12月8日 判例タイムズ1108号225頁 (争点) 治療方法選択の誤りの有無 説明義務違反の有無 (事案) X(女性)は、平成4年5月1日、数年前から顕著になってきた下顎中切歯(前歯の中心に位置する2本の切歯)間の隙間などについて審美的改善を行いたいと考え、Y歯科医院において歯科...

2021年6月10日
No.432 「4歳児の抜歯した乳歯が口内に落ち、歯科医師が小児の上半身を起こし背中をたたき、小児が窒息により死亡。異物落下時の対処に関する歯科医師の注意義務違反を認めた地裁判決」

浦和地方裁判所熊谷支部平成2年9月25日判決 判例タイムズ738号151頁 (争点) 歯科医師の注意義務違反の有無 過失相殺をすべきか否か (事案) 昭和61年8月21日、A(当時4歳の女児)は歯科医師Y1の経営する歯科医院(以下、「Y医院」という。)に母親X2に付添われて訪れた。 Y医院に勤務する...

2021年5月10日
選択の視点【No.430、431】

今回はカテーテルを用いた治療に関する医師の過失が認められた判決を2件ご紹介いたします。 No.430の事案では、手術を見学していた患者の主治医(研修医)が、問題となった2回目の閉塞試験につき、左椎骨動脈の後下小脳動脈との分岐部より遠位で実施されたとの記載をカルテにしていました。この点に関して、当該主...

2021年5月10日
No.431 「腹膜透析用カテーテルの留置位置が異常のまま腹膜透析を行い、患者が大腿神経、陰部大腿神経又は坐骨大腿神経を損傷したことにつき、医師の過失が認められた事案」

大阪地方裁判所令和元年9月25日判決 医療判例解説2020年12月号(第89号)104頁 (争点) 医師に透析液(平成25年9月10日の透析液)を注入してはならない注意義務があったか否か 医師の過失と患者に生じた神経損傷などの後遺障害との因果関係 (事案) X(平成25年9月当時55歳の男性・喫茶店...

2021年5月10日
No.430 「大学病院でのバルーン塞栓術の前に実施した閉塞試験を誤った位置で実施したため、患者が解離性脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血を発症し死亡したことにつき、医師に過失があるとされた事案」

大津地方裁判所平成13年11月26日判決 判例タイムズ1092号 246頁 (争点) バルーン塞栓術における医師の過失の有無 (事案) 平成2年11月、A(当時52歳の男性会社員)は、会議中にめまいを起こし、その後の帰宅途中に、左後頭部痛やめまいを起こし、起立不能となり、国が管理運営するY医科大学...

2021年4月15日
選択の視点【No.428、429】

今回は帝王切開後に新生児が死亡した事案で、分娩時の観察・監視につき病院側の過失が認められた裁判例を2件ご紹介いたします。 No.428の事案では、産婦に発症した常位胎盤早期剥離の原因についても争点となり、遺族は陣痛促進剤(シントシノン)の利用による過強陣痛の発生によるものだと主張し、病院側は産婦のエ...

2021年4月15日
No.429 「帝王切開による分娩を行ったが、仮死状態で生まれた児がその後低酸素性脳症を原因とする肺炎により死亡。産婦人科を開設する医師に経過観察義務違反を認めた地裁判決」

神戸地方裁判所平成15年9月30日判決 判例タイムズ1211号 233頁 (争点) 経過観察義務違反の有無 (事案) X1(新生児Kの母)は、平成7年9月25日、妊娠の徴候を感じたため、Y医師の開設する産婦人科(以下、「Y病院」という。)で診察を受けたところ、妊娠が確認され、分娩予定日が平成8年5月...

2021年4月15日
No.428 「帝王切開により娩出された新生児が常位胎盤早期剥離による出生時仮死から低酸素性虚血性脳症により死亡。病院の助産師らに分娩監視義務違反の過失を認めた地裁判決」

大阪地方裁判所堺支部平成11年 8月25日判決 判例タイムズ1042号 199頁 (争点) 分娩監視等に不適切な点があったか否か (事案) X1(新生児Hの母)は、平成5年9月28日、M病院で診察を受け、妊娠していること、出産予定日は平成6年5月15日である旨診断された。以後、X1は、M病院で診察を...

2021年3月10日
選択の視点【No.426、427】

今回は、いわゆる期待権侵害を理由とする慰謝料の請求が認められた事案を2件ご紹介します。 最高裁判所平成12年9月22日第二小法廷判決は、「医師の過失と患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されなけれども、その過失がなかったならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性が認められる...

2021年3月10日
No.427 「患者が出産後に大量出血を起こし死亡。市立病院の医師に輸血管理の過失を認めたが、過失と死亡との因果関係を否定し、期待権侵害の慰謝料を認めた地裁判決」

名古屋地方裁判所平成17年4月14日判決 判例タイムズ1229号297頁 (争点) 医師の過失の有無 医師の過失と患者の死亡との間の因果関係の有無 (事案) 患者A(死亡当時33歳の女性)は平成8年1月24日14時55分(以下、いずれも平成8年1月の出来事であり、時間だけを記載したものは同月24日の...

2021年3月10日
No.426 「重症急性膵炎の患者が死亡したことにつき、医師に転院義務違反及び説明義務違反の過失があるとし、過失と患者死亡との間の因果関係は否定したが、期待権侵害を理由とする慰謝料請求を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成16年3月25日判決 判例タイムズ1163号275頁 (争点) 保存療法の実施と過失の有無 特殊療法の要否と過失の有無 過失と死亡との間の相当因果関係の有無 期待権侵害の有無 (事案) 平成9年5月25日(日曜日)午前6時ころ、A(身長166cm、体重80kgの50歳男性)は朝食後...

2021年2月10日
選択の視点【No.424、425】

今回は、気管内挿管や気管切開に関連して、医師の過失が認められた事案を2件ご紹介します。 No.424の事案で、病院側は、患者の病態急変(呼吸困難で喉頭部の浮腫のために気管内挿管が困難な状態)が夜間の外来で突然起こったものであり、当直医のほかには、看護師しかいないという状況や、気管切開に伴う出血などの...

2021年2月10日
No.425 「乳児の気管切開後、呼吸回路機器と他社の呼吸補助用具を接続したところ、回路が閉塞して乳児が換気不全に陥り死亡。2社の製造物責任と都立病院の医師に回路閉塞の点検を怠った過失が認められた事案」

東京地方裁判所平成15年3月20日判決 判例タイムズ1133号97頁 (争点) 製造物責任の有無 医師に回路閉塞の点検を怠った過失があったか否か (事案) A(生後3ヶ月)は平成12年12月に体重1645グラムで出生し、出生後呼吸障害が診られたため東京都(Y1)が設置・運営管理する病院(以下、「Y病...

2021年2月10日
No.424 「急性喉頭蓋炎により病態が急変し、患者が窒息死。当直医に気管穿刺または気管切開の措置を採らなかった過失及び食道へ誤挿管して挿管後の確認を怠った過失を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成14年3月18日判決 判例タイムズ1139号207頁 (争点) 患者の急変の原因及び初診時の予見可能性 急変後の措置に関する過失の有無 医師らの過失と患者の死亡との間の相当因果関係の有無 (事案) A(死亡当時59歳の男性)は、平成9年8月6日、喉の痛みを訴えSクリニックの医師の診...

2021年1月 8日
選択の視点【No.422、423】

今回は、乳がんの診断・治療に関して病院側の過失が認められた事例を2件ご紹介します。 No.422の事案では、裁判所は、担当医師が骨転移のみを念頭におき、他の再発型式を全く考えず、骨シンチの結果により骨転移が否定されると過育症を疑い、胸部の腫瘤が明らかになった時点においても生検を実施せず、約2ヶ月にわ...

2021年1月 8日
No.423 「乳がんが進行し、両乳房を全部切除するに至ったのは、医師が精密検査をすべき義務を怠ったからだとして、病院側に損害賠償を命じた地裁判決」

千葉地方裁判所平成22年10月29日判決 ウェストロー・ジャパン (争点) 本件診察において精密検査をすべき義務を怠った医師の過失の有無 (事案) X(本件第1回診察時53歳の女性)は、平成14年末ころから右乳房のしこりが気になったため、平成15年1月14日Y医療法人の開設する病院(以下、「Y病院」...

2021年1月 8日
No.422 「乳がんが再発した患者が死亡。再発の発見が遅れた医師の過失があるとして、病院側に延命利益の喪失による慰謝料の支払いを命じた地裁判決」

東京地方裁判所平成8年10月21日判決 判例タイムズ939号210頁 (争点) 病院医師らに、乳がんの再発を発見するのが遅れた過失があったか否か 因果関係の有無 (事案) A(昭和19年生まれの女性、死亡時48歳)は、昭和60年1月17日、勤務先の定期検診で右乳房にしこりがある旨指摘され、同年2月2...

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