医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.218、219】

今回は入院患者に褥瘡が発症したことについて、病院側の責任が認められた判決と否定された判決を1件ずつご紹介します。

No.218の事案は、一審では2時間ごとの体位変換を行ったとする病院側の主張が採用されて患者の請求が棄却されましたが、控訴審では、看護記録に2時間ごとの体位変換の記載が無いことなどを理由に病院側の主張が排斥されて、病院側の損害賠償責任が認められました。

No.219の事案では、病院側は体位交換の実施の有無は看護記録に記載することを要しない取り扱いをしていました。同一の勤務時間帯の中では、同一の看護師が同一の患者の体位交換を担当するため、体位交換の実施の有無を特に記載する必要がなく、担当看護師が代わる場合でも、看護師同士で体位交換の実施状況について申し送りをするので、看護記録に記載しなくとも業務に支障を来すようなことはないとの考えによるものです。

ただ、この事案では、患者が重篤な呼吸不全状態にあったため、生命保持を優先した結果、2時間ごとの体位交換ができなかったとしても医療機関としての義務違反には当たらないとの判断がなされました。

両事案とも実務の参考になろうかと存じます。

カテゴリ: 2012年7月 5日
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