医療判決紹介:最新記事

選択の視点【No.334、335】

今回は、熱射病に罹患した高校生がその後死亡した事案で、病院側の責任が認められた判決を2件ご紹介します。

No.334の事案では、死亡した高校生の父親が医師であり、本人も全国有数の進学校の理数科に進学していたという家庭環境や資質から、将来医者となる蓋然性は高かったとして、遺族は逸失利益の算定にあたり、医師の平均年収を基礎に計算すべきと主張しました。しかし、裁判所は、蓋然性が極めて高いとまでは言えず、将来医師となる可能性については慰謝料において斟酌されるべきとして、逸失利益の算定にあたっては、四年制大学の卒業者を基礎に計算すべきとしました。

No.335の事案では、遺族は、学校健康センターから死亡見舞金2500万円の支給を受けました。裁判所は、同センターが給付の限度において、遺族が病院側に対して有する損害賠償請求権を取得することから、これは、損害の一部の填補にあたるとして、損益相殺(損害賠償額から控除)しました。

両事案とも実務の参考になろうかと存じます。

カテゴリ: 2017年5月16日
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