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選択の視点【No.234、235】

今回は、仮死状態に陥った新生児につき、分娩時の医師の過失が認められた事案を2件ご紹介します。

No.234の事案で、吸引分娩の開始時期について、病院側は分娩当日の午前7時50分ころから直ちに吸引分娩に取りかかり、5、6回ほど吸引分娩を行い、最後の2回が滑脱したため、午前8時15分ころに鉗子分娩に切り替えたとの主張をしました。しかし、裁判所は、カルテの「8時15分 吸引分娩施行 2回滑脱+」という記載からは、午前7時50分ころから吸引分娩に取りかかったとは読み取れないことなどを理由に、病院側の主張を採用せず、午前8時10分すぎころから吸引分娩に取りかかり、2回吸引したところ、2回とも滑脱したため監視分娩に切り替えたと認定しました。

No.235の事案では、分娩当日の午前4時15分から25分頃、分娩監視装置にノイズが入り、上下に大きく振れて、正確な胎児心拍数が明確になっていませんでした。
 この点について、裁判所はY2医師には午前4時20分頃分娩監視装置で高度変動一過性徐脈、胎児仮死を看過すべきでないという注意義務違反も認めることができると判示しています。

両事案とも実務の参考になろうかと存じます。

カテゴリ: 2013年3月11日
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