医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2020年1月10日
No.399 「脳腫瘍切除術中に内頸動脈から出血が生じ、患者に脳梗塞並びに左片麻痺と失語の症状が生じた。大学病院の執刀医に、内頸動脈付近まで手術を行った過失を認めた事案」

神戸地方裁判所平成19年8月31日判決 判例時報2015号104頁 (争点) 内頸動脈付近まで手術を行った過失の有無 (事案) X(昭和15年生まれの専業主婦)は、平成10年4月ころから、頭痛やめまいが生じており、同年5月初旬には歩行障害が生じるようになっていた。 そこで、Xは、同年5月27日、Yが...

2020年1月10日
No.398 「右腎臓摘出手術を受けた患者が術後、大量出血により死亡したのは、執刀医師による腎動脈の結紮が不十分であったことによるものとして病院側に損害賠償を命じた判決」

東京地方裁判所平成14年9月30日判決 判例タイムズ1135号242頁 (争点) Aの死因とその原因について Yの責任の有無 (事案) 平成9年2月25日、A(死亡当時76歳の男性・保険会社代理店店主及び太極拳の指導員)は、J医師の紹介により、Yの開設する病院(以下「Y病院」という)泌尿器科外来を受...

2019年12月10日
選択の視点【No.396、397】

今回は転院・他科の紹介に関する医師の過失が認められた事案を2件ご紹介します。 No.396の事案では、患者が総合病院で最初に受診した脳神経外科の医師が、患者は同病院の耳鼻咽喉科で受診することを望まなかった旨の供述をしましたが、裁判所は、医師の供述はそれ自体不自然であり、患者が翌日自らの意思で同病院の...

2019年12月10日
No.397 「頚髄髄内出血患者が転送後の病院で血腫摘出手術を受けたが、四肢麻痺の後遺障害が残る。医師に転送義務を怠った過失を認めた地裁判決」

山口地方裁判所岩国支部平成15年3月31日判決 判例タイムズ1157号242頁 (争点) 転送義務を怠った過失の有無 (事案) X(平成6年10月当時29歳の男性)は、平成6年8月上旬ころから、頚の後部の痛みや右手の親指と人差し指の指先の部分にしびれ感を覚えるようになり、そのしびれ感が増進するのを自...

2019年12月10日
No.396 「蝶形洞のう胞に罹患した患者が脳神経外科を受診したが、2か月後に左眼失明。総合病院の脳神経外科医師が患者を耳鼻咽喉科に紹介し、診察資料を提供して適切な診療を依頼すべき義務を怠ったとして病院側に損害賠償を命じた地裁判決」

浦和地方裁判所平成4年3月2日判決 判例タイムズ781号196頁 (争点) Y病院の過失の有無 損害額 (事案) X(昭和21年生まれの男性。鍼灸・マッサージ・指圧の業務に従事。鍼灸院を開設。)は16歳のころ、副鼻腔炎を患い、病院に入院して手術を受けたことがあるが、ほかにはこれというほどの病歴はなく...

2019年11月11日
選択の視点【No.394、395】

今回は、入院中の患者に対する経過観察を怠った過失が認定された裁判例を2件ご紹介します。 No.394の紹介に当たっては、一審判決(浦和地方裁判所昭和59年10月31日判決 判例タイムズ545号241頁)も参考にしました。 No.394の事案では、医師は、患者には当時、右足関節脱臼骨折の外に、より重篤...

2019年11月11日
No.395 「発作性心房細動及び急性心不全で入院中の患者につき、担当医師が血糖値の結果を見落として経過観察を怠った過失により患者を高次脳機能障害に至らせたとして、病院側に損害賠償を命じた地裁判決」

大阪地方裁判所平成17年4月22日判決 判例時報1932号 107頁 (争点) 医師の過失の有無 後遺症の発生と医師の過失との因果関係の有無 (事案) X(平成12年3月10日当時73歳の男性・同日まで内科の開業医として稼働していた)は、平成9年12月中旬、上気道炎を患った後、労作時の呼吸困難や動悸...

2019年11月11日
No.394 「転倒して右足関節脱臼骨折した高齢者に保存療法を実施したが機能障害が生じる。レントゲン撮影による適切な経過観察を怠った過失を認めた高裁判決」

東京高等裁判所平成元年12月13日判決 判例タイムズ729号196頁 (争点) 脱臼骨折部位を徒手整復した上で整復部を保持し転位が生じないように患部を十分に固定すべき義務に違反した過失の有無 レントゲン撮影による経過観察を行い、その結果判明した症状に対応した治療を実施すべき義務に違反した過失 (事案...

2019年10月10日
選択の視点【No.392、393】

今回は、予防接種に関して接種担当医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.392の事案では、担当医師は、本件予防接種に関して具体的な記憶がないとしたうえで、本件予防接種当時はいつも、問診票を見て、保護者に質問をし、被接種者全員に対し、聴診器を用いた聴診、舌圧子を用いてのどの視診をし、被...

2019年10月10日
No.393 「インフルエンザワクチンの予防接種を受けた女児に後遺症が発生。接種担当医師に問診義務違反を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成13年5月24日判決 判例タイムズ1127号224頁 (争点) 予防接種とX1の本件症状との間の因果関係の有無 予防接種を担当した医師につき、国家賠償法上過失があるか否か (事案) A小学校6年在学のX1(X2およびX3の長女)は、昭和58年11月8日(以下、「本件第1回予防接種」...

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