医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2020年9月10日
No.415 「ショートステイ利用者が付き添いなしに口腔ケアを行った際に、転倒して右大腿骨頸部を骨折し、その約半年後、誤嚥性肺炎により死亡。介護事業者に安全配慮義務違反があったとしつつ、死亡との因果関係は否定し、骨折の治療費等や慰謝料の損害賠償を命じた地裁判決」

さいたま地方裁判所平成30年6月27日判決 判例時報2419号56頁 (争点) 安全配慮義務違反の有無 転倒事故と死亡との間の相当因果関係の有無 (事案) 平成20年11月23日、A(昭和25年生まれ・男性・加工会社勤務)は、脳内出血により右完全片麻痺が出現し、平成21年1月15日から同年6月9日ま...

2020年9月10日
No.414 「大学病院医師が、交通事故により負傷した患者に抜釘術を行う際、内側足底神経を刺激ないし損傷した過失があるとして、患者の精神的苦痛との間の因果関係を認め、交通事故との共同不法行為は否定した地裁判決」

東京地方裁判所平成19年9月27日判決 ウエストロー・ジャパン (争点) 医師の過失の有無 医師の過失と患者の損害との間の相当因果関係の有無 交通事故と医療過誤との共同不法行為の有無 (事案) 平成8年12月25日午後3時10分ころ、X(事故当時54歳)が横断歩道を青信号に従...

2020年8月 6日
選択の視点【No.412、413】

今回は定期健康診断での過失により患者に生じた損害のうち、逸失利益が争点となった事例を2件ご紹介いたします。 No.412の事案では、患者(国際線パイロット)は、再就職後も67歳の定年まで1200万円の年収が確保されているとして、再就職後の減収分についても後遺症による逸失利益として請求しましたが、裁判...

2020年8月 6日
No.413 「定期健診の胸部レントゲン写真上に異常所見があったのに、別人の検査票に記入した過失により、肺癌の発見が遅れ、患者が死亡。過失がなければ平均余命まで生存できた高度の蓋然性があったとして逸失利益が算定された地裁判決」

仙台地方裁判所平成18年1月26日判決 判例時報1939号92頁  (争点) 平成14年の検査の当時、肺癌がリンパ節に転移していたかどうか(平成14年に外科的治療を受けていれば何年間生存できたかどうかが、Aの逸失利益の算定に係わる) (事案) A(家事に従事する傍ら保険の外交員として稼働・女性)は、...

2020年8月 6日
No.412 「国際線パイロットが、定期健診の大腸検査で医師の過失により大腸に穿孔が生じたことにより、会社から国際線乗務を禁止されて収入が減少。病院側に減収分の逸失利益の損害賠償が命じられた地裁判決」

神戸地方裁判所平成16年10月14日判決 判例時報1888号122頁 (争点) 医師の過失の有無 逸失利益の有無 (事案) 平成13年7月26日(以下、特別の断りのない限り同年のこととする)、X(当時51歳の男性・機長)は定期健診の一環として、Yの開設する病院(以下、「Y病院」という。)内科において...

2020年7月10日
選択の視点【No.410、411】

今回は、交通事故後の入院治療中に患者が死亡した場合に医師の過失が認められた事案を2件ご紹介いたします。 No.410の事案では、病院側(被告医療法人)は、患者遺族(原告)に対し、患者の剖検を勧めたにもかかわらず、遺族がそれを拒否したため、病院側は過失がなかったことを証明する手段を遺族らによって奪われ...

2020年7月10日
No.411 「交通事故により外傷性くも膜下出血等の傷害を負い、病院で治療を受けていた患者が急性膵炎により死亡。医師に適切な治療を怠った注意義務違反があったとして地裁判決の結論を維持した高裁判決」

福岡高等裁判所平成13年8月30日判決 判例タイムズ1131号202頁 (争点) 医師の注意義務違反の有無 (平成4年10月19日に行ったO医師の治療における過失の有無) 医師の注意義務違反と患者死亡との因果関係の有無 (事案) A(死亡当時17歳の男子高校生)は、平成4年10月7日(以下、特別の断...

2020年7月10日
No.410 「交通事故により腓骨骨折等の傷害を負った患者が、入院中の病院にて肺塞栓症により死亡。医師の診療義務違反の過失を認め、事故時の運転手と医師を雇用する医療法人との共同不法行為を認めた地裁判決」

浦和地方裁判所平成12年2月21日判決 判例タイムズ1053号188頁 (争点) 病院医師に過失があったが否か 交通事故を発生させた運転手の過失と医師の過失との間に共同不法行為が認められるか否か (事案) 平成4年3月22日(以下、特別の断りがない限り同年のこととする)、午前3時40分頃、A(27歳...

2020年6月10日
選択の視点【No.408、409】

今回は、産(婦人)科の医師の過失が認められた判決を2件ご紹介いたします。 No.408の事案では、病院側は患者(産婦)が癒着胎盤(胎盤の絨毛が子宮筋層内に侵入し、胎盤の一部または全部が子宮壁に強く癒着して、胎盤の剥離が困難なもの)ではなく、付着胎盤(胎盤が子宮壁に付着しているが、筋層との結合が密では...

2020年6月10日
No.409 「医師の血糖値測定義務違反と新生児が低酸素性虚血性脳症を発症したこととの間に因果関係を認めて、一審判決を変更し、病院側に損害賠償を命じた高裁判決」

大阪高等裁判所平成31年4月12日判決 判例タイムズ 1467号71頁 (争点) 血糖値測定義務違反と後遺症との間の因果関係の有無 (事案) X(男児)平成22年12月18日午前8時12分頃、Y医療法人の運営する産婦人科専門病院(以下、「Y医院」という。)において、自然分娩により娩出された。Y医院で...

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