医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2023年5月10日
No.478「絞扼性イレウスで患者が死亡。大学病院の医師に、直ちに開腹手術を行うべき義務違反を認めた地裁判決」

東京地方裁判所 平成18年5月31日判決 判例タイムズ1244号268頁 (争点) 開腹手術義務違反の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(死亡当時69歳の男性)は、平成15年2月13日、△学校法人が開設する△大学医学部附属△病院(以下、△病院という)において、胃癌に対する幽門...

2023年4月 7日
選択のポイント【No.476、477】

今回は、検査における医師の義務違反が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.476の事案で、裁判所は、危険発生を予見したり、結果を回避することが必ずしも確実、容易ではなく、通常期待される問診や観察義務を尽くしたとしても、その予見や結果の回避には困難を伴う本件のような場合にあっては、医師としては、...

2023年4月 7日
No.477「エコーガイド下での経皮的肝生検を受けた患者が、肺の誤穿刺により生じた脳の空気塞栓症を原因として高次脳機能障害、左片麻痺の後遺障害を負う。医師の注意義務違反を認めた地裁判決」

東京地方裁判所 令和2年1月23日判決 医療判例解説86号129頁 (争点) 肺の誤穿刺の原因 医師の注意義務違反の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇1(本件肝生検時61歳の女性。平成27年6月28日の健康診断時点で身長142.1cm、体重98.9Kg、BMIが48.9の極度...

2023年4月 7日
No.476「胃内視鏡検査の前処置として注射を受けた患者がアナフィラキシーショックで死亡。医師の問診、観察義務違反及び説明義務違反を認めた地裁判決」

福岡地方裁判所小倉支部 平成15年1月9日判決 判例タイムズ1166号198頁 (争点) 胃内視鏡検査における問診、観察義務違反及び説明義務違反の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(死亡当時23歳の会社員女性)は、平成10年1月16日、食後に心窩部痛、腹痛があるとの訴えで、△...

2023年3月10日
選択のポイント【No.474、475】

今回は、転倒事故により骨折し手術を受けた患者について、医師に骨折手術後の治療につき過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.474の事案は、原告(患者)の左足壊死の直接的かつ主要な原因とみられる前脛骨動脈及び後脛骨動脈の損傷は、原告が無免許でオートバイを運転中にマンホールの上で転倒するという...

2023年3月10日
No.475「自転車の転倒事故で右足関節を脱臼骨折した患者に、骨折手術後に右足関節の用を廃する等の後遺障害が残存。医師に骨折手術後の創部感染に対する早期の診断及び治療を怠った過失を認めた地裁判決」

名古屋地方裁判所 平成27年9月16日判決 医療判例解説61号 88頁 (争点) 骨折手術後の創部感染に対する早期の診断及び治療を怠った過失の有無 因果関係 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(事故当時45歳のT国籍男性・料理店経営)は、平成20年9月30日(以下、特段の断りのない...

2023年3月10日
No.474「交通事故による骨折で入院後、患者の左足が壊死し切断。医師に血管損傷の存在を看過した過失があるとした地裁判決」

東京地方裁判所平成4年7月31日判決 判例タイムズ804号164頁 (争点) 左足壊死の原因 医師の過失の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) 昭和55年3月6日、◇(事故当時16歳の男子高校生)は、無免許でオートバイを運転中にマンホールの上で転倒(以下、「本件事故」という。)し、...

2023年2月10日
選択のポイント【No.472、473】

今回は、肺癌治療について病院側の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.472の事案では、放射線治療による放射線脊髄症発症について病院側の過失が認められました。 その上で、損害について、裁判所は、放射線治療による癌の完治率は2割程度であり、適切な照射方法を採用した場合に、癌の再発の可能性が...

2023年2月10日
No.473「右肺の呼吸機能が不十分であったのに、治療法の適応を誤った過失により肺癌患者の左肺全部摘出手術を行った結果、患者の死期が早まったとして、慰謝料500万円が認められた地裁判決」

東京地方裁判所平成13年2月27日判決  判例タイムズ1124号241頁 (争点) 治療法の適応を誤った医師の過失により、患者の死期が早まった事案における損害算定 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(妻と成人の子がいて、仕事もしていた男性)は、平成9年7月ころ、咳の自覚症状があった...

2023年2月10日
No.472「肺癌患者に放射線治療を行ったが放射線脊髄症を発症して患者が死亡。国立病院の担当医に、脊髄への照射を回避すべき措置を怠った過失があるとした地裁判決」

東京地方裁判所平成7年9月22日判決 判例タイムズ916号192頁 (争点) 1回目及び2回目の放射線治療の方法に過失があるか否か *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(昭和7年生まれ・平成4年の死亡時60歳の女性・主婦)は、昭和59年5月22日、国(△1)の設置・経営する病院(以下...

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