医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2023年6月 9日
選択のポイント【No.480、481】

今回は、腰椎穿刺に関連して、医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.480の事案では、損害の算定にあたり、裁判所は、患者は、両下肢の不全麻痺、知覚障害と直腸膀胱障害があり、独立歩行や自力排泄が困難であって付添看護が必要な状態にあり、これらの神経障害自体の回復の可能性はほとんどないこと...

2023年6月 9日
No.481「腰椎穿刺による髄液ドレナージ施行後、患者が大後頭孔ヘルニアを惹起して死亡。医師の損害賠償責任を認めた地裁判決」

横浜地方裁判所 平成11年7月30日判決 判例タイムズ1051号293頁 (争点) 患者の死因 腰痛穿刺による髄液持続ドレナージを施行した過失の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(死亡当時大学3年生の21歳男性)は、平成7年1月25日、△医師が開設する△病院に外来し、発熱、頭...

2023年6月 9日
No.480「国立病院で、患者の血液検査結果を見落として、血友病に気づかず腰椎穿刺した結果、患者の両下肢に弛緩性対麻痺が生じた。病院医師らの過失を認めた地裁判決」

山口地方裁判所下関支部 平成6年1月24日判決 判例タイムズ844号220頁 (争点) 腰椎穿刺と弛緩性対麻痺との因果関係 血液検査結果の異常数値を見落として腰椎穿刺を実施した医師の過失の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(本件当時生後8ヶ月の男児)は、昭和63年2月11日、...

2023年5月10日
選択のポイント【No.478、479】

今回は、医師が手術を行うべき義務に違反したと認定された裁判例を2件ご紹介します。 No.478の事案で、病院側は、開腹手術自体が身体に対する侵襲である以上、腹膜刺激症状があり、CTで血行障害の所見が得られた場合などでなければ、絞扼性イレウスの疑いを理由とする開腹手術の適応は生じないなどと主張しました...

2023年5月10日
No.479「手術後に患者が敗血症(小腸絞扼性イレウスを発症して穿孔し、汎発性化膿性腹膜炎に罹患したことによる)で死亡。医師に、患者の絞扼性イレウスを疑うべきであったのに看過した過失を認めた地裁判決。」

福岡地方裁判所久留米支部 平成27年9月4日判決 第一法規法情報総合データベース (争点) 絞扼性イレウスの発症時期 医師の過失の有無 医師の過失と患者死亡との間の因果関係の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(死亡時63歳・英語塾経営の女性)は、平成21年4月6日午前9時頃か...

2023年5月10日
No.478「絞扼性イレウスで患者が死亡。大学病院の医師に、直ちに開腹手術を行うべき義務違反を認めた地裁判決」

東京地方裁判所 平成18年5月31日判決 判例タイムズ1244号268頁 (争点) 開腹手術義務違反の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(死亡当時69歳の男性)は、平成15年2月13日、△学校法人が開設する△大学医学部附属△病院(以下、△病院という)において、胃癌に対する幽門...

2023年4月 7日
選択のポイント【No.476、477】

今回は、検査における医師の義務違反が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.476の事案で、裁判所は、危険発生を予見したり、結果を回避することが必ずしも確実、容易ではなく、通常期待される問診や観察義務を尽くしたとしても、その予見や結果の回避には困難を伴う本件のような場合にあっては、医師としては、...

2023年4月 7日
No.477「エコーガイド下での経皮的肝生検を受けた患者が、肺の誤穿刺により生じた脳の空気塞栓症を原因として高次脳機能障害、左片麻痺の後遺障害を負う。医師の注意義務違反を認めた地裁判決」

東京地方裁判所 令和2年1月23日判決 医療判例解説86号129頁 (争点) 肺の誤穿刺の原因 医師の注意義務違反の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇1(本件肝生検時61歳の女性。平成27年6月28日の健康診断時点で身長142.1cm、体重98.9Kg、BMIが48.9の極度...

2023年4月 7日
No.476「胃内視鏡検査の前処置として注射を受けた患者がアナフィラキシーショックで死亡。医師の問診、観察義務違反及び説明義務違反を認めた地裁判決」

福岡地方裁判所小倉支部 平成15年1月9日判決 判例タイムズ1166号198頁 (争点) 胃内視鏡検査における問診、観察義務違反及び説明義務違反の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(死亡当時23歳の会社員女性)は、平成10年1月16日、食後に心窩部痛、腹痛があるとの訴えで、△...

2023年3月10日
選択のポイント【No.474、475】

今回は、転倒事故により骨折し手術を受けた患者について、医師に骨折手術後の治療につき過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.474の事案は、原告(患者)の左足壊死の直接的かつ主要な原因とみられる前脛骨動脈及び後脛骨動脈の損傷は、原告が無免許でオートバイを運転中にマンホールの上で転倒するという...

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