医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2023年11月10日
選択のポイント【No.490、491】

今回は、帝王切開手術の遅れに関して、病院の責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.490の事案では、帝王切開の既往のある妊婦に対する陣痛促進剤オキシトシンの投与についても、争点となりました。 そして、裁判所は、過強陣痛による子宮破裂や胎児仮死を招く危険性があることから、分娩を担当する医師は...

2023年11月10日
No.491「出生した女児に重症新生児仮死及び低酸素性虚血性脳症による脳性麻痺・体幹機能障害が発生。胎児機能不全を窺わせるCTG所見にも拘わらず、帝王切開が遅れたとして、病院の責任を認めた高裁判決」

大阪高等裁判所令和3年12月16日判決 判例時報2559号5頁 (争点) 適切な時期に帝王切開の実施を決定しなかった注意義務違反があったか否か *以下、原告及び被控訴人を◇、被告及び控訴人を△と表記する。 (事案) ◇3は、東京都内に在住していたが、里帰り出産を希望して、平成22年(以下、特に断らな...

2023年11月10日
No.490「帝王切開既往歴のある妊婦が分娩中に子宮破裂により死産。医師が夜間不在のため対応できなかったことにつき病院の債務不履行を認めた事案」

東京方裁判所平成2年3月12日判決 判例タイムズ734号210頁 (争点) △に診療義務違反があったか否か *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇1(第一子を経腟分娩ながら5時間もかかる難産、第二子は帝王切開手術により分娩。いずれも他の医院)は、昭和58年5月16日、第三子出産のため、...

2023年10月10日
選択のポイント【No.488、489】

今回は、造設手術に関連して、病院側の責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.488の事案では、病院側は、患者のストーマの陥没は、造設手術後、患者の体重が51kgから53kgに増加したことや、患者の老齢化による体型の変化による旨主張しました。しかし、裁判所は、造設手術後に患者の診療を行った大...

2023年10月10日
No.489「患者が開腹による胃瘻造設術を受けた後に死亡。医師に手術の危険性についての説明義務違反を認めた地裁判決」

千葉地方裁判所平成31年1月25日判決 医療判例解説84号32項 (争点) 患者の死因 手術の危険性について医師に説明義務違反があったか否か 医師の説明義務違反と患者の死亡との間の相当因果関係の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) △医療法人社団の開設・運営する医院(入院設備はない...

2023年10月10日
No.488「71歳患者に対し術前ストーマサイトマーキングを行わず、陥没型ストーマが造設され、自己管理が困難に。医師の過失を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成11年5月31日 判例タイムズ1009号223頁 (争点) 術前ストーマサイトマーキングを怠った医師の過失の有無 突出型ストーマを造設しなかった医師の過失の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(大正11年生まれの女性・精神科の医師)はページェット病に罹患してい...

2023年9月 8日
選択のポイント【No.486、487】

今回は、検査に関連した誤診について、医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介いたします。 No.486の事案では、病院側は、2回の診察時に子宮外妊娠の診断に必要不可欠とされているhCG検査を実施した旨主張しました。 しかし、裁判所は、2回の診察の際に作成されたカルテにはいずれもhCG検査を実施した旨...

2023年9月 8日
No.487「カテーテルアブレーション手術中に患者が急性心タンポナーデを発症しその後死亡。自然に発生した発作時における心電図を記録して心房細動を確認しないまま、心房細動と確定判断した医師の過失を認めた高裁判決」

東京高等裁判所令和2年12月10日判決 判例時報2490号11頁(原審 横浜地方裁判所横須賀支部平成30年3月26日判決) (争点) 心房細動と診断できる所見がないにもかかわらず、カテーテルアブレーション手術を実施した過失の有無 *以下、原告(控訴人)を◇、被告(被控訴人)を△と表記する。 (事案)...

2023年9月 8日
No.486「子宮外妊娠による左卵管破裂を卵巣機能不全等と誤診。誤診がなかった場合よりも過大な手術痕が残ったこと等につき、慰謝料の支払いを命じた地裁判決」

東京地方裁判所平成5年8月30日判決 判例時報1503号108頁 (争点) △2医師が、◇の症状を子宮外妊娠と診断せず、骨盤腹膜炎や卵巣機能不全と診断したことに関する過失の有無 *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(昭和39年生まれの女性・未婚)は、腹部痛が激しくなり、平成元年(以下...

2023年8月10日
選択のポイント【No.484、485】

今回は、医師の判断(手術方法選択や薬剤投与方法)につき、過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.484の事案では、病院側は、バッシーニ法を選択した理由として、(1)これまでの小児鼠径ヘルニア手術例のうち約3分の1についてはバッシーニ法を採用してきたが、本件以前の手術で睾丸萎縮等の合併症を惹...

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