医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2024年6月10日
No.505「核黄疸により新生児が脳性麻痺に陥ったのは、医師が血清ビリルビン値の計測および交換輸血を怠ったためであるとして医師の注意義務違反を認めた事案」

東京地方裁判所八王子支部 平成6年11月15日判決 判例タイムズ892号226頁 (争点) 新生児が核黄疸であったか否か 新生児が核黄疸に罹患したことにつき医師に注意義務違反があったか否か *以下、原告を◇1ないし◇3、被告を△と表記する。 (事案) ◇2(女性・初産婦)は、昭和62年11月8日、分...

2024年6月10日
No.504「新生児が脳性麻痺に至ったのは、医師が、脱水症状及び低血糖症に対し電解質を含まない過剰輸液を行ったためであるとし、医師に損害賠償が命じられた地裁判決」

前橋地方裁判所平成元年12月19日判決 判例時報1357号115頁 (争点) 医師に新生児低血糖症及び脱水症状に対して適切な処置を施す義務違反があったか否か *以下、原告を◇1ないし◇3、被告を△と表記する。 (事案) ◇2は、昭和58年7月13日、産婦人科医である△医師の経営する医院(以下、「△医...

2024年5月10日
選択のポイント【No.502、503】

今回は、骨折の治療に関して医師の責任が認められた判決を2件ご紹介します。 No.502の事案では、医師は、阻血回避処置のうち、固定の中止や筋膜切開については、固定を続けた場合に比べて骨の癒合が悪くなるから、フォルクマン拘縮症以外の可能性がある場合には、軽々に固定をやめ筋膜切開に踏み切るべきではないと...

2024年5月10日
No.503「交通事故での大腿骨粉砕骨折等を負った患者がその後大腿骨骨髄炎に罹患し、大腿部切断。細菌検査義務違反があったとして医師の過失を認めた高裁判決」

名古屋高等裁判所平成2年7月25日判決 判例時報1376号69頁 (争点) 医師に細菌検査義務違反があったか否か *以下、原告を◇、被告を△1および△2または合わせて△と表記する。 (事案) 昭和49年10月30日、Aは交通事故に遭遇し(加害車両運行供用者は株式会社である◇)、△1医師の経営する病院...

2024年5月10日
No.502「5歳児が左腕を骨折し、阻血からフォルクマン拘縮症を発症。経過観察を怠り、必要な回避措置を取らなかった医師の債務不履行を認め、患者の請求を全額認容した地裁判決」

東京地方裁判所 平成元年11月28日判決 判例タイムズ722号264頁 (争点) 医師に、フォルクマン拘縮症回避のための処置をとる医療契約上の義務違反があったか否か *以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) ◇(昭和47年生まれで事故当時5歳の男児)は、昭和53年(特段の事情のない限り同年の...

2024年4月10日
選択のポイント【No.500、501】

今回は、薬剤の投与に関する医師の注意義務違反(過失)が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.500の事案では、病院側は、処方を行わなかったことにつき、十二指腸潰瘍に対する間歇療法(再発の都度、初期療法を繰り返す)に合致するものであるから、過失とならないと主張しました。 しかし、裁判所は、本件事...

2024年4月10日
No.501「ワーファリンを継続使用していた慢性心房細動の患者に対し、医師がイグザレルトへの切り替えに伴うワーファリンの休薬を指示した後、患者が心原性脳塞栓症を発症して死亡。医師に薬剤投与に関する注意義務違反が認められた事案」

東京地方裁判所令和5年9月29日 判例タイムズ1514号 185頁 (争点) 医師に薬剤投与に関する注意義務違反があったか否か 医師の注意義務違反と原告らの損害との因果関係 *以下、原告を◇1ないし◇3、被告を△と表記する。 (事案) A(昭和11年10月生まれの男性)は、従前、高血圧症、心房細動の...

2024年4月10日
No.500「十二指腸潰瘍が悪化し穿孔が生じて患者が死亡。抗潰瘍薬を処方漏れした医師の過失が認められた地裁判決」

静岡地方裁判所浜松支部平成22年2月22日判決 ウェストロージャパン (争点) 医師に診療上の過失があるか否か 医師の過失と結果との間の因果関係 *以下、原告を◇1ないし◇3、被告を△と表記する。 (事案) A(平成16年10月当時77歳の女性)は、昭和60年、乳がんの手術を受けた。また、そのころか...

2024年3月 8日
選択のポイント【No.498、499】

今回は、麻酔のミスについて、医師の過失が認められた事案を2件ご紹介します。 No.498の事案では、過失について病院側は争わず、損害額等が争点となりました。 そして、重度の後遺障害を負ったロシア国籍女性の将来介護費の算定にあたり、原告側は、「寿命は、生活の本拠における食料、気候、医療水準等の生活環境...

2024年3月 8日
No.499「整形外科において、患者が肩関節脱臼の整復治療にあたり局所麻酔を投与された後、低酸素脳症となり、後遺障害が残存。医師に麻酔薬の投与における過失を認めた地裁判決」

京都地方裁判所令和3年11月9日判決 ウェストロージャパン、裁判所ウェブサイト (争点) 患者が局所麻酔中毒によって呼吸停止に至ったか 医師に手技上の過失ないし義務違反があったか否か *以下、原告を◇、被告を△1および△2と表記する。 (事案) 平成28年4月15日、A(66歳の女性・家事および夫の...

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