医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2022年5月10日
No.455「医師が、高齢の患者についてうつ病として精神科での入院治療を検討すべき注意義務に違反したとして、遺族への慰謝料の支払いを命じた地裁判決」

大阪地方裁判所令和3年2月17日判決 医療判例解説2021年8月(93)号41頁 (争点) うつ病の診断及び治療等についての医師の注意義務違反の有無 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(昭和8年生まれの女性)は平成26年9月9日頃、S病院において心気症と診断され、軽いうつ状態の所見...

2022年5月10日
No.454「刑務所に勾留中の者がけいれん発作を起こし死亡。刑務所の法務技官医師に転送義務違反を認めた地裁判決」

高知地方裁判所平成28年2月2日判決 判例時報2302号84頁 (争点) 転送義務違反の有無 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(昭和28年生まれ。起訴されたため平成21年6月23日から△刑務所内の拘置場で勾留されていた)は、平成21年7月8日午前中(以下、同日の出来事については...

2022年4月14日
選択の視点【No.452、453】

今回は陣痛誘発剤・陣痛促進剤の投与後に出産した妊婦が大量出血によって死亡したことについて医師の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.452の事案では、患者遺族は転送義務違反も主張しました。 しかし、裁判所は転送時期としては再出血後で一応の出血軽減の時点以降、血液の届く以前の時点(午後4時...

2022年4月14日
No.453「出産後に大量出血し、敗血症で死亡。医師の陣痛促進剤の投与上の過失が認められた地裁判決」

山口地方裁判所平成5年3月31日判決 判例タイムズ824号197頁 (争点) 陣痛促進剤投与に関する過失の有無 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(初産婦)は、昭和62年9月3日午前3時ころ陣痛が始まり、だんだんと強くなってきたので、同日午前6時30ころ、以前から通院していた△2...

2022年4月14日
No.452「不要な陣痛促進剤の過剰投与をし,輸血量も不足していたため妊婦が出産後に弛緩出血による大量出血により死亡。医師の不法行為責任が認められた地裁判決」

広島地方裁判所平成2年3月27日判決 判例タイムズ730号205頁 (争点) 陣痛誘発上の過失 プロスタルモンE錠を一度に2錠投与した過失 輸血上の過失 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(死亡当時31歳の女性。パチンコ店を夫と共同で経営)は、第四子を妊娠したため、昭和60年1月7...

2022年3月 9日
選択の視点【No.450、451】

今回はX線(レントゲン)検査について読影した医師の過失の有無や損害が争点となった裁判例を2件ご紹介します No.450の事案では、第二次判定医が「要経過観察1年後」と診断した根拠の一つとして、「陰影が石灰化による像であろうと考えたが、写真撮影の限界もあるので断定を避けた」との主張がされましたが、裁判...

2022年3月 9日
No.451「レントゲン検査の写真から医師が右大腿骨頸部骨折を読影できず、骨接合術が行われなかった。その後患者は人工股関節置換手術に至る。医師に骨折を発見しなかった過失を認め、一定の範囲で損害賠償を命じた地裁判決」

東京地方裁判所令和2年3月26日判決 医療判例解説93号103頁  (争点) 初診時に右大腿骨頸部骨折を発見しなかった医師の過失と相当因果関係のある損害 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) 平成27年12月20日、◇(診察当時51歳の女性)は、犬の散歩中に転倒し、右大腿骨頸部を骨折し、...

2022年3月 9日
No.450「肺癌で死亡した患者につき、定期健康診断の胸部エックス線写真を読影した医師の過失が認められた地裁判決」

奈良地方裁判所平成15年9月26日判決 判例タイムズ1187号288頁 (争点) 平成7年、8年の各健康診断で撮影された胸部エックス線間接撮影写真につき、担当医が肺癌等の異常を疑う所見を見落として精密検査を勧めなかった過失の有無 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(会社勤務の男性)...

2022年2月10日
選択の視点【No.448、449】

今回は死亡した患者について、必要な検査をしなかった医師の過失が認められた事案を2件ご紹介します。 No.448の事案(胃潰瘍を疑った検査の懈怠)では、病院側は、患者の腹部の経過は順調であったが肺気腫による慢性呼吸器障害に、再発肺がんが両肺に転移播種し、呼吸不全が継続、悪化し死亡に至ったと主張しました...

2022年2月10日
No.449「肺がんの手術の既往歴のある患者が肺アスペルギルス症を発症して死亡。医師が呼吸器感染症の病原菌を特定するための検査を行わなかったとして、病院側の過失を認めた地裁判決」

さいたま地方裁判所平成13年9月26日判決 判例タイムズ1183  号306頁   (争点) 医師の注意義務違反の有無 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(平成9年の死亡当時60歳の男性)には、昭和62年11月にB医大病院において肺がん手術を受け、左肺上葉を切除した既往歴があった。...

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