医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2022年8月 9日
選択のポイント【No.460、461】

今回は、患者が死亡し、医師が刑事事件で有罪(業務上過失致死罪)となった事案を2件ご紹介します。紹介にあたり、それぞれの出典(判例時報及び判例タイムズ)の解説も参考にしました。 No.460の事案では、誤接続をした看護師につき、既に罰金刑が確定しているとのことでした。 No.461の事案では、肝臓外科...

2022年8月 9日
No.461「肝臓外科専門医でなく、肝臓切除手術の執刀の経験もない医師が不十分な人員態勢で手術を実施し、大出血により患者が死亡。医師の刑事責任(業務上過失致死罪)を認めた地裁判決」

奈良地方裁判所平成24年6月22日判決 判例タイムズ1406号363頁 (争点) 医師の注意義務の存在及び注意義務違反の有無 *以下、患者をA、被告人を△と表記する。 (事案) A(事件当時51歳)は、他の病院2箇所に入院した後、平成18年1月10日、慢性肝炎、高血圧及び狭心症などの検査及び治療の目...

2022年8月 9日
No.460「手術の麻酔の際に、看護師が酸素と笑気の接続を間違え、患者が死亡。接続点検・安全確認を怠った麻酔担当医の刑事責任(業務上過失致死罪)を認めた地裁判決」

神戸地方裁判所尼崎支部 昭和49年6月21日判決 判例時報753号111頁 (争点) 麻酔担当医の過失 *以下、患者をA、被告人を△と表記する。 (事案) △は、昭和39年に医師免許を取得し、昭和44年2月から市立病院(以下、「△病院」という。)において外科医として勤務していた。 昭和48年2月28...

2022年7月 8日
選択のポイント【No.458、459】

今回は、麻酔薬の投与後に患者が死亡し、注射や麻酔管理における医師の過失が認定された地裁判決を2件ご紹介いたします。 No.458の事案では、患者が意識消失、呼吸停止直後の低酸素血症、心循環機能低下に対する救命措置上の過失も争点となりました。 この点につき、裁判所は、(1)医師がエピネフリンを投与しな...

2022年7月 8日
No.459「先天性心疾患に罹患していた患児が、双方向グレン手術の適応を判断する心臓カテーテル検査を受ける際の麻酔投与後に急変しその後死亡。小児科担当医師らの麻酔管理の過失を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成30年6月21日判決 判例時報2406号3頁 (争点) 麻酔管理に関する過失の有無 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(死亡時2歳)は、平成16年7月にH病院において双胎第1子として出生したが、同月8日に受けた心エコー検査の結果、完全型心内膜床欠損症、心房中隔欠損...

2022年7月 8日
No.458「肩こり等の治療のため、局所浸潤麻酔注射を受けた患者が注射直後に意識喪失、心肺機能停止に陥りその後死亡。医師に注射施術上の過失等を認めた地裁判決」

大津地方裁判所平成8年9月9日判決 判例タイムズ933号195頁 (争点) 注射の施術上の過失の有無 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) A(死亡時58歳の主婦)は、平成2年9月3日、△医師が内科、胃腸器科、循環器科の看板を掲げて経営する医院(以下「△医院」という。)を初めて受診し、右...

2022年6月10日
選択の視点【No.456、457】

今回は、医療事故に関連して、カルテ・診療録の改ざんを行った医師・病院に対して、慰謝料の支払いが命じられた裁判例を2件ご紹介します。 No.456の判決紹介に当たっては、別冊ジュリスト183号「医事法判例百選」34頁「16 診療録の改ざん」も参考にしました。 No.456の裁判例では、原告(患者遺族)...

2022年6月10日
No.457「白内障の手術を受けた後、左眼を失明した患者について、医師のカルテの改ざんおよび説明義務違反を認めた地裁判決」

東京地方裁判所令和3年4月30日判決 判例タイムズ1488号177頁 (争点) カルテの改ざんおよび虚偽説明の有無 手術適応の前提となる説明義務違反の有無 ※以下、原告を◇、被告を△と表記する。 (事案) 第1 平成12年2月頃から平成25年の再受診まで ◇(昭和8年生まれの男性)は、平成12年2月...

2022年6月10日
No.456「出産後に母子が死亡したことにつき、医師の診療録等の改ざんを認定し、不法行為責任(説明義務違反)に当たるとして遺族からの慰謝料請求を認めた地裁判決」

甲府地方裁判所平成16年1月20日判決 判例タイムズ1177号218頁 (争点) 患者の死亡に対する医師の過失の有無 診療録改ざん行為等に対する慰謝料請求の可否 医師が出生後死亡した児を死産としたことに対する慰謝料請求の可否 ※以下、原告を◇1◇2◇3、被告を△と表記する。 (事案) A(当時32歳...

2022年5月10日
選択の視点【No.454、455】

今回は特殊事情のある患者についての転送義務・他科での入院治療を検討すべき義務違反が認められた裁判例を2件ご紹介いたします。 No.454の事案では、転送義務違反と死亡との因果関係や慰謝料の額も争点となりました。 裁判所は、医師が転送義務を尽くしていれば、実際の死亡時点において患者がなお生存していたで...

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