医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2016年7月10日
No.315「胎児が出生後2日目に死亡。児頭の位置等を確認することなく吸引・鉗子分娩及びクリステレル胎児圧出法を実施した医師に過失を認めた地裁判決」

山口地方裁判所平成27年7月8日判決 判例時報2284号99頁 (争点) 分娩を担当したQ2医師の過失の有無 (事案) X(当時27歳)は、平成22年12月18日、Q医院(Q1医療法人社団が開設し産婦人科を経営する医院)で、Q2医師(Q1医療法人社団の代表者)の診察を受けて妊娠していることが確認され...

2016年7月10日
No.314「新生児に脳性麻痺の障害が残り、約6年半後に死亡。医師の分娩監視に過失があったとして、病院側の責任が認められた地裁判決」

大阪地方裁判所堺支部平成11年11月5日判決 判例タイムズ1032号219頁 (争点) Y2医師の分娩監視に不適切な点があるかどうか (事案) 平成3年10月23日、X(27歳・初産婦)は、Y病院(Y2医師の父親が経営していた産婦人科が、平成4年1月にY1医療法人として医療法人化され、Y2医師はその...

2016年6月10日
選択の視点【No.312、313】

今回は、高齢の患者に対する医薬品の投与・処方にあたり、医師が医薬品の添付文書記載の注意事項に従わなかったことにつき過失が認められた事案を2件ご紹介します。 No.312の事案では、高齢の患者の慰謝料(800万円)の判断に関して、裁判所は、「81歳という高齢ではあったが、被告病院に入院するまでは、明確...

2016年6月10日
No.313「約4ヶ月間にわたり、血液凝固能検査を行わないまま、ワーファリン錠を70代の患者に処方し、患者が脳内出血により死亡。医師の過失と患者の死亡との因果関係を認めて損害賠償を命じた地裁判決」

神戸地方裁判所 平成27年1月20日判決 判例時報2268号83頁 (争点) Y2医師に凝固能検査を怠った過失があったか Y2医師の過失とAの死亡との間に因果関係があるか (事案) A(死亡当時74歳の男性・公務員として勤務した後、定年退職し、自由業として稼働)は、平成14年11月、心房細動の治療の...

2016年6月10日
No.312「80代の患者が結腸の切除手術後、高カロリー輸液の投与を受けた際、医師がビタミンB1を補給せず、患者にウェルニッケ脳症が発症したとして、病院側に損害賠償責任が認められた地裁判決」

東京地方裁判所 平成14年1月16日判決 判例タイムズ1114号250頁 (争点) Aに対しビタミンB1を補給せずに高カロリー輸液を投与したことについての過失の有無 (事案) A(入院当時81歳の男性・本件訴訟中に死亡)は、平成8年6月ころから、腹部の膨満や腹痛を訴えるようになり、同年8月20日から...

2016年5月10日
選択の視点【No.310、311】

今回は、誤嚥に関して病院側の責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.310の事案では、死亡した4歳の女児の逸失利益を算定するにあたり、裁判所は、(女性労働者の平均賃金ではなく)男女を合わせた全労働者の平均賃金を用いるのが相当であると判示しました。 その理由として、裁判所は、今日女子の社会的...

2016年5月10日
No.311「入院中の高齢者が義歯を装着しないまま病院食であるおにぎりを誤嚥し、その後死亡。担当看護師に見守りに関する過失があったとして県立病院側に責任を認めた地裁判決」

福岡地方裁判所平成19年6月26日判決 (争点) Y2の見守りに関する過失の有無 (事案) A(当時80歳の男性)は、老人性認知症、前立腺肥大、高血圧、高尿酸血症の既往症を有し、平成12年3月10日から介護老人保健施設であるB荘に入所していたが、食欲不振および発熱のため、平成15年10月30日、Y1...

2016年5月10日
No.310「伝染性単核症で入院中の4歳の女児が、病院食であるバナナを誤嚥して死亡。医師らに誤嚥および救命措置に関する過失があるとして、遺族の請求を一部認容した地裁判決」

東京地方裁判所平成13年5月30日判決 判例タイムズ1086号253頁 (争点) 誤嚥についての過失の有無 救命措置についての過失の有無 (事案) 平成9年4月1日、A(4歳の女児)は、鼻水を出し、風邪のような症状を来したので、Aの母親であるX1は、AをかかりつけのBクリニックに連れて行き、診察を受...

2016年4月10日
選択の視点【No.308、309】

今回は眼科の手術に関し医師の過失が認められた判決を2件ご紹介いたします。 No.308の事案では、患者に後遺障害が発生しており、裁判所は、通常ならば労働能力を27%喪失したものとして逸失利益を算出するのが相当であるが、会社社長であった患者が、手術後も社長退任までは、報酬(年額2700万円)を減額され...

2016年4月10日
No.309「イントラレーシック手術を受けた患者の右眼角膜が損傷。医師にスパーテルを誤った位置へ侵入させた注意義務違反を認め、損害賠償を命じた地裁判決」

東京地方裁判所平成23年10月6日判決 判例タイムズ1409号391頁 (争点) Yの注意義務違反の有無 (事案) X(手術当時35歳の男性・会社役員)は、両眼とも近視性乱視(両眼の裸眼視力がそれぞれ0.3)であったことから、イントラレーシックによる屈折矯正手術に関心を持ち、平成17年7月4日、医師...

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