医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2015年7月10日
No.290「膀胱癌患者が、膀胱全摘出術及び回腸導管手術後にイレウスを発症し、その後死亡。術後管理につき病院側の責任が否定された地裁判決」

宮崎地方裁判所 平成8年6月28日判決 判例時報1603号99頁 (争点) Y病院の医師による診療行為について、Aのイレウスに対する、吸引療法の遅滞又は水分電解質の補給不足による注意義務違反が存し、これによりAが死亡したかどうか   (事案) 患者A(死亡当時77歳の会社役員...

2015年6月10日
選択の視点【No.288、289】

今回は薬剤投与に関する医師の過失が認められた判決を2件ご紹介します。 No.288の事案では、裁判所は死亡した患者の夫の慰謝料算定にあたり、次のように判示しています(一部省略・用語置き換えあり)。 「手術そのものは成功したにもかかわらず、本件抗癌剤の不当投与という全くの医師のミスにより、最愛...

2015年6月10日
No.289「胃および脾臓の全摘手術を受けた患者に対し、術後、ビタミンB1を投与せず高カロリー輸液を施行したことにより、患者がウェルニッケ脳症を発症。病院側に損害賠償が命じられた地裁判決」

仙台地方裁判所平成11年9月27日判決 判例タイムズ1044号161頁 (争点) ウェルニッケ脳症を予見し、その発症を防止すべき義務違反の有無   (事案) X(36歳・男性)は、胃の不調を訴え平成4年6月29日にY1特殊法人(現在は独立行政法人)が経営するY病院に入院し、胃...

2015年6月10日
No.288「胃切除術後の早期胃癌患者に対し、医師が抗癌剤を大量に投与した結果、患者が死亡。患者遺族側の請求を全額認めた地裁判決」

名古屋地方裁判所平成11年4月8日判決 判例タイムズ1008号192頁 (争点) K医師の過失の有無   (事案) 平成4年3月6日、A(53歳女性・夫の経営する商店において麺製造、販売、経理の業務に従事)は背中に痛みを感じたため、Y医療法人の開設・経営するクリニック(以下、...

2015年5月10日
選択の視点【No.286、287】

今回は、病院側に開腹手術の時期を失した過失があるとされた事例を2件ご紹介します。 No.286の事案では、過失と死亡との因果関係は否定されましたが、適切な治療を受けて治癒する機会と可能性を奪われたことによる損害(精神的苦痛に対する慰謝料)として、2000万円という高額の賠償が命じられました。 ...

2015年5月10日
No.287「腸炎の患者が急性汎発性腹膜炎を発症して死亡。緊急開腹手術を怠った医師の過失を認めて、病院側に損害賠償を命じた地裁判決」

那覇地方裁判所 平成4年1月29日判決 判例タイムズ783号190頁 (争点) Y医療法人の責任の有無   (事案) 昭和59年10月2日昼ころ、X1とX2の長男であるA(17歳の男子高校2年生)は、腹痛をおこし、39度5分の発熱と水様性の下痢をしていたので、夕方、近所のK医...

2015年5月10日
No.286「左前胸部の刺創に基づく化膿性腹膜炎で患者が死亡。医師に適切な時期に開腹手術をしなかった過失があるが、患者の死亡との間に因果関係はないとし、適切な治療を受けて治癒する機会と可能性を奪われたことに対する慰謝料を認めた地裁判決」

東京地方裁判所 平成3年7月23日判決 判例タイムズ778号235頁 (争点) 開腹手術実施義務違反の有無 因果関係の有無 損害   (事案) 昭和57年4月13日午後11時50分ころ、A(同年4月24日死亡当時27歳の男性・兄が代表取締役を務める会社の...

2015年4月10日
選択の視点【No.284、285】

今回は、手術の実施時期についての医師の過失が認められた判決を2件ご紹介します。 No.284の事案では、患者が最初に受診した個人医院の開設者であるY1医師及びそこからの紹介で入院したY2病院を開設するY2医療法人も被告となっていましたが、これらの被告の責任について、裁判所は次のような理由で否定...

2015年4月10日
No.285「椎弓切除術及び椎間板切除術を受けた患者に椎体のすべりが生じたが、国立病院の医師が適切な時期に脊椎固定術を施さなかったことにより、患者に歩行障害等の後遺症が生じたとして、病院側の過失が認められた高裁判決」

名古屋高等裁判所金沢支部 平成23年11月30日判決 判例時報2143号92頁 (争点) 適切な時期に固定術を実施すべき注意義務違反の有無 損害   (事案) 平成13年4月10日、患者X(平成16年9月の症状固定時で70歳の女性)は、Y国立大学法人が開設するY...

2015年4月10日
No.284「個人医院で頭痛を訴えた患者が、紹介された他院に入院後、さらに別の病院に転院。転院先で開頭手術を受けたが、植物状態になり8年後に死亡。転院先病院の医師が血腫除去のための開頭手術を遷延させた点に過失があったとして損害賠償を命じた地裁判決」

京都地方裁判所 平成9年5月29日判決 判例タイムズ955号203頁 (争点) Y3の担当医師らの注意義務違反の有無 因果関係の有無 Xらの損害の評価   (事案) Xらの長女A(22歳女性・短大卒業後、銀行勤務)は、旅行から帰った昭和56年8月16日こ...

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