医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2016年2月10日
選択の視点【No.304、305】

今回は皮膚の移植手術に関して、医師の説明義務違反が認められた事案を2件ご紹介します。 No.304の事案では、慰謝料40万円の金額を決めるにあたり、以下の事情が斟酌されました。 手術の結果、患者の鼻が腫れたり、左腰背部が痛んだりしたこと。鼻に違和感が残り、顔に不釣り合いなほど鼻が大きくなったと感じて...

2016年2月10日
No.305「上背部の瘢痕除去のため、国立病院の医師が患者にティッシュ・エキスパンダー法および広背筋皮弁移植を実施。患者に筋力低下の機能障害が残る。担当医師の広背筋皮弁移植手術に関する説明義務違反を認め、国に損害賠償を命じた地裁判決」

東京地方裁判所平成13年12月17日判決 判例タイムズ1102号230頁 (争点) 本件手術のXに対する適応及びY病院の担当医師の説明義務違反の有無 (事案) 患者Xは、昭和50年ころから、右肩甲部、肩、上腕部外側にかけて広範囲の有毛性の褐色母斑(ベッカー母斑)が発生したため、昭和59年6月11日、...

2016年2月10日
No.304「鼻の段差を解消するため、患者の腰背部の真皮を抽出して鼻に挿入移植する美容整形手術を実施。医師の説明義務違反が認められた地裁判決」

広島地方裁判所平成6年3月30日判決 判例タイムズ877号261頁 (争点) Yの説明義務違反の有無について (事案) 患者Xは、鼻の付け根(鼻根部)の骨が少し出っ張って段のようになっているので、これを取ってもらいたいと思い、3ヵ所の病院に電話で費用の問い合わせをしたところ、Y医師の経営する、Y整形...

2016年1月10日
選択の視点【No.302、303】

今回は、手術中に体内に異物が遺留された事案につき、病院側の損害賠償責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。 両事案とも、争点は過失の有無ではなく、主として損害額の算定でした。 No.302の事案では、患者(若い女性)は、手術で体内に異物(ドレーンゴム管)が遺留され、肉体的・精神的苦痛を被ったことに...

2016年1月10日
No.303「手術を受けた患者の体内に医療用縫合針が遺残され残存し続けていることにつき、病院側の責任を認め、700万円の慰謝料を含む損害賠償を命じた地裁判決」

さいたま地方裁判所平成26年4月24日判決 判例時報2230号62頁 (争点) 本件針の今後の移動可能性および体内に遺残していることの影響について (争点1を前提とした)損害額について (事案) 平成22年9月29日頃、X(昭和45年生まれの女性)は突発性難聴となり近医を受診したが体調悪化が続き、同...

2016年1月10日
No.302「急性虫垂炎の開腹手術をした際に、医師が患者の腹腔内にドレーンゴム管を留置し、患者に腹部激痛が生じ、抜去再手術により下腹部手術痕も残る。医師の不法行為責任を認めた地裁判決」

東京地方裁判所平成元年2月6日判決 判例タイムズ698号256頁 (争点) Yの注意義務違反の有無 損害 (事案) 昭和59年6月8日、X(昭和38年生の女性)は急性虫垂炎に罹患したため、Y医師が開設・経営するY外科病院(以下、Y病院という。)において診察を受け、同日、同病院に入院した。 翌9日、X...

2015年12月10日
選択の視点【No.300、301】

今回は、S状結腸の手術に関する医師の過失が争点となった裁判例を2件ご紹介します。 なお、判決文では、「S字」結腸という用語が使われている箇所もありますが、紹介上での表記は「S状」結腸に統一しています。  No.300の事案では、病院側は、ポリペクトミー手術が、穿孔を誘発したことは争わないが、腸内ガス...

2015年12月10日
No.301「県立病院で、腹腔鏡補助下S状結腸切除術を受けた患者が、急性汎発性腹膜炎を発症し、死亡。患者に腹膜刺激症状が見られなかったこと等から、担当医師らに緊急手術を実施すべき注意義務はなかった等として、病院側の責任を否定した地裁判決」

新潟地方裁判所長岡支部 平成22年10月27日判決 判例タイムズ1341号173頁 (争点) Aの直接死因である敗血症の原因は、本件手術の吻合部の縫合不全による急性汎発性腹膜炎であったか否か 6月18日には、Aに縫合不全による急性限局性腹膜炎を疑うべき所見が現れたのに、同日の段階で再手術などの適切な...

2015年12月10日
No.300「S状結腸のポリープ摘出手術後、手術部位に生じた穿孔により腹膜炎が発症。医師に手術後の療養方法の指導、説明義務を怠った過失を認めた地裁判決」

大阪地方裁判所 平成10年9月22日判決 判例タイムズ1027号230頁 (争点) 医師の説明義務違反の有無 (事案) 患者X(昭和9年3月10日生)は、腹痛のためK胃腸クリニックで治療を受け、薬局で購入した漢方胃腸薬を服用していたが、平成2年11月1日午前5時49分、午前2時ころから持続する腹痛や...

2015年11月10日
選択の視点【No.298、299】

今回は、アレルギーのある患者に対する薬剤投与に関して、病院側の過失を認めた裁判例を2件ご紹介します。 No.298の事案では、医師は、患者がかつて他院で減感作療法を受けていたこと及びその時にはショック症状を呈していなかったことを知っていたことから、閾値を検査して初回投与量及び濃度を決定する必要...

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