医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2021年7月 9日
No.435「入院中の患児が死亡したのは、市立病院の医師が喘息性気管支炎と誤診して、低酸素血症罹患を看過し、適切な検査及び治療を実施しなかった過失によるとした地裁判決を維持した高裁判決」

札幌高等裁判所平成15年4月17日判決 判例タイムズ1168号244頁 (争点) 患者の死亡原因 患者が低酸素血症に罹患していることを疑診しなかった医師の過失の有無 (事案) 平成5年4月27日、AはY市が開設管理する病院(以下、「Y病院」という。)において出生し、その後もY病院において検診を受けて...

2021年7月 9日
No.434「患者が急性出血性膵炎で死亡。医師が重症急性膵炎と疑診せず、必要な治療をしなかった過失があるとした地裁判決」

東京地方裁判所平成5年6月14日判決 判例時報1498号89頁 (争点) 患者が急性膵炎であると疑診又は診断することの可能性 医師の過失と患者の死亡との因果関係の有無 (事案) A(当時32歳の男性、某会社技術部勤務)は、昭和62年8月27日午前10時ころから、腹痛を感じ、当夜勤務先で宿直業務に...

2021年6月10日
選択の視点【No.432、433】

今回は、歯科医師の責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.432の事案では、死亡した女児の慰謝料(1000万円)の算定に関して、裁判所は、「およそ死に至るとは夢想だにしない歯科治療の場で、付き添って来ていた母親からドア越しでは声もかけて貰えずに生命を絶たれ、しかも、抜歯の際に生じうる窒息死...

2021年6月10日
No.433 「フルマウスリハビリテーション術について歯科医師の説明義務違反を認めた地裁判決」

東京地裁平成12年12月8日 判例タイムズ1108号225頁 (争点) 治療方法選択の誤りの有無 説明義務違反の有無 (事案) X(女性)は、平成4年5月1日、数年前から顕著になってきた下顎中切歯(前歯の中心に位置する2本の切歯)間の隙間などについて審美的改善を行いたいと考え、Y歯科医院において歯科...

2021年6月10日
No.432 「4歳児の抜歯した乳歯が口内に落ち、歯科医師が小児の上半身を起こし背中をたたき、小児が窒息により死亡。異物落下時の対処に関する歯科医師の注意義務違反を認めた地裁判決」

浦和地方裁判所熊谷支部平成2年9月25日判決 判例タイムズ738号151頁 (争点) 歯科医師の注意義務違反の有無 過失相殺をすべきか否か (事案) 昭和61年8月21日、A(当時4歳の女児)は歯科医師Y1の経営する歯科医院(以下、「Y医院」という。)に母親X2に付添われて訪れた。 Y医院に勤務する...

2021年5月10日
選択の視点【No.430、431】

今回はカテーテルを用いた治療に関する医師の過失が認められた判決を2件ご紹介いたします。 No.430の事案では、手術を見学していた患者の主治医(研修医)が、問題となった2回目の閉塞試験につき、左椎骨動脈の後下小脳動脈との分岐部より遠位で実施されたとの記載をカルテにしていました。この点に関して、当該主...

2021年5月10日
No.431 「腹膜透析用カテーテルの留置位置が異常のまま腹膜透析を行い、患者が大腿神経、陰部大腿神経又は坐骨大腿神経を損傷したことにつき、医師の過失が認められた事案」

大阪地方裁判所令和元年9月25日判決 医療判例解説2020年12月号(第89号)104頁 (争点) 医師に透析液(平成25年9月10日の透析液)を注入してはならない注意義務があったか否か 医師の過失と患者に生じた神経損傷などの後遺障害との因果関係 (事案) X(平成25年9月当時55歳の男性・喫茶店...

2021年5月10日
No.430 「大学病院でのバルーン塞栓術の前に実施した閉塞試験を誤った位置で実施したため、患者が解離性脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血を発症し死亡したことにつき、医師に過失があるとされた事案」

大津地方裁判所平成13年11月26日判決 判例タイムズ1092号 246頁 (争点) バルーン塞栓術における医師の過失の有無 (事案) 平成2年11月、A(当時52歳の男性会社員)は、会議中にめまいを起こし、その後の帰宅途中に、左後頭部痛やめまいを起こし、起立不能となり、国が管理運営するY医科大学...

2021年4月15日
選択の視点【No.428、429】

今回は帝王切開後に新生児が死亡した事案で、分娩時の観察・監視につき病院側の過失が認められた裁判例を2件ご紹介いたします。 No.428の事案では、産婦に発症した常位胎盤早期剥離の原因についても争点となり、遺族は陣痛促進剤(シントシノン)の利用による過強陣痛の発生によるものだと主張し、病院側は産婦のエ...

2021年4月15日
No.429 「帝王切開による分娩を行ったが、仮死状態で生まれた児がその後低酸素性脳症を原因とする肺炎により死亡。産婦人科を開設する医師に経過観察義務違反を認めた地裁判決」

神戸地方裁判所平成15年9月30日判決 判例タイムズ1211号 233頁 (争点) 経過観察義務違反の有無 (事案) X1(新生児Kの母)は、平成7年9月25日、妊娠の徴候を感じたため、Y医師の開設する産婦人科(以下、「Y病院」という。)で診察を受けたところ、妊娠が確認され、分娩予定日が平成8年5月...

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