医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2014年5月10日
選択の視点【No.262、263】

今回は検査に関連して医師の過失が認められた判決を2件ご紹介します。 No.262の事案では、最初に患者を診察し、薬剤の7日間連続投与を決定した医師については、医師としての注意義務違反はあるものの、患者の死亡との相当因果関係がないとして、損害賠償責任を負わないとされました。 他方で、この医師の...

2014年5月10日
No.263「神経性食思不振症で通院していた患者が死亡。医師に血清カリウム値の検査義務違反があったとして、病院側に、患者が『生存していた相当程度の可能性』を侵害されたことにより被った損害の賠償を命じた高裁判決」

東京高等裁判所 平成15年8月26日判決 判例時報1842号43頁 (争点) 患者Aの死因 T医師の注意義務違反の有無 T医師の注意義務違反と患者Aの死亡との因果関係 相当程度の生存の可能性の侵害の有無   (事案) 患者A(昭和54年生)は、平...

2014年5月10日
No.262「下腹部痛を訴えて通院していた患者が点滴直後にアナフィラキーショックに陥り死亡。従前患者を診断した別の医師の診断を信頼し、新たな検査等を実施しなかった医師の過失を認めた地裁判決」

大阪地方裁判所 平成13年1月30日判決 判例タイムズ1070号279頁 (争点) 患者Aの傷病名 当初の診察を担当したY2医師の責任 最後の診察を担当したY3医師の責任   (事案) 患者Aは、平成3年の6月20日に、Y1医療法人が設置・経営するY病院...

2014年4月10日
選択の視点【No.260、261】

今回は、癌患者に対する説明義務が争点となった事案を2件ご紹介します。1件(No.260)は説明義務違反が否定され、1件(No.261)は説明義務違反が認められました。 No.260の事案で、裁判所は、末期乳癌患者に対する血管造影検査実施前の時点で、患者遺族らは、患者の病状につき突然の大出血には...

2014年4月10日
No.261「新免疫療法単独での治療効果について医師の説明義務違反を認めたが、説明義務違反と患者死亡との因果関係は否定し、慰謝料の支払いを病院側に命じた地裁判決」

東京地方裁判所 平成24年7月26日判決 判例タイムズ1395号246頁 (争点) 新免疫療法についてのY医師の説明義務違反の有無 Y医師の説明義務違反と死亡との因果関係   (事案) 1.患者A(昭和21年生まれの男性)は、平成15年3月12日、S病院において...

2014年4月10日
No.260「末期の乳癌患者に実施された血管造影検査の必要性及び説明義務につき、大学病院側の過失が否定された地裁判決」

横浜地方裁判所 平成11年3月30日判決 判例タイムズ1050号228頁 (争点) 患者に対する血管造影検査の実施は当初の治療目的から逸脱する不要なものであったか 血管造影検査の実施にあたり、病院医師らに、患者及び家族に対する説明義務違反があったか   (事案) ...

2014年3月10日
選択の視点【No.258、259】

今回は、医師の刑事責任が問われた判決(1件は有罪、1件は無罪)を2件ご紹介します。 No.258の判決の紹介にあたっては、判例タイムズの解説も参考にしました。 この事案で、弁護人は、約8ヶ月半の研修経歴しかない臨床研修医である被告人には、心室細動の発生を具体的に予見することはできないから、心...

2014年3月10日
No.259「全身麻酔手術において、麻酔担当医が27分間不在の間、患者に酸素を供給していた蛇管が脱落し、酸素の供給が遮断され、患者に完治不能の低酸素脳症に基づく高次脳機能障害及び四肢不全麻痺の傷害。業務上過失傷害罪で起訴された麻酔担当医に無罪を言い渡した地裁判決」

横浜地方裁判所 平成25年9月17日判決(裁判所ウェブサイト) (争点) 麻酔科医師であるY医師に、麻酔導入後、手術室に常時在室して直接患者の全身状態を絶え間なく看視すべき業務上の注意義務があり、それに違反したといえるか否か。   (事案) Y医師(被告人)は、医師免許を受け...

2014年3月10日
No.258「市民病院で心臓手術を受け、集中治療室(ICU)に収容された2歳児が、酸素欠乏に基づく全治不明の低酸素性脳症に。患児につきそっていた臨床研修医に業務上過失傷害罪が適用され、罰金20万円の刑が言い渡された地裁判決」

広島地方裁判所 平成15年3月12日判決 判例タイムズ1150号302頁 (争点) Y医師の刑事責任の有無 量刑   (事案) X(平成9年4月生まれ・事件当時2歳)は、生後10日目ころ、心臓に雑音があるとしてY市民病院(以下、Y病院という)において診察を受け、...

2014年2月25日
選択の視点【No.256、257】

今回は気管支喘息の患者に対する投薬に関して、病院側の責任が認められた判決を2件ご紹介します。 No.256の事案では、裁判所は、医師が心臓の既往症がある気管支喘息の患者に対してテオドールを処方したこと自体は、診療契約の債務不履行に当たらないとしましたが、テオドールの副作用についての説明義務違反...

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