医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2014年9月10日
No.270「点滴時の注射とRSD(反射性交感神経性異栄養症)罹患との因果関係を認めた上、注射を行った看護師に注意義務違反を認め、病院側に損害賠償を命じた地裁判決」

大阪地裁 平成10年12月2日判決 判例タイムズ 1028号217頁 (争点) 本件注射行為とXがRSDに罹患したこととの間に因果関係は認められるか 本件注射行為について、担当看護師に注意義務に違反した過失があるといえるか Xの損害額   (事案) 患者...

2014年8月10日
選択の視点【No.268、269】

今回は、間質性肺炎に関連して、病院側の損害賠償責任が認められた判決を2件ご紹介します。 No.268は、ヘビースモーカーだった特発性間質性肺炎の患者について、肺癌の発見が遅れた事案で、No.269は薬剤性間質性肺炎の患者について、薬剤(ミノマイシン)投与に関する医師の過失が認定された事案です。...

2014年8月10日
No.269「患者がミノマイシン投与により薬剤性間質性肺炎に罹患。担当医の投与に関する過失を認めた上で、病院側に慰謝料の支払いを命じた地裁判決」

東京地方裁判所 平成18年10月4日判決 判例タイムズ1233号 278頁 (争点) 医師が患者に対してミノマイシンの投与を続けたことに過失は認められるか ミノマイシンの投与を続けた過失により患者にどのような損害が生じたか   (事案) 患者X(昭和18年生まれ...

2014年8月10日
No.268「特発性間質性肺炎(IIP)に罹患した患者がその急性増悪により死亡。患者の胸部CT画像に肺癌の存在を疑うべき陰影があったが、医師が肺癌の可能性を確認するための精密検査をせず、肺癌の発見が遅れた。患者が約半年長く生存する権利が侵害されたとして病院側の損害賠償責任を認めた地裁判決」

松山地方裁判所西条支部 平成12年2月24日判決 判例時報1739号124頁 (争点) 肺癌の可能性を考慮するための精密検査を実施しなかった注意義務違反の有無 注意義務違反とAの死亡との間の因果関係の有無   (事案) 平成6年3月29日、A(死亡当時75歳の男...

2014年7月10日
選択の視点【No.266、267】

今回は、いわゆる期待権侵害に関する判決を2件ご紹介します。 紹介にあたっては、判決掲載誌(判例タイムズ)の解説も参考にしました。 平成12年9月22日の最高裁判決は、「疾病のため死亡した患者の診療に当たった医師の医療行為が、その過失により、当時の医療水準にかなったものでなかった場合において、...

2014年7月10日
No.267「下肢の骨接合術などの手術を受けた患者が、合併症として下肢深部静脈血栓症を発症。必要な検査を行い、または専門医に紹介する義務を怠った整形外科医師の『過失と後遺症の因果関係』及び『過失がなければ後遺症が残らなかった相当程度の可能性』が認められず、医療行為が著しく不適切な事案とはいえない場合には、『適切な医療行為を受ける期待権の侵害』のみを理由とする不法行為責任の有無を検討する余地はないとした最高裁判決」

最高裁判所第二法廷 平成23年2月25日 判例タイムズ1344号110頁 (争点) 本件事案において適切な医療行為を受ける期待権の侵害のみを理由とした不法行為責任の有無を検討する余地があるか   (事案) 1.診療経過 (1)昭和63年10月29日、患者Xは左脛骨高原骨折の...

2014年7月10日
No.266「脳腫瘍摘出手術後に患者が敗血症及び髄膜炎を併発し死亡。公立病院側に敗血症防止措置を怠った過失はあるが当該過失と死亡との間の相当因果関係は否定。しかし医療水準にかなった医療が行われていたならば患者が生存していた相当程度の可能性を認定し、そのほか患者側の期待権も侵害されたとして、患者の遺族らの損害賠償請求を一部認容した地裁判決」

東京地方裁判所 平成15年1月27日判決 判例タイムズ1166号190頁 (争点) 本件手術後のY病院の経過観察に過失があるか Y病院の過失とAの死亡との間に相当因果関係があるか 仮に、Y病院の過失とAの死亡との間に相当因果関係が認められなかったとして、Y病院は、Aに与...

2014年6月10日
選択の視点【No.264、265】

今回は手術の適応・術式選択に関する医師の過失及び手術に関する医師の説明義務違反が認められた地裁判決を2件ご紹介します。どちらも、手術開始後に状況を踏まえて医師が確定した方針について過失ありとされ、その方針についての説明義務も尽くされていないと判断されています。 No.264の事案では、患者は、...

2014年6月10日
No.265「国立大学病院でプルスルー法による人工血管置換手術後、患者に対麻痺が発生。患者の意思を確認することなくプルスルー法を用いたことは医師の裁量の範囲を超えるとして、医師の過失を認めた地裁判決」

鹿児島地方裁判所 平成25年6月18日判決 判例時報2207号65頁 (争点) 人工血管置換手術適応の有無 プルスルー法を用いる人工血管置換手術適応の有無   (事案) 患者X(本件手術当時満71歳の男性)は、平成14年9月、K市立病院(以下K病院)において、急...

2014年6月10日
No.264「左眼窩内腫瘍摘出手術で国立病院医師が患者の視神経を切断し、患者の左眼が失明。視神経切断につき手術適応を否定して医師の過失を認め、医師の説明義務違反も認めた地裁判決」

大阪地方裁判所 平成13年9月28日判決 判例タイムズ1095号197頁 (争点) 本件手術の適応の存否(本件手術を開始したことについての過失の有無) 視神経切断の適応の存否(視神経を切断したことについての過失の有無) 説明義務違反   (事案) 患者A...

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