医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2014年3月10日
No.259「全身麻酔手術において、麻酔担当医が27分間不在の間、患者に酸素を供給していた蛇管が脱落し、酸素の供給が遮断され、患者に完治不能の低酸素脳症に基づく高次脳機能障害及び四肢不全麻痺の傷害。業務上過失傷害罪で起訴された麻酔担当医に無罪を言い渡した地裁判決」

横浜地方裁判所 平成25年9月17日判決(裁判所ウェブサイト) (争点) 麻酔科医師であるY医師に、麻酔導入後、手術室に常時在室して直接患者の全身状態を絶え間なく看視すべき業務上の注意義務があり、それに違反したといえるか否か。   (事案) Y医師(被告人)は、医師免許を受け...

2014年3月10日
No.258「市民病院で心臓手術を受け、集中治療室(ICU)に収容された2歳児が、酸素欠乏に基づく全治不明の低酸素性脳症に。患児につきそっていた臨床研修医に業務上過失傷害罪が適用され、罰金20万円の刑が言い渡された地裁判決」

広島地方裁判所 平成15年3月12日判決 判例タイムズ1150号302頁 (争点) Y医師の刑事責任の有無 量刑   (事案) X(平成9年4月生まれ・事件当時2歳)は、生後10日目ころ、心臓に雑音があるとしてY市民病院(以下、Y病院という)において診察を受け、...

2014年2月25日
選択の視点【No.256、257】

今回は気管支喘息の患者に対する投薬に関して、病院側の責任が認められた判決を2件ご紹介します。 No.256の事案では、裁判所は、医師が心臓の既往症がある気管支喘息の患者に対してテオドールを処方したこと自体は、診療契約の債務不履行に当たらないとしましたが、テオドールの副作用についての説明義務違反...

2014年2月25日
No.257「気管支喘息で入院中の乳児が麻疹に罹患し、急性心筋炎により死亡。医師の説明義務違反だけを認めた地裁判決を変更し、γグロブリンの投与等を行わなかった医師につき、麻疹発症予防ないし重症化防止の措置を講ずべき注意義務違反も認めた高裁判決」

福岡高等裁判所 平成19年12月6日判決 判例時報2017号70頁 (争点) 説明義務違反の有無 麻疹発症防止措置等についての注意義務違反の有無   (事案) Xらの二女であるA(生後約9か月の乳児)は、平成13年5月中旬から鼻水とせきが続き、個人病院で治療を受...

2014年2月25日
No.256「心房細動の既往症がある気管支喘息の患者に対して、気管支拡張剤を処方。医師に薬剤の副作用についての説明義務違反があるとした地裁判決」

札幌地方裁判所 平成19年11月21日判決 判例タイムズ1274号214頁 (争点) Xに対してテオドールを処方したことが債務不履行に当たるか否か 説明義務違反の有無   (事案) X(昭和26年生まれの男性)は、平成2年ころから平成8年春ころにかけて、心房細動...

2014年1月10日
選択の視点【No.254、255】

今回は、医師の転医勧告義務違反が認められた事案を2件ご紹介いたします。 No.254の事案では、診療所の医師(被告)は、患者(原告)が診療所での初診から転院先での手術まで約11時間が経過していることが異常に長いとして、仮に医師の責任が認められるとしても、この異常な時間経過は過失相殺又はこれに類...

2014年1月10日
No.255「5年間、耳鼻咽喉科医院で慢性副鼻腔炎の治療を受けていた患者が、転医後、上顎癌と診断され、手術を受けたがその後死亡。耳鼻咽喉科医院を開設する医師に転医勧告義務を怠った過失を認め、遺族に対する損害賠償の支払いを命じた地裁判決」

仙台地方裁判所平成17年2月15日判決 判例タイムズ1237号294頁 (争点) 転医勧告義務の違反の有無 1の義務違反と損害との因果関係の有無 損害額   (事案) 患者A(昭和12年生まれの女性)は、平成元年12月2日、のどに異物感等の症状により、B...

2014年1月10日
No.254「男児が精索捻転症により、左睾丸を喪失。診療所医師に転医勧告義務違反を認めた地裁判決」

名古屋地方裁判所平成12年9月18日判決 判例タイムズ1110号186頁 (争点) 初診時のY医師の診断上の過失・債務不履行の有無 初診時における転医勧告義務の懈怠の有無   (事案) 平成5年3月17日午前6時ころ、就眠していた患者A(当時小学2年の男児)は、...

2013年12月10日
選択の視点【No.252、253】

今回は、手術における医師の過失が認められた判決を2件ご紹介します。 No.252の判決紹介にあたっては、掲載誌である、判例タイムズ及び判例時報の解説も参考にしました。 No.252の事案では、患者側は「医療事故調査会の協力医」である「某大学の心臓血管外科の教授」が匿名で作成したとする意見書を...

2013年12月10日
No.253「大学病院で肺動脈スリングの根治手術を受けた小児患者が、低酸素脳症を発症し、その後訴訟継続中に死亡。安全限界値を下回る血液希釈を行った医師の過失を認め大学病院側に損害賠償を命じた地裁判決」

津地方裁判所平成22年1月28日判決 判例タイムズ1329号194頁 (争点) 本件手術における酸素供給に関する医師の過失の有無 過失と低酸素脳症発症及び死亡との因果関係   (事案) A(平成8年生、男児)は、平成9年1月17日、喘息様気管支炎でB病院を受診し...

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