医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2012年6月18日
選択の視点【No.216、217】

今回は、手術前に生検をしないまま乳癌の手術を行ったことにつき、病院側の責任が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.216の事案で、裁判所は、当該病院で本件以前に乳房温存療法を実施した例はなく、担当医師が当該病院でも乳房温存療法を採用したいと考えていたことなどの事情を考慮すれば、医師が乳房温存療...

2012年6月18日
No.217「手術前に確定診断をしないまま乳がんと診断し、乳房切除手術、リンパ節郭清をし、術後、内分泌化学療法、放射線治療を行ったが、病理組織検査の結果、非浸潤がんであることが判明した場合に、病院側の過失が肯定された地裁判決」

福岡地方裁判所平成16年2月12日 判例時報1865号97頁 (争点) 医師の過失の有無 プライバシー侵害の有無 (事案) X(昭和38年10月1日生の女性)は、平成10年4月4日、左乳房にしこりがあることから、Y1医療法人の経営するY1病院を受診し、Y1病院に勤務するO医師の診察を受け、触診、超音...

2012年6月18日
No.216「市立病院で、患者の乳腺腫瘍を乳癌と診断し、乳房温存療法による手術を実施したがその後良性と判明。生検を行わずに悪性と診断をした医師の過失を認めて、慰謝料の支払いを市に命じた地裁判決」

名古屋地方裁判所平成15年11月26日判決 判例タイムズ1157号217頁 (争点) 医師が生検を行わず最終診断を癌としたことに過失があるか (事案) X(本件当時45歳の女性)は、平成8年ころ以降、左乳房に示指頭大の無痛性腫瘤があることに気づき、平成9年2月10日(以下平成9年については月日のみを...

2012年5月16日
選択の視点【No.214、215】

今回はMRSA感染について病院の過失が認められた裁判例を2件ご紹介します。 No.214の事案では、病院側は、患者が処方した以外の薬剤を経口服用したり、自己注射をするなど、異常な行動をとっていたことや患者の発言内容から、患者が何らかの作為を行い、それにより感染が発生した可能性が否定できないとの主張を...

2012年5月16日
No.215「市民病院に入院した患者がMRSA敗血症を発生し、転院先の大学病院で死亡。市民病院の担当医らのMRSA感染予防を怠った過失、当該過失と死亡との因果関係を認めた高裁判決」

福岡高等裁判所平成18年9月14日判決 判例タイムズ1285号234頁 (争点) 感染経路 過失の有無 (事案) A(死亡時21歳の女性・短大生)は、平成8年4月24日、両下肢の皮疹等を訴え、Y1市の開設するY1市民病院皮膚科を外来受診し、5月13日、同病院皮膚科に入院した。担当医師Bは、アレルギー...

2012年5月16日
No.214「持続硬膜外ブロック療法を受けた入院患者がMRSAに感染。使い捨て用の器具を繰り返し使用した医師・看護師らの感染防止義務違反を認定した地裁判決」

大阪地方裁判所堺支部平成13年12月19日 判例タイムズ1189号298頁 (争点) MRSAの感染経路および感染原因 Y1病院の責任の有無(感染防止義務違反) (事案) X(昭和30年5月21日生の男性)は、平成5年1月18日交通事故に遭い、Y1医療法人の運営するY1病院(以下Y病院)を受診したと...

2012年4月 6日
選択の視点【No.212、213】

今月は歯科医師の過失が争点になった判決を2件ご紹介します。 No.212の事案では、亡くなった歯科医師が歯科医師賠償責任保険契約を締結していた損害保険会社が補助参加人として訴訟に参加しています。 そして、損害保険会社は、患者が抜歯から他院受診までに期間があることなどを指摘して、本件抜歯によって下顎骨...

2012年4月 6日
No.213「開業歯科医による差歯の交換後、患者に歯痛。非定型歯痛の概念を知らず、咬合調整を繰り返した開業歯科医の過失を認めた地裁判決」

長野地方裁判所上田支部 平成23年3月4日判決 判例タイムズ1360号179頁 (争点) 咬合調整に関する歯科医師Yの過失 Xに対するYの発言が不法行為にあたるか 因果関係 損害 (事案) X(昭和29年生まれ、女性)は、平成18年12月6日、歯がしみると訴え、歯科医師Yが開業するY歯科医院(以下Y...

2012年4月 6日
No.212「親知らずを抜歯する際に、患者の下顎骨を骨折。歯科医師の過失を認めた地裁判決」

富山地方裁判所平成19年1月19日判決 判例時報1986号118頁 (争点) 抜歯と下顎骨骨折との間の因果関係の有無 歯科医師の過失の有無 (事案) 平成16年10月19日、X(当時53歳・女性・自動車部品製造会社勤務)は、歯痛のため、歯科医師であるY(平成16年11月に死亡、以下亡Y)が経営するY...

2012年3月 2日
選択の視点【No.210、211】

今回は、肺癌で死亡した方が受診していた集団検診・定期健康診断でのレントゲンフィルムの読影担当医師の過失が争点となった判決を2件ご紹介します。 No.210の事案で、裁判所は、本件で問題になっているのは、政策的な意味合いにおける集団検診のあり方ではなく、集団検診におけるレントゲンのフィルムを読影する医...

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