医療判決紹介:最新記事

医療関連訴訟の判例・裁判例からは多くを学べます。彼らは何故勝訴し、何故敗訴したのでしょう。

2013年5月22日
No.239「口蓋扁桃摘出手術後、患者に重度の脳障害。術後出血に対する止血の際の気道確保につき、意識下挿管ではなく全身麻酔による迅速導入を選択した医師の過失を認め、病院側に賠償を命じた地裁判決」

広島地方裁判所平成23年2月23日判決 判例時報2120号57頁 (争点) 術後出血に対する止血の際の気道確保について、意識下挿管ではなく全身麻酔による迅速導入法を選択したことに関する医師の過失の有無   (事案) X(当時57歳、女性)は、平成19年1月29日、Y独立行政法...

2013年5月22日
No.238「国立病院でのアデノイド切除術及び両側口蓋扁桃切除術終了後の気管内チューブ抜管により生じた上気道閉塞で患者が呼吸困難に陥り死亡。挿管による気道確保を行わなかった麻酔医師に過失があるとした事例

福井地方裁判所 平成16年3月17日判決 判例時報1882号99頁 (争点) 担当医師が気道確保に関する注意義務に反したか否か   (事案) X1及びX2の長男であるA(手術当時5歳1ヶ月)には睡眠中に数秒間呼吸停止を繰り返す症状が見られたため、平成8年12月24日、AはX1...

2013年4月 2日
選択の視点【No.236、237】

今回は、不適切な歯科治療につき歯科医師の責任が認められた判決を2件ご紹介します。 No.236の事案では、緊密な根管充填が施されたか否かが争点となり、歯科医師は、ガッタパーチャポイントと糊剤(FR)を併用し、十分な充填を実施したが、X線写真上、充填剤が不十分なように写っているのは、糊剤が吸収さ...

2013年4月 2日
No.237「ジルコニアブリッジ適応性の判断について、歯科医師が患者の咬合力や咬合関係を慎重に精査すべき注意義務を怠ったとして、歯科医師に賠償を命じた地裁判決」

東京地方裁判所平成24年1月19日判決 判例タイムズ1374号178頁 (争点) 不適応なジルコニアブリッジを装着したことについてのY2歯科医師の過失の有無   (事案) Xは、平成19年10月26日、H病院において、I歯科医師により、右上6番から左上2番につき、右上6、3番...

2013年4月 2日
No.236「歯科医師が根管治療の際、根管の緊密な充填を実施すべき注意義務に違反したとして、患者からの損害賠償請求が認められた地裁判決」

東京地方裁判所 平成23年2月14日判決 判例タイムズ1381号192頁 (争点) 根管充填治療における注意義務違反の有無   (事案) 平成13年6月8日、X(昭和51年6月生まれの女性)は歯科医師であるYの開設する歯科医院(以下、Y歯科医院とする)を受診し、同年7月ころま...

2013年3月11日
選択の視点【No.234、235】

今回は、仮死状態に陥った新生児につき、分娩時の医師の過失が認められた事案を2件ご紹介します。 No.234の事案で、吸引分娩の開始時期について、病院側は分娩当日の午前7時50分ころから直ちに吸引分娩に取りかかり、5、6回ほど吸引分娩を行い、最後の2回が滑脱したため、午前8時15分ころに鉗子分娩...

2013年3月11日
No.235「新生児が重度の新生児仮死で出生し、重度の脳性麻痺などの後遺症が生じた後、約1年後に死亡。帝王切開を行わなかった医師の過失を認め病院側に賠償を命じた地裁判決」

青森地方裁判所弘前支部 平成14年4月12日判決 判例タイムズ1187号301頁 (争点) Y2医師に帝王切開を行わなかったことについて過失はあったか Y2医師の過失とAの脳性麻痺及び死亡との因果関係の有無   (事案) X1(出産当時21歳・初産)は、平成4年...

2013年3月11日
No.234「新生児が低酸素性脳障害に陥り、約6年後に呼吸不全により死亡。早期に吸引分娩または鉗子分娩を実施しなかった医師の過失を認め病院側に損害賠償を命じた地裁判決」

大阪地方裁判所堺支部 平成11年11月5日判決 判例タイムズ1032号219頁 (争点) Y2医師の分娩監視に過失があるか否か   (事案) 平成3年10月23日、X1(女性・当時27歳)は、Y1医療法人(Y2医師が代表者理事長である)が開設したY産婦人科病院(以下、Y病院と...

2013年2月 1日
選択の視点【No.232、233】

今回は、分娩後に産婦が大量出血に陥り死亡した事案を2件ご紹介します。 No.232の事案では、患者遺族側の請求していた慰謝料よりも、裁判所の認めた慰謝料額は減額されていますが、その理由の一つとして、裁判所は、客観的には病院側の過失が認められるものの、患者を救命するための懸命の治療行為を行ってきたこと...

2013年2月 1日
No.233「羊水塞栓症により、分娩後に産婦が死亡。医師の輸血措置等の遅れと死亡との因果関係は否定したが、産婦の『適切な治療を受ける権利』を侵害したとして、病院側に遺族への慰謝料の支払いを命じた地裁判決」

大阪地裁 平成8年11月20日判決 判例タイムズ947号253頁 (争点) 医師に輸液の実施について過失はあったか 医師に輸血指示の時期について過失はあったか 因果関係の有無 (事案) A(死亡当時38歳の初産婦)は、平成2年2月8日午前5時30分ごろ陣痛が生じたので、午前5時45分ころ、分娩のため...

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